ーー2018年は「複業元年」。

「働き方改革」についての話題が日常に溢れている日本社会ですが、複業の浸透はまだまだこれからであり、複業について悩む人も、企業も多く存在しています。

「本業と複業の折り合いに悩んでいる」
「色々な複業のケースを知りたい」
「何から複業を始めたらよいのか、わからない」

こんな悩みを持つ方に向け、朝渋では『サイボウズ式で話題のサイボウズ株式会社 藤村能光さんと明石悠佳さんをゲストに迎え『メディアと語る朝渋』を開催。

朝渋代表の「5時コージ」こと井上、朝渋共同創業者、複業研究家でもある株式会社HARES CEOの西村創一朗の4名に、「公私混同の複業」のリアルについてお話いただきました。今回は、そのダイジェストをお届けします!

ゲストスピーカーのご紹介

藤村能光さん(写真左)
サイボウズ株式会社 コーポレートブランディング部 サイボウズ式編集長。編集視点で会社のブランドを作ることを目指し、今年はコミュニティー運営に注力。複業で事業会社のメディア運営を支援しつつ、オンラインコミュニティやサロンの活動にも参加。会社以外の場所でゆるやかなつながりを結ぼうとしている。8月からは複業で、企業のメディア運営アドバイザーにも挑戦。故郷の大阪や関西で複業がしたいと思っている人。(@saicolobe

明石悠佳さん(写真中央)
1992年生まれ、京都出身。2015年に新卒でサイボウズに入社し、1年半製品プロモーションの経験をしたのちコーポレートブランディング部へ異動。現在は「サイボウズ式」の企画編集や、企画ブランディングのためのコンテンツ制作を担当している。2018年1月から複業でフリーランスの編集者/ライターとしても活動を行なっている。Webコンテンツの編集ライティングに加え、今年は書籍の企画編集にも挑戦中。(@akyska

井上皓史(写真右)
1992年生まれ、新卒で株式会社インディバルに入社後、法人営業を担当。入社9ヶ月で、大学時代インターンをしていた株式会社div(TECH::CAMP)に出戻り入社。法人研修、人材紹介事業を立ち上げた後、株式会社トピカ(GOHAN)に転職し、法人営業、人事、広報を担当。ライフワークとして、新卒2年目から朝活コミュニティ「朝渋」を立ち上げ、現在、参加者1500名を越える著者イベントを開催、145名のコミュニティを運営している。2018年8月、ライフワークだった朝渋に本格的にコミット。日本の「朝」を変える。 (Twitter:@kojijico)

複業の3W(What/Why/When)を教えて!

西村(当日のファシリテーター):本日は、複業の3W「どんな複業を(What)」「どんな動機で始めて(Why)」「その複業をいつしているのか(When)」を順番にお伺いします。まずはWhatについて、いかがでしょうか?

藤村さん:僕は企業のメディア作りやチーム作りのお手伝いと、イベントのモデレーターとして複業しています。8月からは、今治タオルを販売している「イケウチオーガニック」さんにジョインしています。

明石さん:私は大きく分けて4つです。1つはWebメディアでのライティング、2つ目は書籍の編集、3つ目はイベントやセミナーでの登壇、4つ目は本屋さんを作るプロジェクトにアサインしています。

井上:僕は元々、複業として朝渋を運営していました。現在は勤めていた会社を退職したので、複業ではなく朝渋の運営一本になりました。

大学生や社会人になると、みんな急に夜型の生活になるじゃないですか。そこで、朝型生活の素晴らしさを伝えていくことが、自分の人生のテーマだと思い朝渋が生まれました。「夜型の生活は無理だ!」という、怒りの感情が元になって複業が始まりましたね。

西村:なるほど。怒りの感情を元に「自分が世の中を変えよう」と思い立ったわけですね。明石さんは、いつから、そしてなぜ複業を始めたのですか?

明石さん:私は2017年の冬から、ポジティブな理由で複業を始めました。学生の頃からライターや編集者に興味があり、「自分が”面白い”や”良い”と感じたことを、適切な言葉で伝えられる人になりたい」という価値観を持っていました。

ただ、サイボウズの考えは自分が面白いと感じていることの1つだけど、文学や音楽、暮らしなどのカルチャーについても興味があったので「サイボウズ式ではできないことをしたい」と思ったことが、複業を始めるきっかけです。

西村:今いる場所でできることはそこで頑張ればいいけれど、できないことを複業として関わることができるのは”複業の醍醐味”ですもんね。

サイボウズさんは以前より複業OKでしたよね?藤村さんはなぜこのタイミングで複業を始めたんですか?

藤村さん:安定志向だからですね。僕はこれまで会社員としての働き方を選んできましたが、これから先は「会社で働く」という軸のみでは、「将来的に不安定なるのではないか?」と考えたんです。

昔から安定志向なのはずっと変わらないのですが「同じ場所にいることこそが不安定なのではないか」と意識が変わってきたことが、複業を始めたきっかけですね。自分が安定するために軸を増やしたい、そのためにも今いる会社以外にも軸を求めてみたいと考えました。

西村:安定志向だからこその複業は、すごく大事なことだと思っています。1つの会社のみで働くということは、1本足で立っているのと一緒です。

なので、自分のキャリアを分散投資して、1つの軸がダメになっても他の軸でリスクヘッジができるようにすることは、安定志向には重要だと思います。

井上:ベンチャー企業で働く人が複業をすると「1つのことにコミットしろよ」って言われるんですけど、ベンチャーこそいつ倒れるかわからないので、自分の軸を持つっていうことはすごく大切だと思っています。

西村:本当におっしゃる通りだと思います。そんな中、皆さんはいつ複業をしているんですか?When(いつ)についてお聞きしたいのですが。

藤村さん:サイボウズは朝8:30出社、夕方17:30退社のスケジュールです。複業はサイボウズ業務時間外の平日の夜や休日などを使い、週に10時間前後でしょうか。

具体的にいうと、オンラインツールを使用して複業先とコミュニケーションを取ったり、必要なドキュメントを作成したり、メディア作りに紐付くチーム作りがメインの業務です。

サイボウズも”チーム”を大事にする会社なので、サイボウズで得たものを複業に活かしながらも、複業で得たものをサイボウズにフィードバックして、良い循環を起こしたいとも思っています。

明石さん:私は、平日はお昼休みや夜に2〜3時間、休日は4時間前後、合計で週20〜30時間は複業をしています。個人的には仕事という感覚はあまりなく、ハードスケジュールになっても楽しくお仕事できていますね。

井上:僕は、会社員時代の平日は朝7:00〜9:00、土日で5時間前後、合計で週20時間前後は複業していました。オンラインでのやり取りも含めると30時間くらいは時間を使っていたと思います。

公私混同って良いこと?悪いこと?

西村:今日のテーマ”公私混同”について「仕事と私生活は分けるべきだ」とネガティブなイメージを持っている人がいる中、最近は落合陽一さんが”ワークアズライフ”を提唱していたりします。

藤村さんは公私混同について、どう考えていらっしゃいますか?

藤村さん本業をしっかりやっていて、さらに複業もできる”自立しているメンバー”であれば、公私混同の複業も問題ないと思います。

自立しているかどうかの判断は自分自身では難しいですが、スキルや市場価値が高いことよりも、チームから信頼されているかどうかの方が重要だと思っています。

サイボウズでは、週に1度マネージャーとメンバーとで1on1の面談をする時間があります。なので、そこで個人の結果や成長をみて、「社内での信頼度」を定性的に判断しています。

明石さん:私は公私混同の働き方はすごく良いと思っています。一緒にお仕事をしたい人や、好きな人たちと仕事ができていること、公私混同の働き方の醍醐味はこの一点に尽きるなと。

結局、好きな人たちと仕事をしているので仕事も楽しいし、プライベートでも仲良くなるので、幸せを感じることが多いです。

井上25歳〜26歳、そしてベンチャー企業でよくある悩みを複業で解消できていたと思います。平均年齢が若い組織だと、悩んだときや迷ったときに相談できる上司がいない場合がある。僕はそこの足りていない部分を、複業で埋めていたという感覚です。

「複業」にまつわる事件を教えて!

西村:とはいえ、僕は公私混同について「混ぜるな危険。」の側面もあると考えています。公私混同の複業をして、トラブルが生じた経験はありますか?

明石さん:一度だけ、プライベートと仕事のすみわけが曖昧になって、どこまでコミットしていいのかが分からなくなっていたことがあります。何気ない会話から「面白いね!」と関わるようになった仕事が、気付いたらすごく膨らんでしまっていた。

原因は、始める前に具体的な業務の内容を決める時間を設けていなかったことです。なので、サイボウズの”説明責任と質問責任”の考え方で、「これを進める上でのお互いのベストは何だろう?」と、きちんと話しました。

嫌な思いをしたとかではなく、”線引き”が難しいなと感じましたね。

藤村さん:僕は社内の人から「藤村、複業ばかりしているな」と思われていることがあります。実際はサイボウズの仕事が10、複業が1、要するにサイボウズの仕事を10やった上に、複業をプラス1しているのですが、見え方と事実にズレが生じていることがあります。

そしてサイボウズには、「サイボウズ式編集長です」といった”サイボウズの資産”を使って複業をしていることを可視化できる、kintoneを使用した複業申請アプリがあります。僕は社内の中でも、サイボウズの資産を使った複業の数が多い方なので、そういう見え方がしてしまっているのかもしれません。

今やっている対策としては、複業をどういう状態でやっているのか、上司やメンバーに隠さずに伝えています。本業の時間に複業のタスクが被ってしまう場合は「30分だけ複業に使用します」などをしっかりと周りに伝えています。

西村:サイボウズさんは「公明正大」を大切にしていますもんね。

明石さん:私はまだ大きな事件に出会ったことはないんですけど、体調を崩すことはありそうだなと懸念しています。締め切りなどが重なると睡眠時間を削ることもしばしばあるので、気をつけていきたいです。

井上:僕は社長に「また朝渋か!」「給与に不満があるのか?」と言われていました。だけれど、「絶対に会社に還元します」というスタンスでコミュニケーションを取っていましたね。結局いまは、朝渋での経験を活かして、過去に勤めていた2社のコミュニティー運営のお手伝いをしています。

西村:僕は2013年から複業をしていたんですけど、当時の上司が僕のFacebookを見て「本業を頑張らずに、他の仕事を勤しんでいるだろ」と言ってきたことがあります。すごく痛烈なメッセージが上司から来たという、ネガティブな出来事を経験しました。

SNSなどのオンライン上での姿が「全て」と思われてしまうこともあるので、オンライン上での発信と共に、オフラインでの周囲とのコミュニケーションを意識することもすごく大切だなと思っています。

これから複業をはじめたい!何からはじめたら?

西村:これから複業を始めたいという人に向けて「何から始めたらいいか」アドバイスをお願います。

藤村さん:はい。僕のモデルケースになりますが、まずは本業の仕事を頑張って自分を”磨く”ことが1番ですね。

僕も今の会社で12年〜13年務めてやっと「サイボウズ式の編集長」になり、自分の仕事の領域がわかりやすくなった。そして、その実績が1人よがりではなく、周囲の人たちにも「メディア良い感じになってきたね」と言われ始めてから今の複業に繋がっています。

なので、まずは今いる会社の仕事を頑張って、その中で自分の資産となるスキルを上げていく。そこから自分の資産を社会に還元するという流れが作れたらいいのかなと思います。

西村:そうですね。色々な複業の始め方があると思いますが、まずは本業で成果を出して、自分のキャリアに「タグ」をつけることが大事だと思います。明石さんはいかがですか?

明石さん:まず「なんで複業を始めたいと思ったか」と自分の気持ちに向き合うことが大事だと思っています。複業って様々なケースがあるので、何を得たいのか、どういう複業がしたいのか、を決めることから始めるといいんじゃないかなと。

西村:その通りですね。僕も「複業を始める3つのステップ」の話をよくするんですけど、まずは「Why(なぜ)」を考えることが大切だと言っています。

「最近流行っているから」「簡単にお小遣い稼ぎができそう」などという理由で複業を始めても、うまくいったケースを見たことがありません。まずは一生懸命に本業で成果を出して、自分のキャリアの幹を育てること、Whyを考えること、これが大事だと思います。

井上くんはいかがですか?

井上:藤村さん、明石さんの言うとおりだと思います。なので僕からは「早寝早起きをしましょう」と言いたいです。ポジショントークではなく、本業が忙しい中で複業を始めると「どこで時間を作ろう」と悩みがでるはずなので。

早起きした時間を使って複業に取り組んでもいいですし、読書をするなり、ブログを書くなり、複業ではない何かにコミットして「人生の土台」を作ることもありだと思います。まずは習慣をつけることから始めてみるといいんじゃないかなと思います。

「公私混同の複業」スピーカーへの質問

質問:「複業推進5か条」について詳しく知りたいです!

西村:はい。1つ目の「先義後利」は、儲けが先ではなく、まずは価値を提供してからその対価としてお金をいただく、ラクして稼ごうと思ったらダメですよという考え方。

2つ目は「本業専念」、これは本業しかやるなという意味ではなく、しっかり本業の成果を出そうという意味です。複業をしているから本業で成果が出ていないと思われるの、嫌ですもん。

3つ目は「公明正大」、自分がやっていることを周囲にちゃんと伝えましょう。4つ目は「自己管理」、睡眠時間を減らしたりはしないでください。5つ目は「他者配慮」、複業ができるのは労働者の権利ですが、複業をやらせてもらっている感謝を、上司や家族にちゃんと伝えましょうということです。

質問:複業を本業の延長線上に捉えないという考え方はアリですか?本業で得たスキルとは違うことを複業でやるということについてどう思うか。

明石さん:個人的にはアリだと思います。先ほども少し触れた話ですが、本業ではできないことをできることが、複業の醍醐味でもあると思います。

藤村さん:僕もアリだと思います。先ほど複業の話をしましたが、その話以外でも「#銭湯再興プロジェクト」などにも関わっています。お金はいただいてないですが、自分の好きなことに投資する時間によって本業に活きてくることってあると思うんです。

なので、やりたいことや興味のあることがあれば、本業や複業を問わずしてやっていったほうがいいのではないでしょうか。

質問:藤村さんが言っていたWhyの話で「軸が会社1つだと将来的に不安定なるのでは」と感じた具体的なエピソードがあればお伺いしたいです。

藤村さん:はい。サイボウズでは、よく「市場価値」の話をします。めちゃくちゃ簡単に言うと「あなたに価格をつけるとしたらいくら?」ということです。

なんですけど、長く同じ会社に勤め、転職活動もしていない、となると自分の市場価値が分からないと感じたことが不安の源泉でした。そこで、「自分の会社以外の判断軸を見てみたい」思ったことが、複業のきっかけでした。

質問:複業には「サブ」と「パラレル」という2つの形があると思うのですが、これについてどう思いますか?

藤村さん:僕はサブではなく、パラレルです。この2つの定義は「サブ=お金のため」に、「パラレル=生きるため、自分の軸を増やすため」と捉えています。自分の時間をどこに投資すれば、自分の存在価値が最大化されるかと合理的に考えたんです。

本業だけでは得られない、お金には変えられないコミュニティーや繋がりを重視しています。

明石さん:どちらに優劣があるという話ではないんですけど、考え方は私もパラレルです。ただ、最初はサブだったかもしれません。どうしてかというと、自分がどこまで複業にコミットできるか、複業ってどんなものなのか分からなかったからです。

徐々に充てる時間などを増やし、今ではパラレルに近くなって来ました。

井上:僕もパラレルに近いですね。朝渋が大きくなってきたこともあり、本業の会社の仕事にはズバズバ言っていました。「この仕事はやらない」「この仕事だと朝渋があるのでもっとバリュー発揮できます」というような、見せ方をしていました。

ここ半年で、明日クビになっても「朝渋があるので大丈夫」と自分の意見を言いやすくなっていましたね。

西村:僕は「パラレルキャリア」といワードがちょっとだけ古くなっているような気がしています。現代は「スパイラルキャリア」だと思います。

ワークアズライフ的、公私混同的な考え方で言うと、スパイラルのように本業と複業をどうミックスしていくかが重要かなと。「本業で成果を出すために、いま何が足りていないか」を考えることも大事です。足りないピースを複業で得る、このスパイラルキャリアの思考を僕はオススメしています。

井上:ありがとうございました!今日から行動に移せるようなアドバイス含め、一言をいただけますでしょうか?

藤村さん:はい。まずは自分が心身ともに良い状態でいることが重要だなと思っています。複業は無理をしてやることでもないです。何か新しい自分を見つけたり、心身共に良い状態になるためを第一に考えていきましょう。

明石さん:お仕事ってすごく楽しいものだなと感じています。「自分が楽しいと感じることに、忠実に生きよう」と思うことが、今すぐ考えて行動できることなのかなと思います。

西村:「仕事を楽しめることは幸せだ」という価値観はすごく大事です。どのような複業をしたら自分は幸せなのか、人生が豊かになるのかを考えて、何か一歩を踏み出せてもらえたら!

 

ー以上、~メディアと語る朝渋~ サイボウズ式「公私混同の複業」をお届けしました。

藤村さん、明石さん、朝早くからありがとうございました!

Text by 須崎千春(@chih_suz
Photo by 矢野拓実(@takumiYANO_

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★参考記事:
「早起きすれば“自分の軸”で生きられる。5時こーじが語る「朝活の魅力」が想像以上だった」(新R25)
「スタートアップのCEOこそ、朝5時に起きるべき。」渋谷発の朝活コミュニティ「朝渋」プロデューサー、井上皓史さん (HARES.jp)