社内外でのプレゼン、セミナー、そしてチーム・コミュニティ内での発表…。
職種や肩書きに関わらず、大なり小なり「人に何かを伝える」ことから逃れられない昨今。
ビジネスだけに留まらず、個人として人前に立つ機会も多々あるのではないでしょうか。

でも、一度経験したことのある人ならわかるはず。
「人に何かを伝える」って実はものすごく難しい。

ちゃんと用意してきたはずが言葉がうまく出てこなかったり、反応がなく場がシラけてしまったり。

ズブの素人のプレゼンを、退屈せずに聞いてもらうにはどうすればいいんだろうか?

今回お話を聞くのは、かつて「しくじり先生」に出演し、その圧倒的なプレゼン力を見せつけた中田敦彦さん

「喋ること」を生業とする『芸人』に加え、『慶應出身』の肩書きを生かしたアカデミックな活動や音楽活動など、幅広い環境で常に何かを「伝え」続けてきた彼が説く、「伝え方」の秘訣とは…?

<ライター:ゆぴ(17)>

中田敦彦(なかた・あつひこ)さん
オリエンタルラジオのボケ担当。2004年のM-1グランプリで 準決勝に進出し「武勇伝」ネタで一躍注目を浴びる。2014年に中田の実弟であるFISHBOYらとダンス&ボーカルユニットRADIO FISHを結成。2015年12月の配信限定シングル「PERF ECT HUMAN」から火がつき、同曲が、2016年の「第49回日本 有線大賞・有線話題賞」「第58回日本レコード大賞・企画賞」を 受賞し、その年に「第67回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。
卓越したプレゼンテーションやコメンテーターとしての鋭い発言、RADIO FISHとしての音楽&ダンスパフォーマンスなど、芸人の枠に収まらず多彩に活躍中。

「長く、難しい」プレゼンは最悪。「その言葉、なんだろう?」と思わせたら大失敗!

中田さん:
まず、「やってはいけないこと」からお伝えしますね。今から話すことはとても基本的ですが、みんなが出来ていないことです(笑)。

ひとつめは、「長くてむずかしいこと」
「長い」というのはすべてにおいて良くないんです。どんなネタでも長すぎると絶対にスベりますからね!!(笑)

映画でも、内容が面白かろうが「6時間あります!」って言われたら観る気も起きないし、疲れちゃうでしょ? だから、長いと思わせた時点でおしまいなんです。

プレゼンっていうのは「伝える」ためにやるわけであって、「自分をすごいと思わせる」ためにやるのではない。大事なのは、己の価値を知らしめるのではなくて、いかに情報をしっかり伝えていくか、ということ。

みんなそこを取り違えて難しい言葉を使おうとするじゃないですか。「アジェンダ」とか、「CSR」とか(笑)。でも、例え自分にとってはそれが常用語だとしても、実はそれが自分の周りだけで通用している専門・業界用語なんじゃないかって言うのを一度立ち止まって検証してみてください。

プレゼンは、「その言葉、なんだろう?」って思わせたまま進んでしまった時点で大失敗なんです!!

確かに、プレゼン中はみんな黙って聞いているし、質問もしてこないと思うけど、人は、「自分のことをバカだと思われたくない」と思う生き物。自分のことをスマートに見せたいから、絶対に質問してきませんよ(笑)。

プレゼンで、難しい言葉を使わないコツは、「NGワード」を設定することです。例えば、「マルクス」を説明するときに、「社会主義」を使わない、と決めちゃうとか。マルクスといえば、社会主義の人なのに、そのワードを使えないとしたら、どう説明すればいいだろう? と考えれば、子どもにでも伝わるような、ものすごくわかりやすいプレゼンになるはずです。難しい言葉は人を圧迫するだけで、気持ちを通わせることはできませんから。

プレゼンはビジュアルで伝えるもの。文字量の多さは自信のなさの表れ

中田さん:
そして、プレゼンの最中は「読まない」ことがとても大切です。

人は、言葉を聞いているようで、実は目から情報を得ています。だから、駅前で演説をしている政治家の言葉は胸に響くけど、カンペやスライドをずっと見ながら喋っている人の言葉は「本当じゃないな」なんて思っちゃうんです。

プレゼンテーションは、ビジュアルなんですよ。

でも、駅前で演説していた政治家も、ひとたび当選したら、今度は失言して炎上しないように原稿を読み始める。そうすると一気に言葉が人に届かなくなります。ミスしちゃいけないプレゼンってつまらないんですよね。

同様に、プレゼンのスライドや資料の文字量も極力シンプルにするのも必要です。人は目から受け取れる情報のキャパシティがあるので、それをオーバーしてしまうと思考がシャットダウンして何も入らなくなっちゃうんですよ。

資料を細かい文字で埋め尽くす人もいますけど、これって要するに自信がないからなんです。

僕の本を見てください、情報量が少ないでしょう。伝えたい情報はただひとつ、「中田が書いた」っていうことだけですから(笑)。でも、確実に伝わるよね。 タイトルも写真も正々堂々パクってますけど、パクったことも伝わるくらいわかりやすいでしょ?

プレゼンをするときは、自らハードルを高く上げていこう

中田さん:
次に、「やったほうがいい」こと。あってもなくていいけど、あると美味しい”シナモン”のようなものとして捉えてもらえればと思います。

まず、「実体験を入れる」こと。みんなプレゼンのときに個性を消しがちですけど、ハッシュタグが自分にどれだけあるかを探して、並べてみてください。#慶應出身 とか、 #お笑い とか。 #転勤族 みたいなしょうもないハッシュタグでも、世界を変えたら価値あるものになるんです。

宇宙に出たら、 #地球人 ですらハッシュタグになりますからね!! (笑)

僕も、お笑い業界でお笑い芸人のハッシュタグを使っても仕方がないけど、他の分野で使えばそれは武器になるんです。

次に、「人に向かって話す」こと。プレゼンがうまくできなかった人に聞いてみると、だいたい1人で練習しているんですよね。1人でやるのと、人前で話すのとでは全然違うんです。何回も誰かにプレゼンして、フィードバックをもらうようにしてください。

僕もよく『武勇伝』でネタをすっ飛ばしていたんですけど、漫才と違ってごまかすことができないから苦労していました(笑)。そんなふうにならないように、まず暗記をするということが大事ですね。練習は、暗記の先にあるんです。

最後に、「ハードルを上げる」こと。人は、追い込まれることではじめて頑張れるんです。だから、話すのが苦手な人ほどガンガンハードルを上げていきましょう! 「お聞き苦しいですが〜」とか「人見知りなんですけど〜」みたいにハードルを下げて始めたら絶対にダメ。

自分で大舞台を作って、「4番バッター」になったつもりで覚悟を決めてください。ホームラン予告をするのが、観客への礼儀です! 予告宣言は大きければ大きいほど、注目され、期待されます。「やるしかない」状況を自ら作り出してください。

ピンチのときに拾い上げるものが、自分の個性かもしれない

中田さん:
僕の好きな漫画に「寄生獣」というのがあります。端的にいえば、特定の人に寄生して洗脳し、人間たちをどんどん食べていく、という寄生生物が地球にやってきて、寄生生物と人間との戦いが始まる、といった内容です。

そのラストエピソードで主人公の前に「後藤」という5体の寄生生物に寄生された強敵が現れるんですけど、通常は人間1人につき、1寄生生物だから、まぁ強い!!

そんななか、武器を失った主人公が苦肉の策でそのあたりに落ちていた棒を拾い、後藤に突き刺すことで倒すことができたのですが、よく見るとその棒は、人間が森に不法投棄した廃棄物だった、というオチです。

要するに何が言いたいかというと、窮地に陥ると、しょうもないものが強い個性になったりするんですよ。

例えば、オリエンタルラジオがレギュラー番組を失ってピンチだったとき、たまたまM-1やR-1の優勝者たちと、とある番組に出させてもらったことがあったんです。そこで、「オリラジは武器を持っていないのになぜここにいるんだろう?」と考えました。それは、武勇伝が売れたから。じゃあ、なぜ売れたのか。…「リズム感」だ!と閃いたんです。

そんな、一見強みなのかもよくわからない「個性」が1年後、RADIO FISHになったんですよ。

だから、一見悪口のようなことにも、嫌がらずに耳を傾けてみる。他人に「あなたってこういう人だよね」と言われたら、それってものすごい個性じゃないですか。

それがオリラジの場合は「リズム感」だったし、俺の相方の藤森の場合は「チャラ男」だった。チャラ男なんて、批判の対象にしかならない「産業廃棄物」じゃないですか(笑)。でも、彼はそれをコンテンツに昇華させた。ピンチのときはそういうものが武器になるんです。

だから、躊躇する必要なんてない。使えるものをすべて使って、個性を磨き、自分にしか伝えられないことを「伝える人」になってください。

中田さん、朝早くからありがとうございました!

Text by ゆぴ(17)(@milkprincess17
Photo by 矢野拓実(https://takumiyano.com

 

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