おはようございます!朝渋公式ライターの長田(@SsfRn)です。
今、日本のスポーツ界でもっとも注目を集めているリーグをご存知でしょうか?
そう、2016年からスタートを切った「B.LEAGUE」ですね。
これまでの日本スポーツ界にはなかった、マーケティングや戦略、演出を実現し、2016年の開幕戦のチケットは入手困難になるほどの人気ぶり。
3年目となる現在も、その勢いは止まらず、様々な施策を実践しています。
そんなBリーグにて、常務理事・事務局長を務める、葦原 一正さんがこの度「稼ぐがすべて Bリーグこそ最強のビジネスモデルである」を出版されました。ゲストとして葦原さん、そして、栃木SCマーケティング戦略部長を務めている江藤美帆さんをお招きして、著者と語る朝渋を開催しました。
葦原 一正さん(写真右)
公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ
常務理事・事務局長
1977年生まれ。早稲田大学院理工学研究科卒業後、外資系コンサルティング会社に勤務。2007年に「オリックス・バファローズ」、2012年には「横浜DeNAベイスターズ」に入社し、社長室長として、主に事業戦略立案、プロモーション関連業務を担当。2015年、「公益社団法人ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ」入社。デジタルマーケティングを推進し、男子プロバスケットボール新リーグ(B.LEAGUE)の設立、収益化に取り組む。
江藤 美帆さん(写真左)
株式会社栃木サッカークラブ
マーケティング戦略部長
Jリーグ、株式会社栃木サッカークラブ(栃木SC)マーケティング戦略部長。米国にて大学卒業後、Microsoft、GoogleなどのIT企業勤務、起業などを経て、広告代理店在籍中にWebメディア「kakeru」を立ち上げ初代編集長に就任。「インスタジェニック」などのトレンドワードを生み出す。その後同社にてスマホで写真が売れるアプリ「Snapmart」を企画開発。上場会社への事業譲渡後、代表に就任。2018年5月より現職。あだ名は「えとみほ」。
まずは、稼いでください。普及と強化はその後です。
葦原さん
今回、なんで私がこの本を書いたか?というお話ができればと思っています。スポーツ業界にずっといると、すごい疑問に思うことがあります。それは、仮に1時間の会議があれば、50分は「どうすれば金メダル取れる選手を育てられる?」「どうすればスポーツが普及する?」という、”強化”と”普及”の内容で使われています。
よくあるロジックがこの左の図です。競技者がどんどん増えていけば、いつかは選手が強くなって、強くなれば競技も人気が出て儲かる。これが競技団体のやっていること。
でも、それって違うんじゃないですか?ってことが、私の言いたいことです。まずは稼いでください、稼いだ上で「普及」や「強化」をしっかりやりましょう。この順番が大切なんです。
なぜ、従来のモデルが違うかというと、例えばバスケの話をすると、競技人口は一時期サッカーより多かったことがあります。それだけ競技人口を増やして、実際に競技レベルが上がりましたか?1976年から、ずっとバスケはオリンピックに出場していないのに。つまり、そこって関係ないんですよ。ロジックが破綻しているんです。
強くなったら儲かるって言いますが、その事例ってあるのでしょうか?仮にチームが優勝しても、観客動員数が数%伸びるだけ。それでは儲かるとは言えませんよね。ここも破綻しています。
一方、稼ぐのは極論言えば、テクニックがあり、コツコツやればうまくいくものです。なので、稼ぐことから逃げないでほしいと思っています。
本のタイトルは「稼ぐがすべて」となっていますが、私の言いたいことは「稼ぐことからはじめよう」ということ。その先に何があるかというと、社会課題にどう向き合っていくか?私の中の大きなテーマでもあります。
とにかく、選手・クラブ・リーグが一体となって、社会課題に対して本気でぶつかることで、その大きな石がどれだけ動くのか?ということを、考えていきたいと思っています。なぜかというと、選手・クラブが個々でやっても力はないし、リーグ全体・全クラブ・全選手が一体となって、レバレッジ効かせることこそ、私は正しいと思っているんですね。
私は、マーケティングの専門家でもないし、社会課題の専門家でもないですが、それらを詰め合わせるとこういうことではないか?と思い、この本を書かせていただきました。
自分の役割は「日本スポーツ界を本質的に変えること」
葦原さん
最近、思っていることがあります。それは「モチベーションの源泉」ってなんなのか?ということです。川淵さんに聞いてみたところ、おっしゃっていたのが「怒りがすべてのモチベーションの源泉だ」。私も似たようなことを考えていて、それが怒りなのか問題意識なのかわかりませんが、日本スポーツ界はとにかくダメだと思っています。徹底的にダメだから、なんとかしたいというのが、私のモチベーション。
結局アメリカに負けちゃっているんですよね。GDPが違うとはいえ、スポーツ市場は10倍も差があります。「この20年間日本スポーツ界は何をやっていたんですか?」と思ってしまいます。今の日本のスポーツ界では、”個別最適”しか考えていないんですよ。
私の一番の役割は、この20年間変わってこなかった日本スポーツ界を、本質的に変えること。そのために、Bリーグで成功モデルをつくり、マイナースポーツに希望を与え、日本スポーツ界全体が変わるキッカケになれればいいなと思います。
球団と球場が一緒になれると、2にも3にもなれる
ーーそれでは、ここからトークセッションに入っていきます。葦原さん、本の反響はいかがでしょうか?
葦原さん
そうですね。「参考になった」というご意見とか、一番嬉しいのがマイナースポーツの方々からの反響ですね。
えとみほさん
私がこの本を読んだ最初の印象は、本当にその通りだなということ。Jリーグにいることもあり、比較して読んでいたのですが、デジタルやSNSの戦略がとても素晴らしいなと思いました。
ーーそこの盛り上げ方がとてもうまいですよね!SNSを使った巻き込み方について、お聞かせいただいてもよろしいでしょうか?
葦原さん
SNSを積極的にやってます!というよりも、やらざるを得なかったという表現の方が正しいかもしれません。 ファンの方から、「テレビやってくれ」というご意見をいただきますが、それは難しいですよね。まだ250万人の入場者数でそれは厳しいし、新聞も厳しいとなると、オウンドメディアを使って伝えるしかないということですね。
若いスタッフに、SNS運用は任していて、よっぽどな時以外は何も言いません。自分も40代になっていて、ついていけない部分がある。TikTokも今勉強しようと思っていますが、正直全然わかりませんからね。笑
ーーえとみほさんはSNSの発信において、気をつけていることはありますか?
えとみほさん
少し前は結構自由にやっていましたが、サッカーの仕事をするようになって、フォロワーがさらに増えました。それまでIT業界にいたこともあり、 そういう人たち向けにツイートすると、スポーツ業界の人は「ん?」となるし、サッカーのツイートをするとこれまでの人が立退くんですよね。
その時、価値観や考え方、仕事に対するスタンスが全然違うなと感じました。IT業界の感覚でツイートすると、冷たく感じてしまうみたいで、炎上しやすくなるので、そこは気をつけていますね。
葦原さん
SNSをやっててよかったなと思う瞬間ってなんですか?
えとみほさん
人に会えることですね。今ぐらいになると、「会いたいです」というと、断られることはほぼありません。
ーーそれぞれのスポーツ組織では、どんなブランディングをやっているんですか?
えとみほさん
これまでの栃木SCはブランディングおろか、マーケティングもやっていない状況でした。もともと教員の方が集まって立ち上がったクラブなので、みんなでなんとかお金を集めて維持してきたような感じです。
これからは、SIみたいなものも変えようかなと思っているのですが、かなり時間がかかります。来年とかそういう話ではなく、何年もかかることなんだと。エンブレムやロゴはずーっと変えないできているのですが、どんなに優れたデザインでも10年もすれば古臭くなります。ただ、、サッカーのサポーターは熱量が高いが故に、反発がすごいのが現状なんです。それでも、「変えていかないと!」という思いは強くありますね。
えとみほさん
大事ですよね。Bリーグのロゴとか、めちゃめちゃカッコいいじゃないですか。
葦原さん
ありがとうございます!笑
ーーBリーグってJリーグを超えると考えていますか?
葦原さん
何を持って超えるかという議論はあると思いますが、、、この10年でJリーグに学ばさせていただきながら、飛び越えるぐらいの意気込みでやっています。とはいえ、Jリーグに勝つためにやっているわけではないので、ともにマーケットを大きくしていければなと思っています。
その時に、一番大事なのは、ソフトとハードの一体経営。ここができれば、とても大きなマーケットになると思っています。日本の野球界やJリーグさんも苦労しているところはあると思いますが、ハードを持たないと世界は変わりません。これはプロ野球時代に散々感じたこと。
球団と球場が一緒になれると、1+1は2ではなく、3にも4にもなるんです。そのあたりは、この10年しっかりやっていきたいと思っています。
ーー最後に、この1年の展望とかあれば教えてください。
えとみほさん
そうですね。うちはちっちゃいクラブで、他クラブがやっていることもできていない状況なんです。その中でも優先度高く置いているのが、来場者のデータを取るということです。あとは、来ている方々をコミュニティ化すること。サロン的なものも、やっていきたいなと思っています。
葦原さん、えとみほさん、朝早くからありがとうございました!
Text by 長田涼(@SsfRn)
Photo by 矢野拓実(https://takumiyano.com)
★朝渋のFacebookとTwitterはコチラ!よかったらフォローしてください(^o^)
Facebook /Twitter
★参考記事:
・早起きすれば“自分の軸”で生きられる。5時こーじが語る「朝活の魅力」が想像以上だった(新R25)
・「スタートアップのCEOこそ、朝5時に起きるべき。」渋谷発の朝活コミュニティ「朝渋」プロデューサー、井上皓史さん (HARES.jp)
朝渋をオンラインで楽しもう!
全国どこからでも朝渋イベントを楽しめる!朝渋ONLINEメンバー募集中です。
一緒に朝活を楽しみながら、朝型習慣を身につけませんか?
新サービス・朝渋DOJO募集開始!
朝渋DOJOは、これまで1,500人以上を早起きに変えてきた「朝渋メソッド」を使い、同志と共に目標に向かって自分時間を確保していく早起き習慣化ライフスクールです。
朝を制する者は人生を制す。早寝早起きで 自分時間を取り戻しませんか?