おはようございます。朝渋の井手 (@kei4ide ) です。

「アイデアの良い人は世の中にたくさんいるが、良いと思ったアイデアを実行する勇気のある人は少ない。」

「アイデアが重要なのではない。一つのアイデアをどうやって、具体的にしていくかが重要だ。」

前者はソニーの創業者である盛田昭夫さん。後者はソニーの創業者で初代社長の井深大さんの言葉です。数々の突飛なアイデアをカタチにし、世界を驚かせてきた2人の言葉なだけに、重みがありますよね。

ただ、そうはいっても斬新なアイデアほど、実現させるのは難しく、始めは新鮮味溢れるアイデアが、世に出る時には無難なものになっていることも少なくありません。

大きく広げられたアイデアを、当初の輝きを失わせずに実現に導くことができるか?

これは、「オモシロいことにチャレンジしたい!」と志す人であれば、常に考えるテーマではないでしょうか?

そこで、朝渋では、Voicyの「風呂敷畳み人ラジオ」で話題のお二人、幻冬舎 設楽悠介さんとNewsPicks 野村高文さんをゲストに迎え、『風呂敷 畳み人 モーニングトークショー』を開催。

数々の新規事業を実現に導いてきたお二人から、アイデアをカタチにするための畳み方についてお話を伺いました。モデレーターはワタクシ、井手です。今回は、そのダイジェストをお届けします!

風呂敷畳み人のお二人のご紹介

(photo by 小澤彩聖)

設楽悠介さん (写真左)

幻冬舎 コンテンツビジネス局 部長・「あたらしい経済」事業責任者/幻冬舎コミックス 取締役/株式会社エクソダス 取締役/日本サウナ総研 理事研究員

幻冬舎で新規事業や「あたらしい経済」事業の責任者をつとめる。その他の担当プロジェクトは「13歳のハローワーク公式サイト」「ピクシブ文芸」「NewsPicksアカデミア」など。2015年より幻冬舎コミックスの取締役を兼務し、ライツ事業やPR事業を担当。2018年に見城徹、家入一真、箕輪厚介らと新たな出版モデルの構築を目指す新会社エクソダスを立ち上げる。NewsPicks野村高文とのビジネスユニット「風呂敷 畳み人」では、Voicyで「風呂敷 畳み人 ラジオ」の配信や、「風呂敷畳み人サロン」などを運営。

野村高文さん (写真右)

NewsPicks編集部エディター/NewsPicksアカデミア プロジェクトマネジャー

PHP研究所、ボストン コンサルティング グループを経て現職。経済・ビジネス分野の記事の執筆と、会員制サービス「NewsPicksアカデミア」のプロジェクトマネジャーを務める。毎週金曜日にTBSラジオ「荒川強啓 デイ・キャッチ!」に出演中。プロ野球と柴犬が好き。

アイデアだけでは優れたものはできない

井手:お二人とも、今日はよろしくおねがいします!

野村さん:おはようございます。さんざん朝が弱いと言いながら当日を迎えたんですが、今日は設楽さんに電話で起こしてもらわなければ遅刻するかもでした(笑)

設楽さん:今日は5時30分にお互い起きたかどうかを連絡しあおうねって言ってて、5時20分ごろに野村さんから「起きました」ってメッセが届いたんです。安心してたら、その後に送ったメッセージがなかなか既読にならなくて、心配になって6時30分くらいに電話したら、二度寝していたっていう。

野村さん:「勝った…!」と思って安心していたら、寝ちゃったんですよね…。

設楽さん:そんな奴が何を畳んでいるのかっていう話もあるかと思いますが、今日はよろしくお願いします(笑)

井手:では、はじめに2人から、『畳み人』とは何か? そして、畳み人としてアイデアをカタチにしていくために必要な心構えについてお話しいただきます。

野村さん:まず、『畳み人』という言葉が造語なので、これは何なのかということから話をしていきますね。

辞書には、『大風呂敷を広げる』っていう言葉はあるんです。できるかどうかわからないことを「やるよ」と発信して、世間から期待をうけることを意味しているんですよね。なので、風呂敷を広げる人というのは、突飛なアイデアを次々と発信していって、世間を沸かせる人のことです。

ただ、風呂敷を広げる人の裏には、その広がった風呂敷を畳む人というのが存在していて、それを『畳み人』と呼んでいます。『畳み人』を言語化すると、広げ人の突飛なアイデアを実行可能な段階に落とし込み、形にしていく人のことです。

設楽さん:書店のビジネスコーナーとかをみると、どうしてもアイデアのつくり方とか、広げ人が特集された本が多いと思うんですね。でも、現実をみると、広げ人のアイデアを畳んでいく畳み人のほうが数は圧倒的に多いと思うんです。

なので、僕らは、そういう方々向けに実務で使えるアイデアの畳み方を発信していきたいと思って活動しています。

野村さん:経営学の神様と呼ばれているピーター・ドラッガーもこんなことを言っています。

“Strategy is a commodity, execution is an art.”

どういうことかというと、Strategyという戦略の部分は簡単にコピーができてしまって、そこの部分では競争優位を築くことが難しいといっているんです。じゃあ、どこが企業だったり、プロジェクトの成功と失敗の差を分けるかというと、executionという実行の部分だと。artというのは個人だったり、ヒトによって変わってくるものなので、そこの部分で差がつくといっているんですよね。

つまり、アイデアだけでは優れたものはできないと。そのアイデアを実行していく人のアナログな強みが絡まって、良いプロジェクトは生まれていくと言っているんです。まさに、畳み人の重要性を表した言葉だと思います。

「畳み人」とは「地ならし人」である

野村さん:では、次に『畳み人』とは具体的にどういう人なのかという話をしていきます。

まず、畳み人とは、広げ人が「アレやって、コレやって」と投げてきたものを作業していく『作業マン』ではありません。また、広げ人のアシスタントでもありません。広げ人が言ったことを、いい感じにやってくれる便利屋さんではないんです。結果的に便利な存在ではあるんでしょうけど(笑)

じゃあ、一体何かというと、サッカーで言うとボランチのような存在です。日本代表で言うと、長谷部選手のような存在。

ボランチというのは中盤の要ですよね。前線の選手が点をとりやすくする。そして、後ろにいるディフェンスの選手が失点をする確率を減らす役割をボランチは担っています。

それをビジネスに当てはめてみると、前線にいるのは広げ人たちです。例えば、経営者だったり、事業のリーダーであったり、本の著者なんかもそうですね。ディフェンスのポジションにいるのは誰かというと、実働部隊だと思っています。プロダクトをつくるプロジェクトであれば、エンジニアの方々。バグなく、ミスなく作るということにプロフェッショナリズムを持っている方々ですよね。

その間を取り持って、『地ならし』をするのが畳み人の役割ではないかと思います。前線から出てきたアイデアに対して、どういう状態に道が舗装されていれば、色んなメンバーがその上を走っていけるのかということを必死に考えて道をつくる人が畳み人だと思いますね。

広げ人のアイデアを面白がり、付加価値をつける

野村さん:じゃあ、畳み人にとって、どういう要素が不可欠なのかというと、畳み人の世界は奥が深くて様々な要素が必要になると思うのですが、その中でも根本にあることを紹介したいと思います。

それは、『広げ人のアイデアを面白がり、付加価値をつける』ということです。

設楽さん:僕は、これが畳み人として一番大事だと思っています。

経営者をはじめ、広げ人って、どんどんアイデアをだしてくるんです。でも、広げ人のアイデアって、「え~、それ危なくない!?」とか、「収益として成り立たないんじゃないか?」、「ユーザーからクレームがこないか?」みたいなリスクを考えてしまうアイデアが多いと思うんです。でも、ビジネスを切り開くのって、そういう一見危なそうなアイデアだったりするんですよね。

なので、そういうリスクを感じてしまったとしても、まずは「それ、めっちゃ面白いっすね!」と広げ人のアイデアを面白がってみるというのが僕は大事だと思っています。一回、広げ人と同じ視点に立ってみるということですね。

さらに、広げ人に同調しつつも、リスクを考慮していって、アイデアに付加価値をつけていくことができれば、すごく良いなと思います。

野村さん:そう、まずは広げ人と同じ視点に立つということが大事ですね。

自分が、実行者の目線でしか見ていないと、はじめに思い浮かぶのは、工数だけになってしまいます。それを果たすためには、どれだけの人が必要で、どれだけの時間がかかるだろうかということだけ頭に浮かんじゃうんですよ。そうすると、アイデアに対して歯止めがかかってしまうんですよね。いきなり、現実的なところに落とし込まれてしまう。

なので、まずは広げ人のアイデアを面白がってみて、これに付加価値をつけるためには、どうしたら良いだろうと考えみるのが一番大事だと僕も思います。

メンバーとの人間関係を日々築いておくことも重要

井手:ここで1つ質問させてください。畳み人は、広げ人と実働メンバーとの架け橋的な存在になっていく必要があると思うのですが、広げ人のアイデアに対してメンバーがピンときていなかったり、メンバーのやりたいことと広げ人のアイデアの方向性があっていない時に、どうやってメンバーのモチベーションを高めていっているんですか?

野村さん:そうですね。この広げ人と現場の間で意識のズレが生じるというのは、よくあるパターンです。広げ人の言っていることって、結構、抽象的で、ともすれば朝令暮改に見えたりもするんですよね。

そこで大事なのが、広げ人が言っているアイデアが、「なぜ面白いのか?」を畳み人が言語化できているかということです。畳み人というのは翻訳をする立場でもあると思うんですね。

設楽さん:補足すると、広げ人と実践する人たちの間には、どうしても壁ができてしまうと思うんです。「明日までに、これ作っておいて」という広げ人の指示を受けて作ってみたら、「やっぱり、いらないや」って言われることも、実際、結構あったりするので。

それでも、アイデアの実現に向けてメンバーを惹きつけておくためには、地道な努力であるんですけど、メンバーとの人間関係を日々作っておくということも、すごく重要になってきます。

いやらしい言い方をすると、「箕輪がまたムチャクチャなことを言ってるけど、設楽が頼みにくるなら仕方ないなぁ」という状況を作っておけば、なんとかなったりするんです(笑)

井手:そういう意味で言うと、畳み人は、ただ仕事ができるだけでなくて、メンバーからの『愛され力』みたいなものも必要な気がしてきました。メンバーがモヤモヤした時に本音をさらけだしやすい関係性を築いておくというのも大切そうですね。

設楽さん:そうですね、それは間違いなく必要だと思います。

新規事業で必要とされる畳みスキル

野村さん:では最後に実践編という事で、『新規事業の畳み方』について、数々の新規事業に関わってきた設楽さんから、話をしてもらいます。

設楽さん新規事業って、いくつかパターンがあると思うんです。新規事業セクションができて、複数人が専任でやることもあれば、1人の新規事業担当者が通常業務と兼任で行うパターンもあると思うんですね。ただ、複数の新規事業担当が通常業務と兼務で行うパターンが、僕は一番多いと思うんです。

野村さん:そうですよね。新規事業って、メンバーを集めて、リソースの30~50%程度を使って、通常業務の片手間でやるようなことが多いですよね。

設楽さんそんなメンバー全員が兼務でやっている新規事業でよくあるイケてないケースを話します。まず、初めのMTGは盛り上がるんです。「あれもやろうよ、これもやろうよ、もしかしたらメルカリに勝てるかもね」みたいな感じで(笑)。でも、次のMTGの日程を決めようとなると、メンバーの予定がバラバラで日程が決まらないんですね。会議は盛り上がる割にスピード感が全くないというのが結構あるんです。

野村さん:これは、めちゃくちゃ、あるあるですね(笑)

設楽さんあとは、最初は、ある人が発案したアプリをつくろうと思っていたのに、MTGのペースが遅くてダラダラと一、二ヶ月しているうちに、「それだったら、こっちのほうが良いんじゃない?」みたいな話もでてきます。要はメンバー間に温度差がでてきてしまうんです。会議に出ている人、出ていない人もそうですし、初めのアイデアが良いと思っている人、変えたほうが良いと思っている人と、メンバー内がバラバラになってくるんです。

その結果、「じゃあ、やらないほうがいいんじゃない?」といった話になってきたりします。「もう、メルカリさんあるし」みたいな(笑)。もしくは、安全な方へ流れていって、新規性の乏しい置きにいったサービスが生まれてしまうことになるんです。

こうならないためにも、新規事業を立ち上げる時には、自分がアイデアの発案者である場合でも、畳み人スキルが非常に大切になってくると思うんですね。

僕が大事だと思っていることを幾つか紹介すると、まずは、会議で出たアイデアは必ず「スキーム図(ビジネスモデル図)」に落とし込んで、メンバー同士の意識の統一をします。要は、頭の中を同期させるということです。例えば、アプリをつくろうという時であれば、皆、頭の中で思い浮かべている画面も違うと思うんです。なので、UIのイメージだったり、ボタンの配置とかも図に書いて共有します。

そして、スケジュールを詳細に立てます。いつまでに何をして、スタートするかを詳細に落とし込みます。また、当たり前かもしれませんが、MTGは絶対にふわっと終わらせないようにしています。決まったことと次決めることを明確にしてから終わらせます。

あとは、リスク管理の観点から他社で似たようなことをやっているサービスがあれば、徹底的に研究します。それと、お金の管理ですね。もし、こけてしまった時に、どれくらいの怪我ですむのかとか、逆に成功した時に、どれだけの儲けがでるのかということを見積もっておくということです。

新規事業って、やっぱり、すごく大変なんですよ。広げ人であっても畳み人の要素が求められるので。ただ、最低限、ここさえ押さえておけば、プロジェクトは前に進んでいくと思うので、まずはこれらを意識すると良いのかなと思います。

畳み人の存在に光を当てていきたい

井手:それでは、最後に参加者の皆さんへ、メッセージをお願いします。

野村さん:改めて、今日はホントにありがとうございました!繰り返しになりますが、なぜ、僕らがこういう活動をしているかというと、世の中にでている情報が、圧倒的に広げ人に関する情報が多いと思っているんです。ビジネス書の棚を見ていてもそうですし、メディアで取り上げられ手いる人も、広げ人がほとんどです。

でも、実際にお仕事をされている皆さんはわかっていると思うんですけど、畳み人がビジネスを支えていると思っているんですよね。というか、広げ人も畳み人も価値は等価だと思うんです。

設楽さん等価だし、2つがセットにならないとビジネスが上手く回らないと思っています。

野村さん:なので、畳み人というと『縁の下のチカラ持ち』っぽく見えてしまうんですけど、畳み人って、すごく重要ということに光を当てていきたいと思っているんです。そのために、こういうトークイベントをしたり、Voicyで発信したりとか、サロンでオフラインでも活動をしていたりするんです。

今日、話を聞いていただいて、畳み人って大事だと思っていただいたり、自分が畳み人タイプだなと思ったら、自分の仕事にちょっと誇りを持っていただくことができたら、すごく嬉しいと思います。今日はありがとうございました!

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以上、『風呂敷 畳み人 モーニングトークショー』の内容をダイジェストでお届けしましたが、いかがでしたでしょうか?

ドラッガー先生の「execution is an art」という言葉がとても印象的で、世間から評価される事業やプロジェクトの裏には、必ず素晴らしい畳み人の存在があるということを、僕らは忘れてはいけないのだと思いました。

畳み人であろうと、広げ人であろうと、事業やプロジェクトを動かすうえで必要となっているビジネスを畳む力。畳み人としてプロフェッショナルを極めているお2人からの話は、とても学びが多く、朝渋で、改めて『風呂敷 畳み人 モーニングトークショー』の第二回目ができたらと思っています。

また、畳み人としてスキルを磨きたいという人は、是非お二人が主催する『風呂敷 畳み人 サロン』に入ってみていは、いかがでしょうか?

それでは、設楽さん、野村さん、朝早くから、ありがとうございました!

Text by 井手桂司(@kei4ide
Photo by 小澤彩聖(@ayato_ozawa

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★参考記事:
「スタートアップのCEOこそ、朝5時に起きるべき。」渋谷発の朝活コミュニティ「朝渋」プロデューサー、井上皓史さん (HARES.jp)