渋谷・道玄坂で毎週開催している会員制朝活コミュニティ「朝渋」。
10月31日(火)は、『通りすがりのあなた』の作者であり、電通、トレンダーズを経て現在はフリーのブロガー・作家としてご活躍されている はあちゅうさんをゲストにお招きして、『著者と語る朝読書会』を開催しました。

はあちゅうさん
ブロガー、作家。1986年生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。在学中に友人と企画した期間限定ブログが1日47万PVを記録し、ブログ本を出版。卒業旅行は企業からスポンサーを募り、タダで世界一周を敢行した。電通、トレンダーズを経てフリーに。著書に『さきっちょ&はあちゅう 恋の悪あが記』『わたしは、なぜタダで70日間世界一周できたのか?』『疲れた日は頑張って生きた日 うつ姫のつぶやき日記』『半径5メートルの野望』『言葉を使いこなして人生を変える』などがある。
Twitter: @ha_chu

「30歳までに小説を書きたい」という夢があった

ー ご出版おめでとうございます。私自身、はあちゅうさんの一ファンとして、「小説を書きたい」とずっと仰っていた夢が叶った感慨深い作品だなと思うのですが、なぜこのタイミングで『通りすがりのあなた』を出版されたのですか?

「30歳までに小説を出したい」という夢があったからです。
もともと純文学に憧れがあり、社会人になっても作家への夢は消えませんでした。
「夢を叶える」という内容の自己啓発本を書いているにも関わらず、自分自身が夢を叶えることから目を背けるのは卑怯だと思い、30歳の節目までに小説を書くことを決意しました。

そして、30歳を迎える昨年の誕生日の前に、書き上げた小説が講談社の文芸誌「群像」に掲載され、無事に夢が叶いました。
その時に掲載された3作品と、今年1年かけて新たに書いた4作品を合わせた7作が、今回の『通りすがりのあなた』に収録されています。

普段、純文学と小説の違いを意識せずに買っている方も多いと思いますが、私自身も書くにあたって、「何が純文学なのか」ということを改めて考えました。

ストーリーや話の展開がないと成立しないのが小説。
それに対し、主人公の内面の変化を追っていくだけでも完結するのが純文学。
より文章表現に重きを置いた作品が純文学であると解釈し、執筆しました。

表現にこだわることで、自分の頭で繰り広げていた世界観が、読者の頭の中でもイメージされることが小説の面白さだと思います。
「このシーンを読んでいて情景が浮かびました」と感想をいただけるのが嬉しいです。

人生で通りすがった誰かを思い出す作品になっていたら嬉しい

ー 話のインスピレーションはどこから来ているのですか?

話の発想は、自分の過去の原体験から生まれています。
経験していないことは話にしづらいです。
全くモデルがいない、自分が出てこない話は書いたことがありません。
個人の体験は、一般論よりも相手の心に響きます。
自分の人生の中で小説的だったことや華やかに思い出せることを組み合わせて、話を考えています。

自分の過去の記憶や感情を振り返るためには、自分のデータを記録しておくことが大切です。
話している中で具体的なエピソードが出てくる人は、日頃からアウトプットを意識してデータを蓄積しています。

私も小さい頃から作家になることを考えていたので、「いつかどこかで書いてやろう」という気持ちで、毎日日記を続けていました。
それによって、部分的にすごく鮮やかであった記憶に、日記からわかる当時のリアルな心境を加えた作品を作ることができました。
今回の収録作品の「友達なんかじゃない」では、実際に高校時代のカナダの留学経験が話の元ネタになっています。

日記以外にもブログやSNSで日頃から外に向けて発信していますが、「人に見せるもの」と「自分の中に貯めておくもの」では記録の仕方も異なります。

小説の中で書いた記憶は、SNSで人に伝えるためにわかりやすく書かれた文章ではない、人に話すまでもないけれど、自分の中で忘れられない、はがゆい記憶。
若者が使う「エモい」という気持ちに似ているかもしれません。
感情にならない気持ちの表現を詰め込んだ作品集になっているかなと思います。
読みながら、記憶を通りすがっていった誰かを思い出す作品になっていたら嬉しいです。

ー これからの目標を教えてください。

今年一年、小説を書き続けたことで結構なエネルギーを消耗しました。
働きすぎによって、体を壊している若いクリエイターをたくさん見てきたので、長く働くために、一回休むことも必要だと思います。
なので、来年は少し休みを取って、芯の部分にエネルギーを溜め込む時間にしたいです。

プライベートでは、ライフスタイルを極めていきたいです。
最近、改めて家族や友人と過ごす時間の大切さに気づきました。
その時間を増やすようにして、自分の人生をもう一段階上げられるようにしたいです。

はあちゅうさん、ありがとうございました!

会場提供: BOOK LAB TOKYO