おはようございます!
渋谷を拠点とした朝活コミュニティ「朝渋」のメディア担当をしている井手です。

「朝渋」では、朝の7時30分にBOOK LAB TOKYOという書店に集まり、著者の話を聞き、著者と対話することで本への理解を深める『著者と語る朝渋読書会』というイベントを定期的に開催しています。

12月13日(水)は『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』の著者であり、電通メディアイノベーションラボ副主任研究員として活躍されている天野彬さんをお招きしました!

天野彬(あまのあきら)さんのご紹介

(photo by 矢野拓実)

1986年生まれ。東京都出身。東京大学大学院 学際情報学府修士課程修了。 2012年入社後、マーケティング部門、新規事業開発部門を経て、2014年から現職。 スマートフォンのユーザーリサーチを中心に、現在のメディア環境やオーディエンスインサイトを分析している。 近著に『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』(2017年、宣伝会議)。その他、『情報メディア白書2016/2017』(2016/2017年、ダイヤモンド社、共著)、『二十年先の未来はいま作られている』(2012年、日本経済新聞出版社、共著)。また、日本マーケティング協会や全日本広告連盟、アドテック東京などでのセミナー講師や経済番組でのコメンテーターなど経験多数

ちなみに、天野さんが講師を務める「インスタグラムマーケティング基礎講座」の満足度は93.6%!! すさまじい満足度の高さです。ちなみに、今回の出版は、編集者の方がこの講座に感銘をうけたことがキッカケになったそうです。

常にシェアするものを探す時代に

「目の前に有名人が来ているにも関わらず、みんな、スマホ越しで写真を撮る時代になってきている。つまり、『常にシェアするものを探す』という今の時代のあり方を象徴している一枚だと思っている。」

冒頭で、海外の一枚の写真を紹介しながら、こう語った天野さん。

世界中でスマホが普及する中で、写真が撮影される量は指数関数的に伸びていて、なんと、1年間でiPhone上で撮影される枚数は全世界で1兆枚もの数に昇っているそうです!

電通のチームが調査したところ、10代女性の7割が「写真を撮れないイベントに参加する必要はない」と回答するぐらい、イベントの価値として良い写真が撮影できるかが大切になってきているとのことです。

Instagramの利用者数は、現在、全世界で約8億人。ここ数年間で爆発的な伸びを見せています。一方で、写真を投稿だけでなく、ストーリーズ機能など、シェアする形式のバリエーションも増えてきています。「すぐに消える動画」というストーリーズ機能が追加されたことで、シェアすることへのハードルが下がったと天野さんは言います。

天野さんが影響を受けた書籍

「インターネットによって、世の中がどう変わるのか?」といったことを論じる本を多く読むなかで、天野さんは、この4冊に大きな影響を受けたそうです。

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 は、思想っぽい本ですが、インターネットによって、情報をシェアすることが増える中で、アニメやマンガといったサブカルチャーがどのように変わるのか?を論じた本です。

ウェブ進化論 本当の大変化はこれから始まる』は少しビジネス寄りで、インターネットによって、どのようにビジネスが変わるのか?どのようにヒトの生き方が変わるのか?を論じています。

ロングテール‐「売れない商品」を宝の山に変える新戦略』は、皆さんご存知の有名な本ですよね。

最後の、『アーキテクチャの生態系: 情報環境はいかに設計されてきたか』は、ニコニコ動画のような新しいサービスによって、「タグづけ文化」が生まれ、ユーザーが自分たちで作品を分類し、それによって作品のジャンルが生まれ、作品の意味や価値をユーザー側がつけていくというといったことが書かれています。「日本のタグ文化の源流はココにあるのではないか」と天野さんは感じたそうです。

情報との出会いは「ググる」から「#タグる」へ

「誰もが写真をシェアする時代への見取り図として、今回の書籍を読んでもらえると嬉しい」と天野さん。

書籍の中でも、特に伝えたいポイントとしてあげているのが「『ググる』から『#タグる』へ」という視点です。この『#タグる』というのは、”#タグ”の意味と、情報を”たぐり寄せる”という意味の2つのニュアンスが含まれているそうです。

情報の検索の仕方が、2000年代はGoogleを含めた検索サイトがインターネット上の情報を整理していきましたが、現在は、SNS上でユーザー同士が情報をシェアして、それをユーザーが拾い集めいていく時代に変わったと天野さんは言います。

電通で行った15~34歳の男女に聞いたアンケート結果だと、SNSを使う理由の52%は「情報を探す場所として使っている」と回答しているそうです。そして、10代の女性だと、その傾向がより強くなり、情報の探し方が検索サイトから、SNSへシフトしていることが調査結果からも明らかになっています。

3タイプのハッシュタグを上手く活用する

「Instagramの#タグは、どんな分類があるのかをまとめてみたのがコチラ」と天野さん。

#タグには、大きく3つの分類があり、『オブジェクトレベル』、『メタレベル』、『クリシェ』に分けられるとのこと。

『オブジェクトレベル』というのは、映っているモノを説明する#タグです。例えば、パンケーキを撮影しているのであれば、「#パンケーキ」という#タグをつけることです。

『メタレベル』というのは、映っているモノとは関係ない自分自身の感情を表した#タグのことです。
メタレベルの#タグの使い方が上手いのは、渡辺直美さん。「写真に対するツッコミが上手い。写真というビジュアルを使ってコミュニケーションをしている」と天野さんは言います。

そして、『メタレベル』の#タグが広まっているのが、日本のInstagramの特徴になっているそうで、これは、日本のツッコミ文化が大きく影響しているからだと天野さんは仮説立てしているそうです。

最後の『クリシェ』は、「常套句」という意味で、映っているモノに関係なく、Instagram上でよく使われている#タグのことです。例えば、「#○○好きな人とつながりたい」とか。#タグをつけることで、同じ興味関心を持っている人とつながるためのサインとして使われることが多いとのことです。

「メタレベル」の#タグで検索することは少なくて、検索では「オブジェクトレベル」や「クリシェ」で検索されることが多く、アカウントへの流入を伸ばすには、この2つの#タグを意識することが大切です。ただ、アカウントのファンになっていただくためには、「メタレベル」の#タグを工夫していくことが重要です。

「Instagramを上手く使っている人は、この3つのタグを上手く使っている」と天野さんは言います。

シミュラークルという現象

「シェアされる時代において、『シミュラークル』というキーワードも重要」と天野さん。

「シミュラークル」とは「シミュレーション」といった、”模倣されたもの”、”コピーされたもの”といった意味合いに近いそうです。

電通の調査結果によると、企業やインフルエンサーと呼ばれる著名人からの発信より、自分の友人が投稿した内容のほうが、行動に与える影響力が高いという結果がでています。その結果、友人が購入したモノと似たようなモノを買ったり、友達が行った場所に訪れるといった行動が増えているとのことです。

つまり、メディアからのトップダウンの情報の流れによる行動への影響だけでなく、友人・知人からのボトムアップの情報によって行動に大きな影響が生まれているということですね。

このような環境において、オリジナルな情報の起点が不明なまま、どこからか発信された情報が広がり、生活者の憧れを促す共通なイメージ(誰もがどこかで見たことあるようなもの)が創発され、トレンドとして伝播していく状態のことを「シミュラークル」型のトレンド伝播と呼ぶことにしたそうです。

「誰が始めたのかが分からないけれど、みんなが真似したい写真のスタイルがパターン化されて、その写真を撮ることへの憧れが行動に影響を及ぼしていくといった現象が増えています」と天野さんは言います。

そして、このようなトレンドが生まれた背景は大きく2つあり、「ビジュアルで体験を可視化して、誰もが発信できる時代になってきたこと。そして、もう一つは、消費社会が成熟していくと、体験の記号的価値が高まってきたこと」と天野さんは指摘します。

記号的価値とは、機能的価値と対比で使われる言葉で、例えば、5万円と50万円のバッグがあった時に、「モノを運ぶ」という機能的価値は一緒なのに、50万円のバッグは記号的価値があるから高く売れるという話で、記号的価値は一般的にはブランド力と呼ばれることが多いです。80年代からモノが余ってくる時代になったことで、記号的価値が消費のトリガーになり、いわゆるラグジュアリー産業が育ってきました。そして、今はモノだけでなく、コトの記号的価値が高まっているので、このような現象が増えてきていると天野さんは考察しているとのことです。

マス型、インフルエンサー型に加え、シミュラークル型というトレンドを生み出すパターンが新しく加わったことで、企業のマーケターは、目的に合わせて、どのような形でトレンドを生み出すかを考える必要があると天野さんは提唱しました。

 

…ということで、天野彬さんをお招きした『著者と語る朝渋読書会』のレポートをお届けました。

今年は「インスタ映え」という言葉が流行語大賞をとったり、「インフルエンサー」という言葉が一般の方にも知られるようになったりと、誰もが情報を発信して受け取る時代になってきたことを実感する一年だったと思います。

そんな時代において、社会学やメディア哲学、デジタルビジネス…といった諸領域を越境するような視座で、「なぜシェアされるのか、シェアの本質とはなにか?」について考察を深めることのできる天野さんの著書『シェアしたがる心理~SNSの情報環境を読み解く7つの視点~』

これからの時代において、マーケティングやプロモーション、PRなどに関わる人にとっては必読の一冊なので、是非、手に取ってみてください!

天野さん、朝早くから、ありがとうございました!

 

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★参考記事:
「スタートアップのCEOこそ、朝5時に起きるべき。」渋谷発の朝活コミュニティ「朝渋」プロデューサー、井上皓史さん (HARES.jp)