もっと、自分らしく、楽しく働きたい
働く女性なら、誰もが抱く願いではないでしょうか。

結婚や出産によって、思わぬ路線変更を強いられることも多い女性の立場で、いかに「罪悪感を持たずに」活き活きと働いていくか。

女性初の元・AERA編集長であり、現在Business Insider Japan統括編集長として日々精力的に活動している浜田敬子さんをお呼びし、初の著書にあたる「働く女子と罪悪感: 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる」を基に、これからの女性の働き方についてお話を伺いました。

ファシリテーターは、朝渋運営の中村が務めます。

 

【著者紹介】

浜田敬子さん(はまだ・けいこ)@hamakoto
朝日新聞社に入社後、雑誌「AERA」副編集長を経て初の女性編集長に。
現在はBusiness Insider Japan統括編集長。
「羽鳥慎一モーニングショー」等、各TV番組でコメンテーターも務める。
これまでの前例を覆す企画を次々に打ち出し、”女性の働き方改革”を掲げ、様々なプロジェクトや講演等を行う。
初の著書「働く女子と罪悪感: 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる」を上梓。

 

堂々と「仕事が好き」と言える世の中に

浜田さん:女性が働く環境は徐々に良くなってきてはいますが、どうしても不安や苦しさが先に立ってしまいますよね。仕事を続けたい・楽しみたいのに、「自分は仕事をしていていいんだろうか?」と変な罪悪感を持ってしまう。

今回の書籍「働く女子と罪悪感」は、女性が堂々と”仕事が好き!”と言える世の中にしたいと思って書きました。

出版業界は、逆風です。やってもやっても業績が伸びない時代。
そんな中で「AERA」の副編集長・編集長として何をやってきたか、どんなことを変えてきたのかを中心にお話していきます。

まず一番に変えたのは、「AERA」という雑誌の作り方です。

 

「記憶に残る幕の内弁当はない」

浜田さん:秋元康さんとお仕事をさせてもらったことが、一つの大きなきっかけになりました。
今でも心に残っている言葉があります。

張り切って秋元さんの前でプレゼンをした時に、「ねえ浜田さん。記憶に残る幕の内弁当ってあるか?」って訊かれたんですよね。
幕の内弁当って、いろんな美味しいものが満遍なく入っているものじゃないですか。そんな風に、そこそこの満足度を保つようなものは、強烈な記憶には残らないんですよね。

バランスの比率を考えるのに必死で、誰もが満足するものを作ろうと思っていました。そんなものを毎週作っていても、このネット全盛期、無料でも面白いコンテンツがこれだけある時代に、「記憶に残るものがないと売れないよ」と教えてもらったんです。

確かにそうだと痛感したんです。

この特集は探してでも絶対に買いたい、と思わないと買ってもらえない。強烈な特集を1部1部作っていくしかないと思いました。

 

ワーキングマザーの力を120%出す工夫を

浜田さん:当時30人いた編集部員のうち、20人が女性でそのうち10人がワーキングマザーでした。
週刊誌ってすごく激務なんです。子供を育てながら仕事をしなきゃいけない中で、急に予定が変わることが一番大変なんですよね。

まずは働き方を変えることが急務だと思いました。
例えば、毎週毎週のニュースを追っかけてもらうのでなく、特集の担当にする。そうすると1ヶ月先の締め切りを目指して仕事をすればいい。そうすることで、彼女たちは前もって予定調整をして、自分たちに合った働き方に組み替えていくことが出来ます。

罪悪感を持たずに、「自分もちゃんと貢献できるんだ」と思える職場にするには、彼女たちの力を120%引き出す環境を作ること。働き方と作り方をセットで変えていきました。

 

全員にとっての勝ち筋を考える

浜田さん:週刊誌の寿命はとても短い。読み終わったらすぐに捨てられるのが普通です。
そんな中で、ちゃんと息の長い日持ちのする特集を組めば、書店さんはきちんとバックナンバーも置いてくれます。

書店さんって忙しいからなかなか会ってくれないんですよね。出版社の若い販売担当者が書店に行ってもなかなか会えない。

日持ちのする特集主義にしたところ、いくつかの書店さんでバックナンバーフェアをやってもらえたんです。「はじめて書店さんがフェアをやろうって言ってくれました!」なんてことがあると、若い人たちの働くモチベーションが変わっていくんです。

何か新しいことをやると共感してくれる子が増えて、まるでオセロが変わるように、人の気持ちが変わっていくんですね。それをすごく体感しました。

皆さんも新しいことをやる時は同世代の仲間を増やして、全員にとっての勝ち筋を考えてあげると自主的に動いてくれるようになります。

 

大変さと面白さは裏表

浜田さん:「もう会社辞めようかな」と思ったのは、朝日新聞社でいろんな“事件”があって、玉突きで人事異動があった時期。雑誌を雑誌を作ることに慣れてない人が編集長に就任しました。企画の発注、見出しや中吊り広告の作成……など本来の編集長の仕事をしながら、

なんで私はここにいるんだろう、女性だから編集長になれないのかな、現場のこと全部やってるのにって考えて、涙が出てきて。

そんな時に、管理職をやっている同世代の女友達みんなに相談したんです。そうしたら、「とにかく1回編集長をやるまでは辞めないで頑張れ」って励まされました。

今は準備期間だと思って我慢しろ、1~2年間であなたの番が来るからって言ってもらえて、本当にそれはありがたかったですね。心から辞めなくて良かったなと思っています。

管理職って、それまで経験がないととても不安が大きいと思います。
ただ、一度やってみるとその面白さやダイナミックさがわかるはずです。女性でもワーキングマザーでも、環境さえ整えれば楽しく仕事ができる。

大変さと面白さは裏表なので、どんどんチャレンジしてほしいですね。

 

 

子どもを持つことが当たり前になってしまった時代

中村さん:浜田さんの「働きたい」っていうエネルギーは、どんな原体験から生まれているんですか?

浜田さん:週刊朝日で働いていた頃、初めて一人で全てをやらなきゃならない環境に立った瞬間ですね。入社6年目の頃、林真理子さんの対談の立ち上げと、篠山紀信さんの表紙。

4~5年の間、1人で2つの看板連載を担当したことが自分を追い詰めたし、責任を持って仕事をやるっていうことが、初めてそこで身につきました。

中村さん:5年目っていうと、女性としては結婚・出産のタイミングになってきます。
裁量権を得られるタイミングと、女性としての”家族”を考えるタイミングが重なるっていうのが難しいところですよね。

浜田さん:今の若い人達は情報がありすぎて、子どもを持つということが当たり前になりすぎてしまったと思うんですよね。私達が持っていなかったような不安が今はある。

あまりにも大変なんだという印象を私たちが与えすぎてしまったのかもしれないと反省しています。

 

仕事と子育ての両立

中村さん:仕事としての自分と母親としての自分、両立することは幻想だと思いますか?

浜田さん:凄く難しい問題ですよね。
時間の管理はできたとしても、難しいのは気持ちの管理

すごく支えになったのは保育園の先生にかけてもらった「時間じゃないよ」っていう言葉です。仕事の時は仕事に没頭した方が効率がいい、それでも、子どもと一緒にいる時だけは5分でもいいから向き合ってくださいと言われたんです。

その気持ちのスイッチの切り替えは、かなり意識的にやるようにしています。

 

「過剰配慮」と「時間評価」

中村さん:過剰配慮というのは、女性だからという理由で最前線に立たせてもらえない、やる気があるのに機会を与えてもらえないという、過剰過ぎる配慮のこと。

時間評価は、時短勤務の人にはそもそも評価が与えられないという状態のことを指します。

自分がいずれかを受けてしまったとしたら、会社に対してどのようにアプローチしていけばいいでしょうか?

浜田さん:過剰に配慮されていると思ったら、きちんと話をした方がいいです。
「ここまでできるし、こういうことをやりたいんだ」ということを、上司と一対一で話すべきですね。

一番いけないのは、お互いにコミュニケーションをとらずにモヤモヤしてしまうこと。そういった不信の負の連鎖が起きてしまう前に、ちゃんと聞いてほしいことは自ら言いましょう。

 

相談相手の見つけ方

中村さん:私は今年27歳になる年なんですが、今まで仲の良かった友人とライフステージが変わっていくのを感じています。

気づいたら「友達がいない」っていう不安に駆られることが最近あるのですが、どうやって相談相手を見つけていますか?

浜田さん:例えば取材で会った人に対して、「この人素敵だな」「なんだか凄く盛り上がったな」と思ったら、ランチに誘って相談相手になってもらったりしました。
仕事と子育ての両立の仕方を教えてもらったり。

こういう場(朝渋の活動)もそうですよね。朝から頑張って起きて仕事の話を聞こうと思っている子たちって、志や熱量・価値観が同じなんですよ。そういう人達って凄く貴重。
こういうネットワークはすごく大事だと思います。

 

”踏み込み力”をつけるには?

中村さん:自分の思いや悩みがあんまり重すぎると、そこまで時間を共にしていない人に相談するのは迷惑になってしまうんじゃないかと思ってしまいます。
浜田さんのような”踏み込み力”を鍛えるにはどうしたらいいですか?

浜田さん:何かやらなきゃこの雑誌がなくなると思っていたので、「やれることは全部やる」っていう必然性が常にありましたね。

糸井重里さんの書かれた「すいません、ほぼ日の経営です」っていう本の中に、「仕事って、田んぼを耕すみたいだ」っていう言葉があるんですね。私、すごくわかるなと思って。

毎日の仕事って、地味な作業の連続じゃないですか。その繰り返しの中から何か光が見えてくる。そういう地味なところにヒントがあるわけです。

人と最も強く繋がれるのは、仕事です。
相手の会社にメリットを与えるような熱いプレゼンであれば、絶対に届きます

 

”小さなチューニング”を繰り返す

中村さん:小さなことを繰り返していくっていうのは、女性として働いていく上でも大切なことですよね。

浜田さん:そうですね。みんな、やることはタダじゃないですか。
今の時代、何が分かれ目になるかといったら、「やるかどうか」だけ

不安だとは思うけれど、やってみた上で”小さいチューニング”をしていけばいいんですよ。

最初から大きな不安をなんとかしようとするのではなく、自分なりにチューニングしていく作業が大切です。
その方が、自分の時間を無駄にしないし、気持ちの負荷も少ないと思います。

 

中村さん:ありがとうございます。それでは最後に、浜田さんから一言お願いします!

浜田さん:不安は、抱えているとどんどん過剰になっていきます。
「何が自分の不安のもとなんだろう?」と分解して考えてみてください。

誰か”壁打ち相手”を見つけて、話しているうちに「自分の不安はここだったんだ」ってわかる瞬間がやってきます。

それだけで気持ちが楽になるし、こうあるべきだという思い込みに気づくことが出来る。それだけでも一歩前進できると思います。

 

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環境さえ整えれば、ワーキングマザーでも自分らしく楽しく働ける。
変に罪悪感を抱かずに、活き活きと働く時代を創り上げていく。

浜田さんのお話を伺って、ホッと救われた女性も(もちろん男性も!)多いのではないでしょうか。

浜田さん、貴重なお話をありがとうございました!

Text by 北村有(@yuu_uu_
Photo by 北澤太地(@taity_k

 

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