本、読んでますか?
「社会人になってからというもの、なかなか時間がなくて……」
「読書をした方がいいのはわかってるんだけど、何を読んだらいいのか……」
そんなお悩みを解消するべく、今回は株式会社モメンタム・ホース代表の長谷川リョーさんと、文学YouTuberベルさんをゲストにお招きし、「20代のための読書術」についてお話を聞きました。
【登壇者紹介】
長谷川リョーさん(はせがわ・りょー)@_ryh
2016年12月にフリーライターとして独立。現在は株式会社モメンタム・ホース代表。SENSORS編集長も務める。
「日本進化論」「10年後の仕事図鑑」等、書籍の編集協力も。
文学YouTuberベルさん @belle_youtube
ブックチューバーとして、主にYouTubeで書評動画を配信。読書の楽しみを伝える動画が評判を博し、チャンネル登録者数は5万人を突破。
「書けるYouTuber」として執筆・MC業・動画制作など幅広く活動中。
ベルさんのYouTubeチャンネルでは、今回おすすめいただいた本の書評動画も配信されています!
→文学YouTuberベル【ベルりんの壁】
2人の読書スタイルは?
ベルさん:
読みたいときに読む、読みたいように読むっていう緩い感じですね。
時間を前もって決めることもなくて、空いた時間があれば読書にあてるという自由なスタイル。いわば、「スタイルがないのがスタイル」かもしれません。
私にとって、読書はあくまでも趣味の1つ。
読みたくない時には無理に読まないようにしています。「本、読まなきゃ!」って気負っちゃう必要はないのかな、と。
読むペースに関しても、1日に1冊読む日もあれば、1週間に1冊の時期もありますね。併読派で、常に2~3冊は同時進行で読んでいます。
リョーさん:
仕事にまつわる本を読むことが多くて、僕も数10冊は同時に読んでいますね。
ビジネス書・自己啓発書が多いですが、偏らないように小説やエッセイも必ず読むようにしています。慣れてくれば、そこまで頭は混乱しません。
「この本を読もう!」と選ぶ基準は?
ーー小説よりも、ビジネス書や自己啓発書を手に取ることが多くなってしまいます。
今すぐに自分に必要なものを選んでしまうので、結果、似たジャンルの本が多くなってしまうのが悩みですなのですが……。
ベルさん:
私自身は、あまり最初から目的を決めて読んではいないですね。
テレビと同じで、「自分の楽しみのため」「情報収集のため」など、その時によって様々な目的があり、それに合わせて読むスタイル。
結果的に多ジャンルになってしまうだけの話なので、同じジャンルに偏る読み方も、私はありだと思っています。
本を選ぶ基準は、たとえば本屋大賞にノミネートされている中から興味のわいた1冊を手にとったり、Amazonのランキングを覗いたり。
あとは、読書好きの方・信頼している方など、3人以上がおすすめしている本はできるだけ読むようにしています。
リョーさん:
ビジネス書って、ほとんど書いてあることが同じなんですよ。
ビジネス書だけをずっと読んでいると、つまらない人間になってしまう気がします。表現や言葉、世界観を磨く意味で、意識的に小説や文学に触れるようにしています。
そこで培った感性を元にビジネス書を読んでみると、また違った読み方ができる。遠回りのようで、実は最も「読書の楽しさ」を知ることができる読み方だと思っています。
どんな本を読んだらいいか迷ったら、編集者のTwitterアカウントを見て、おすすめしている本を読んでみるといいと思いますよ。
多ジャンルを乱読するメリット
リョーさん:
前回もご紹介した、読書の「守・破・離」というものがあります。
サプリメントを摂取する感覚で読書しよう、という考え方です。1000冊が目安ではあるんですが、まずは読んでみないと自分の好きなジャンルが分からないですよね。
とにかくジャンルを定めてひたすら読んでみる、ということが大切です。
読書を習慣化したいのであれば、まさに「歯を磨くレベル」にまで持っていく意識も必要。僕の場合は、1ページは本を読まないと寝られないという強迫観念で、とにかく時間をつくって読んでいます。
あとは、読んだ本の感想を、ブログやTwitterでアウトプットすること前提で読むことですかね。
ベルさん:
アウトプット=インプット、ですよね。
私も、気に入ったフレーズがあるページには必ず付箋をつけるようにしています。あとで書評動画を残すときに、読んだときの感覚を思い出せるように。
アウトプットしておくことによって、読んでから少し時間が経ったあとでも、「こういうことを考えていたんだな」と感覚を思い出すこともできるんですよ。
もっと深く作品のことを知るきっかけにもなるし、本の魅力を人に伝えるのも上手になっていきます。
リョーさん:
小説の表現をビジネス書に使ってみたら面白いよな、とか、その逆もあって。
ジャンルをまたいで様々な表現を知るために、乱読・併読はおすすめです。とあるジャンルでは当たり前の手法が、他のジャンルでは珍しいことだったりもするので。
ベルさん:
私の場合は単純に飽き性なので、たくさんのジャンルを読んでいる方が楽しい、というのが主な理由ですね。
いろんなジャンルを読んで、自分の「好き」を探すことが大切だと思います。
20代で本を読む意味とは?
リョーさん:
僕自身、本に育てられたという感覚が強くあります。
たくさん本を読んできて今の自分がいるので、「本からしか得られない世界観がある」ということを20代のうちに知っておくことは大切かもしれないですね。
ベルさん:
10代で読むのと20代で読むのとでは、同じ本でも感覚が違うと思うんですね。
10代の時はとにかくミステリーが好きでしたが、今は純文学を読むと心に響いたりします。「自分の成長を映し出す鏡」になってくれているんじゃないかな、と。
社会人になり、小説よりはビジネス書に関わることが多くなるのが20代。
忙しくて読書をする時間がないという中で、あえて時間をつくって本を読んでみると、その後もずっと学びとなってくれる1冊に出会えるかもしれません。
忙しい中で、本を読む時間を作り出すヒント
ベルさん:
私の場合は、「本を読みたいから、それを仕事にしてしまった」ところが強くあります。
時間って、黙っていたら勝手にどんどん過ぎ去っていってしまうもの。意識的に時間を作り出さないと、読書そのものからどんどん離れていってしまう気がします。
通勤時間は必ず本を読むとか、少しだけの強制・縛りを作ってあげることで、読書の習慣が続くのではないでしょうか?
リョーさん:
昔、もんじゃ焼き屋でバイトしていたことがあるんですけど。休憩時間・トイレに入っている間・歩いている時は必ず読書するようにしていましたね。
「時間がない」ってありえないことだと思っているんです、僕は。どんなに忙しい人でも本を読んでいる。むしろ、忙しい人に限って大量の本を読んでいたりしますよね。
時間はあります。どうやって作り出すか、を考えていきましょう。
2人のおすすめ本5冊を一挙紹介!
ベルさん:
「20代の教養」というテーマに合わせて、読んでいると新しい知識・考え方が入ってくるようなチョイスにしてみました。
「ある男」平野啓一郎・著
本屋大賞にもノミネートされている小説です。
愛することに過去は必要なのか?
愛するとはなんだ?
20代以上が読むと考えさせられることが多い、男性向けのちょっと渋めな1冊です。
「ゲイだけど質問ある?」鈴掛真・著
ゲイであることを公表している歌人が書いているエッセイです。
同性愛についての素朴な疑問が、シンプルなQ&A形式で答えられています。論理的かつ文章がポップで読みやすいです。
デリケートなLGBT問題について、自分なりの意見をもつきっかけとなる1冊です。
「世界一ゆるい聖書入門」上馬キリスト教会・著
Twitterでも人気の上馬キリスト協会(@kamiumach)さんによる、ゆる~く聖書や教会について解説している1冊です。
思わずくすっと笑ってしまうエピソードが多いですね。
「神様を待っている」畑野智美・著
「貧困女子」がテーマの小説です。
著者の実体験を盛り込んだリアルな1冊。
派遣切りにあったOLがその後ホームレスになってしまい、周囲との軋轢、最終的な生きる術について赤裸々に綴られています。
「本屋の新井」新井 見枝香・著
インフルエンサー書店員である、新井 見枝香さんのエッセイ。
本屋あるあるや、出版業界におけるリアルを自由な筆致で書かれています。
横書き構成なので、Twitterを見ているような感覚で気軽に読めるのも魅力。中では文芸のおすすめ本も紹介してくれているので、ガイドブックとしても参考になります。
リョーさん:
「切り取れ、あの祈る手を」佐々木中・著
たくさん本を読んできてはいるんですが、久々に脳天をぶち抜かれた本です。
「文学で革命を起こせる」ということを教えてくれる1冊で、筆致や言葉の選び方1つとっても、魂を震わせられます。
こういう本からしか得られない感覚というものがあるんだな、と実感しました。
「世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド」村上春樹・著
少なくとも、村上春樹の中では最高傑作の文学だと僕は思っています。
2つの物語が同時進行していく構成で、最後に交わっていく様が見事。天才的と言わざるを得ないですね。
「美しすぎる少女の乳房はなぜ大理石でできていないのか」会田誠・著
会田誠さんの2冊めのエッセイです。
普段は本を書かないような職業の方が書くエッセイ、というものが僕は好きで。「こんな捉え方があるのか」と始終びっくりさせられますし、さすが文章も上手。
ありえない人生を追体験できる1冊ですね。
「美女と野球」リリー・フランキー・著
モメンタム・ホースの課題図書として設定している本。
「自分の文章を書くということ」がどういうことなのかを教えてくれます。駆け出しライター時代に読んで、衝撃を受けました。
「牢屋でやせるダイエット」中島らも・著
著者自身が収監時代に書かれたもので、違う人生を合法的に体験できる本ですね。
中島らもさんの本はどれもおすすめです。
長谷川リョーさん、ベルさんのおすすめ本5冊をそれぞれ教えていただきました。
「何を読んだらいいのかわからない!」
そんなあなたは、ぜひこの中から1冊選んでみてはいかがでしょうか?
「朝渋ONLINE」でも、毎週土曜日の朝にみんなで読書をしよう! というライブ配信を行っています。1人だと挫折してしまう……というあなたは、ぜひ私たちと一緒に読書習慣を身につけましょう!
長谷川リョーさん、ベルさん、ありがとうございました!
Text by 北村有(@yuu_uu_)
Photo by 矢野拓実(https://takumiyano.com)
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