毎週金曜日の朝、渋谷で開催している朝活型読書コミュニティ「朝渋」。
3月10日は、Forbes JAPAN副編集長にして、『何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣』の著者である谷本有香さんをゲストにお招きして、イベントセミナー型の朝読書会を開催しました。

経済ジャーナリストとして、世界で活躍する3000人のトップ達と会ったことで見えてきた、リーダーの共通する特徴についてたっぷりと語っていただきました。

谷本有香(たにもと・ゆか)さん
Forbes JAPAN副編集長 兼 WEB編集長。大学卒業後、山一證券に入社、社内の経済キャスターに抜擢される。しかし2年後、会社が自主廃業となり、フリーランスキャスターの道を選ぶ。十数年にわたって経済キャスターの第一線で活動し、日経CNBCでは初めての女性コメンテーターに抜擢される。世界VIPへのインタビュー含め、これまで3000名を超える取材を行う。Bloomberg TV、日経CNBCなどを経て、現在は、Forbes JAPAN副編集長並びにForbes JAPAN WEB編集長。

歴史に名を残すようなリーダーほど、自然体で普通の人だった

ーご出版おめでとうございます。執筆の背景を教えていただけますか?

私は経済ジャーナリストとしてこれまで3000名以上のリーダーたちと会ってきました。

世界的に有名なリーダーと会うたびに周りから「あの人ってやっぱり凄い人だった?」と聞かれるのですが、イメージするようなリーダー然とした態度ではなく、自然体で「普通の人」という印象の方がほとんどだったのです。

しかもこの特徴は、大きな成功を収めているトップのリーダーであればあるほど顕著であったため、「真のリーダーとなるような人こそ、常に自然体でいるんだな」と気がつきました。

そのことから、世間で思い描かれている「リーダーとはこうあるべき」といった偏ったイメージによって「もっともっと頑張らなくては」とプレッシャーを感じてしまっている人たちに、自然体で良いんだと伝えるべく今回の本を書こうと思いました。

自分を大きく見せようとすればするほど、上手くいかないことが続いた

ー谷本さん自身もリーダー像に関して苦しんだ経験があるとお聞きしましたが。

そうなんです。私もリーダー像を無理に演じていたことによって苦労したことがあります。

もともと私は山一證券に新卒で入社し、その後フリーランスのジャーナリストとしてやってきました。20代のうちからフリーランスとして生きていくことは本当に大変ですので、どうにかして自分を大きく見せなくてはならないと思っていました。

そのために、自分の中で「日本を代表する経済キャスター、アンカーウーマン谷本有香」といった感じのペルソナを作り、そのキャラを演じて仕事をしていたのです。

そうすることで、たしかに緊張していたら躊躇してしまうような質問でも切り込めるようになったりして、経済キャスターとしてある程度の地位を築くことはできました。

しかし、トップと呼ばれるリーダーに対しては同じようにやっても通用せず、上手くインタビューすることができませんでした。

「こんなに私はアンカー然とした態度でいるのに、なんで結果に結びつかないんだ」と苦悩しました。

上手くいかない中で、何度も試行錯誤して紆余曲折を重ねるうちに、ペルソナを演じるよりも自然体で臨んだ方が良いということに気づいたんです。

「ありのままの自分」が武器になる

ーどういうきっかけで、自然体が良いと気づかれたのですか?

ペルソナを設定し自分を作った状態で、あるトップのリーダーにインタビューした時に「あなたの本当の考えが見えてこない」と言われたんです。

「アンカー谷本としての意見は聞きたくない。谷本有香、お前自身はどう思うんだ」と聞かれました。

その時にそう言われて初めて「ペルソナの状態ではこの人と心から相対することはできない」と感じ、そこから自分のあるべき姿を考え始めたんです。

肩書きで付き合っているうちは相手の緊張や警戒心を解くことはできず、本音は聞き出せない。

であるならば、「カメラが回っている様な場面でも、ペルソナを外してオフィシャルとプライベートの境をなくすべきなのではないか」と考えました。

そうして私はペルソナを外して、いつでも自然体の谷本有香でいることに決めたのです。

するとインタビュー時に相手がリラックスして、どんどん話してくれる様になり、ペルソナを演じながら必死に頑張っていた頃よりもはるかにスクープが取れる様になりました。

会社も世間も信用できない、自分の力で生きていこう

ーそもそも、なぜ経済ジャーナリストを目指されたのですか?

私の中で一番根底にある出来事が山一證券の倒産です。

会社の売れ行きは良くなかったですが、「まさかこんなに大きくて販売網のある会社が潰れるはずがない、危なくなったらどこかの会社が買収してくれるだろう」と誰もが思っていた中で起こりました。

この倒産によって私自身ひどく傷ついたことに加えて、会社に関わっていたありとあらゆる人々が不幸となっていく姿を目の当たりにし、会社が失われることに対してひどく恐怖心を覚えました。

また倒産時の報道の中で、会社の信用が根こそぎ失われる様な悪評やデマを流されたことによって、マスメディアの腐敗を感じたのです。

傷ついた人たちの分までリベンジしたい」
「マスメディアを立て直して、正当な報道のあり方を追い求めたい」

社会に対してそういった使命感を覚えるようになり、フリーの経済ジャーナリストとして生きていくことを決意しました。

私欲から公欲へと変えられるかが重要

ーそういった使命感のようなものを持つにはどうすれば良いですか?

誰しもが何かしらの夢や私憤を持っているのですが、大半の人は持続できずに諦めてしまいます。

夢を諦めないためには、どれだけ大きなエネルギーを持ち続けられるかが重要です。

自分の小さな夢から始まっても構わないですが、最終的には公的な目標に視座を上げられた人だけが成功しているように思います。

なぜなら「私的な欲」から「他者のための公欲」に変わることで、応援や感謝をしてくれる人が増え、行動へと駆り立ててくれるポジティブなエネルギーを生み出せるからです。

人と比較することをやめ、自分はどうありたいかを考える

ーやりたいことが見つからないという人はどうすれば良いですか?

まずは、強烈な原体験を持つ人達と比べて自分を過小評価することをやめてみましょう。

自分の人生を見つめ直し、自分はどんな時に嬉しくて・どんな時に悲しかったのかを思い出してみることから始めてみてください。

そこから自分が大切にしている価値観を知り、「自分はどうありたいのか」を考えてみることです。

自己分析をした結果、「これがやりたい」と胸に沸き起こるものがあれば、それを実行してみるのが良いでしょう。

もしまだ明確にやりたいものが見えないのであれば、まずはピンとくる人やものに巻き込まれてみるのがいいと思います。

そうすることで、次第に自分自身が本当にやりたいことが少しずつ見えてくるようになるはずです。

自分らしさに忠実に生きる

ー最後に、リーダーになりたい人へメッセージをお願いします。

まず、今までのトップダウン型のリーダー像を払拭してください。

リーダーのタイプは1つではないので、自分なら世の中をどうリードするかを考えることが重要です。

本来の自分の姿に忠実に生きることが自分の中で最高のリーダーシップを発揮できるわけですから、自然体で自分らしく生きることが大切です。

谷本有香さん、ありがとうございました!

会場提供: BOOK LAB TOKYO