おはようございます。朝渋の井手です。

現在、年間で約30億着の洋服が世界で配給されるなかで、その半分が売れ残り、大半が未使用のまま捨てられるという事実をご存知でしょうか?

そして、大量の廃棄焼却処分により発生する二酸化炭素(CO2)。

このままだと遠くない未来に地球で大変なことが起こるかもしれないと叫ばれるなかで、僕たちの消費のあり方は、本当にこれでいいのか…?

そんなことを考えるきっかけを僕にくれたのが、約1年前に朝渋に登壇いただいたファクトリエ代表・山田敏夫さんです。

「衣料品や食料品が世界中で大量に捨てられている一方で、飢餓や貧困に苦しむ方々も大勢いる。本当に、このままの消費スタイルでいいのだろうか…?。」

「大量生産・大量消費という考え方を改めていくには、“つくり手の想い”を感じ、愛用したいと思えるような価値観をつくっていかないといけない。僕はそこに人生をかけて挑戦したい。」

そう熱く語っていただいた山田さんの話に深く考えさせられ、僕も「未来にツケを回さない生き方ってなんなんだろうか?」と考えるようになりました。

あれから一年。ファクトリエのこれまでと今。そして、アパレル業界の「新しい当たり前」をつくろうとする山田さんの歩みを、一冊の本にまとめた書籍『ものがたりのある ものづくり』が発売されました。

そこで、朝渋では、改めて山田さんをゲストに迎え「著者と語る朝渋のゲスト」を開催。

「落ちこぼれの挑戦」をテーマに、どういう歩みを経て、山田さんが現在に至ったのか?そして、その挑戦のなかで学んだことについて話を伺いました。

今回は、その様子をダイジェストでお届けします。

山田敏夫(やまだ・としお)さん。ファクトリエ代表/ライフスタイルアクセント株式会社代表取締役。1982年熊本県生まれ。大学在学中、フランスへ留学しグッチパリ店で勤務。卒業後、ソフトバンク・ヒューマンキャピタルへ入社。2010年に東京ガールズコレクションの公式通販サイトを運営するファッションウォーカー(現株式会社ファッション・コ・ラボ)へ転職し、社長直轄の事業開発部にて、最先端のファッションビジネスを経験。2012年、ライフスタイルアクセントを設立。2014年中小企業基盤整備機構と日経BP社との連携事業「新ジャパンメイド企画」審査員に就任。2015年経済産業省「平成26年度製造基盤技術実態等調査事業(我が国繊維産地企業の商品開発・販路開拓の在り方に関する調査事業)」を受託。年間訪れるモノづくりの現場は100を超える。

落ちこぼれの星の下で生まれた。

山田さん

いきなりですが、皆さんは、今着ている服が、どこで作られた服なのかをご存知でしょうか?

メイドインチャイナなのか、ベトナムなのか、バングラディッシュなのか、即答できる人って、なかなかいないですよね。

現在、僕らが洋服を買うときの基準は見た目のデザイン性と価格。この2つで判断をします。でも、僕はそこに、「誰がどういう想いでつくっているのかという」という3つ目の基準を作りたいんです。

今日は、僕がそう思った背景と、これから何を成したいのかを伝えたいのですが、一番のテーマはこちらです。

『落ちこぼれの挑戦』

こんな落ちこぼれの僕のこれまでをお伝えすることで、これから挑戦したいという人にとって、何か得るものを持って帰っていただけると嬉しく思います。

まず、僕の落ちこぼれ人生は小さい頃から始まります。

僕は熊本市内で100年続く服屋の息子として生まれました。店の上に家があって、部活のない人は店番をするという典型的な商店街の息子です。

小さい時から、ソフトボール、サッカー、剣道、バスケットボール、水泳、陸上など、色々なスポーツをやりましたが、全てに共通して言えることは、どれも1回もレギュラーになれませんでした。

頭もよくなくて、小学生の時に塾に行こうとしたら、頭が悪すぎて塾への入学を断られるという本当にショッキングな事件もありました。

そして、20歳でパリに留学した矢先に、スリにあって、全財産を失ってしまったんです。

僕は、不器用という星の下で、一直線に走り続けているんです(笑)

なんとかお金を稼がないといけないということで、働ける先を探し回ったなかで、唯一雇ってくれたのが、パリにあるグッチのお店でした。仕事は、地下の在庫置き場でひたすら商品の整理などから始まり、最終的には店頭で接客もやらせてもらいました。

この時に、グッチで働いている同僚から「日本には本物のブランドがない」と言われたんですね。ユニクロや無印良品は日本の外に工場がある。日本国内で作られているもので、世界に知られているブランドはないじゃないかと。

彼らに、グッチもエルメスも、工房から生まれたブランドであって、ものづくりからしか本物のブランドは生まれないと言われて、ハッとしたんです。それまでは、どこで作られているものなのかなんて、考えたこともなかったんですね。

その時に、日本のものづくりから世界に通用するブランドをつくりたいと思ったのが僕の人生を決めた瞬間でした。

わからないことだらけの日々。

山田さん

僕は29歳の時に『Made in japan』で世界一流のブランドをつくるために、ファクトリエを起業しました。

当初、一緒にやってくれる工場を見つけるために、日本全国の様々な工場を回りましたが、どこも相手にしてくれませんでした。

なぜかというと、資本金がたったの50万円で、社員は僕一人だけだったんです。そんな状態だったので、なかなか信用してもらえませんでした。当時は週末にバイトをしながら、家賃4万円のアパートで極貧生活をしていたんです

でも、実家にある熊本の工場が一緒にやってくれると手をあげてくれて、そこで自分が本当に良いと思うシャツを工場の人たちと一緒につくったんです。その数は400枚。1枚5,000円の支払いを工場にする必要があるので、合計200万円を翌月までに用意しないといけません。

でも、蓋を開けてみると全く売れません。商品ページのアクセス数が1から伸びない。僕しか商品ページを見ていない日が続いたんです。

そこで僕が最初にやったのがクラウドファンディングです。2012年にCAMPFIREが立ち上がったばかりの頃に実行し、100枚完売して合計100万円ものお金が集まりました。よかった。これはいけるぞと思いました。

ですが、まだあと100枚売らなくてはならないですよね。でも全然売れなかったんです。なんでだろうとクラウドファンディングでお金を出していただいた人の名前を見たら、全員知り合いだったんですね。ご祝儀としてシャツを一枚買ってくれたみたいな感じだったんです。

それから、シャツを使ってくれそうなホテルやレストランやタクシー会社を山ほどリスト化して電話をかけまくりました。でも、おつきあいしている会社があるからとかで、どれもダメでした。

最後は、無償でビジネス服の着こなしセミナーをやらせてもらう代わりに、最後にシャツを売らせてくださいと企業に持ちかけました。100社にアプローチすれば、3、4社からOKをもらえます。でも、セミナーをやってもなかなかシャツは売れません。セミナーの窓口をしていただいた人事の方とかが、可哀想だからシャツを買ってくれたりして、なんとか予定枚数を売り切りました。

こんな風に、全くわからないことだらけの中で、僕はやってきたんです

価格ではなく、価値で勝負していく。

山田さん

ここから、僕らファクトリエがつくりたい未来について話をさせてください。

現在の日本国内のアパレル産業の現状をいうと、日本のアパレル国産比率は1990年には50%だったのが、現在3%を下回っています。日本製の服ってほとんどないんです。もう絶滅危惧種と言ってもいいかもしれません

でも、僕は事実と解釈は別だと思っています。日本のものづくりの工場は絶滅寸前というのは事実。ただ、これをヤバいから手を出さないほうがいいと捉えるか、チャンスだからチャレンジしてみようと捉えるのかという解釈は自分次第ですよね。

僕はチャンスだと思ったので、日本が世界に誇れる工場の方々と一緒にチャレンジを続けています

工場の現状をお話すると、日本でアパレルのものづくりをやっている工場は、基本的に下請けなんです。有名なブランドを持っている会社から仕事を受けて、指定されたものを作っています。

でも、発注元から金額を叩かれて、叩かれて、儲からなくて、赤字になって、人が採用できなくて、意欲が下がって…という負のサイクルに陥っている工場がほとんどです。これは、アパレルだけではなくて、様々な業界のものづくりの現場でも起こっています。農業もそうですし、金型もそうです。

この負のサイクルをひっくり返したいというのが、僕らがやっている事です。

ファクトリエは、野菜の産地直送みたいなことを洋服でやっています。つくり手の顔が見える野菜を買うように、つくり手の想いで洋服を買っていただく方を増やしたいからです。

そして、僕は『価値づくり』というのが、すごく大切だと思っています。

価値づくりの対極にあるのがコスト意識ですよね。安くするとか、セールをするとかって簡単なんですよ。でも、1万円の価値があるものを1万円で売るって、すごく難しい。1万円のものを売る時って、3万円くらいの価値を伝えて、「こんなものが1万円で手に入るのか。お得だなぁ!」と思ってもらえないと、なかなか人は買わないですよ。

シャンパンで有名なフランスのシャンパーニュ地方がありますが、ここはフランス国内で一番所得が高いエリアになっているのをご存知でしょうか?パリより、高いんですよ!でも、そこでやっていることは農業なんです。ものづくりをやっているんです。ちゃんと価値が評価をされているから、お金が入ってくるんですね。

こういう事実を知って、僕は値段を下げて勝負していくのはやめようと思いました。価値を生み出して、それを評価してもらって、買っていただく。そういう循環を作れると、つくり手はポジティブになるし、仕事に誇りが持てる。

だから僕は、どうすれば工場の価値が高まるのかを考えることを大切にしています。ただ単純に作業をするだけだと、ミャンマーやバングラデシュの工場の方が人件費が圧倒的に安いので絶対に勝てません。

なので、ファクトリエでは、工場の名前を出して、価格も工場に決めてもらって、どういう想いを持っている工場なのかを伝えて、「この工場がつくっているものなら、買いたい」という方を増やす手伝いをしています。

一人ひとりが燃える火種に。

山田さん

こう話していると潤風満帆のように見えるかもしれませんが、今でも失敗ばかりです。直近でいうと、横浜の店舗を閉店したり、海外注文で詐欺にあったりと、失敗の連続なんです。

そして、こういうことが続くと人が抜けていってしまうんです。コアなメンバーも会社から離れていきました。これは全部、僕の責任なんです。チームで起こっていることは、僕の映し鏡なんです。

なので、様々な本を読んだり、勉強したりして、リーダーシップやチームって何なのかと考えました

結果として行き着いたのは、なんのために仕事をしているのかを各自が考えないといけないと思ったんです。

そこで、メンバー全員に、個々人のビジョン達成に向けた成長シートというのを書いてもらいました。未来のなりたい姿。中期の目標。直近3ヵ月の目標。上手くいっていることと、苦戦していること。今後の具体的な行動。そんなことを書いてもらいます。そして、これをもとに3ヶ月に1回くらい、面談をしています。

全員のなりたい姿を知って、メンバーが手を抜こうとすると僕は厳しく言います。そして、僕が個々のメンバーに求めていることも、その場で伝えるようにしています。全員と向き合おうと思って、これをやりはじめました。

僕は、仕事とは“私事”だと思っています。自分がやりたいからやる。自分の理想の状態になるためにやる。でも、人間は堕落していく生き物だから、毎日忙しかったりすると、自分が将来どうありたかったのかなんて、簡単に忘れてしまいます。作業になってしまうんですね。なので、メンバーにはなりたい自分の姿を忘れずに、自分の仕事を私事として生きてほしいと思っています。

そして、こういった取り組みをすると、みんなが自主的に様々な活動をしてくれるようになりました。あるメンバーは毎週日曜の夜に「ファクトリエ通信」というライブ動画を配信したり、あるメンバーは「会社をよくする委員会」というのを立ち上げたり。

こうやって一人ひとりが燃える火種となれれば、その熱はお客さんや工場にも伝播していくと思うんです。そして、ファクトリエで働くことにやりがいを感じるだろうし、そんなファクトリエに入りたいという人も増えていくるはずです。

一般的に、組織を構成する全員がやる気を発揮するのは難しいと言われていますが、ファクトリエは全員がやりがいを持って、フルパワーで動いている集団になりたいと僕は思っています。

共感する夢に生きよう。

 

山田さん

最後に、ファクトリエのメンバーにもよく伝えている言葉を紹介します。

それは「共感する夢に生きる」という言葉です。

例えば、幕末において、坂本龍馬が描いた夢に共感して、海援隊のメンバーは龍馬の夢と共に生きたと思うんですね。

僕もファクトリエを創業して、日本のアパレル産業に革命を起こしたいと思っていますが、坂本龍馬のようになりたいと思っていたわけではないんです。僕もファクトリエみたいな会社があったら、そこに就職したかった。でも、そういう会社が世の中になかったので、仕方なく自分で会社を起こしました

自分の仕事を私事にしていくには、自分が本当に共感できる夢に乗っかって生きていくことが大切なのではないかと思っています。

それがファクトリエなら、ファクトリエで働けば良いし、違うところに共感するのであれば、そこで働けば良い。でも、何かしらの夢に共感して生きることが、働きがいもあるし、幸せになる道だと思うんですよ。

最初の話に戻るんですけど、僕は相対的評価の世界で言うとズタボロの人なんです。運動神経も悪かったし、頭も悪かったし、本当に劣等生でした。

でも、自分が自分らしく生きれる環境は必ずどこかにあって、その道を探すことから逃げなかったから今があると思っています。

僕は学生時代にバックパッカーとして30の国々を旅して、青春をしたつもりです。でも今の方がずっと青春をしてますし、毎日青春を感じられる日々を過ごせているということは幸せなことだと思います。

これから年末だし、自分にとって何が幸せで、どんな夢に向かって生きていきたいかを考える時間を持ってみたりすると良いかもしれません。

共感できる夢に向かってお互い良い人生を送れればと思います。今日は、ありがとうございました!

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以上、ファクトリエ代表の山田敏夫さんをゲストに迎えた「著者と語る朝渋」のレポートとなります。

企業当初の極貧生活の中でも、ファクトリエを続けられたのは、「自分が本気で挑戦したいことをやっている」という気持ちと、その山田さんの夢をボランティアスタッフとして支えてくれたメンバーたちのおかげだと山田さんは言います。

「共感する夢に生きる」

なんとなく生きるでもなく、なんとなく働くでもなく、自分が本気で共感できる夢に自分の命を使っていく。

複業であったり、オンラインサロンだったり、働き方が自由になってきている現在、夢に向かって行動しやすい環境になってきたように思います。

山田さんが言うように、毎日青春を感じられる日々を送れるように、自分が自分らしくあるための道を探していきたいですね。

山田さん、朝早くから、ありがとうございました!

Text by 井手桂司 / Photo by 北澤太地

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★参考記事:
「早起きすれば“自分の軸”で生きられる。5時こーじが語る「朝活の魅力」が想像以上だった」(新R25)
「スタートアップのCEOこそ、朝5時に起きるべき。」渋谷発の朝活コミュニティ「朝渋」プロデューサー、井上皓史さん (HARES.jp)