寒い冬を終え、新しいことをはじめたくなるこの季節。
仕事や人間関係を含む、あらゆる「選択」の場面に立ったとき、指針となる信念や自分軸はどのようにして持てば良いのでしょうか?
今回朝渋がゲストに迎えたのは、株式会社divの代表取締役にして、人気YouTuberとしても活躍する「マコなり社長」こと真子 就有さん。
かつて同じスタートアップで働いていた朝渋代表の5時こーじが、自分が信念を持つことへの必要性や、真子さんが生きるうえで大切にしている価値観などをお聞きしました。
真子 就有(まこ ゆきなり)さん
株式会社div代表取締役。1989年生まれ、福岡市出身。青山学院大学卒。大学在学中からプログラミングを独学で学び、大学4年次に起業。2014年よりプログラミング教育事業をスタート。2016年に開始した「テックキャンプ」は日本最大規模のエンジニア養成スクールとなっている。2015年Forbes誌「注目のUnder30起業家10人」に選出。現在、従業員数500名。YouTubeチャンネル登録者数56万人を突破
Twitter:@mako_yukinari
YouTube:https://www.youtube.com/channel/UC7I3QTra4_kC4TSu8f7rHkA
〈文=いしかわゆき(@milkprincess17)〉
あらゆる議論は「幸せとは何か」のためにある
5時こーじ:
まこさんと言えば、YouTubeを始めて1年ほどで登録者数が56万人を突破していますが、YouTubeをきっかけに、何か考え方などの変化はあったりしましたか?
真子さん:
どうなんだろうな(笑)。根底にある考え方や理念は変わらないかな、と思います。
あらゆる議論って「幸せとは何か」に帰着すると思っているんですよ。
何が正しいとか正しくないとかをすべて巻き取ると「幸せになりたい」という思いになるんですけど、ほとんどの人は答えを持っていない。
自分軸がないと、自分の価値観がコロコロ動いてしまいます。でもこれは結局”決め”の問題で、「『幸せ』とはこういうものだ」と立証されてるわけではありません。
その点で、自分は「幸せ」に対して明確な解を持っているから、そこが変わらない以上は発信することもすべて変わらないなと思います。
5時こーじ:
真子さんがいつもされている「事実と解釈を分けよう」という話ですね。「自分の軸を決める」というのはどの話にも通用すると思うのですが、軸や信念を持つ大切さについてどう考えていますか?
真子さん:
僕は基本的に、「自信」をみんなに持ってほしいと思っています。そのために必要なのが軸や信念です。
各々長所や短所があるなかで、力を発揮するには「選択と集中」が必要なんですよ。たとえば、自分は創意工夫して何かを生み出すのは得意だけど、一方で時間を守ることや早起きは苦手です。
でも、「自分は何を大事に生きるべきか」を決めておけば、自分がやるべきことが狭まるんです。
5時こーじ:
信念を決めることで、「やるやらない」のジャッジがしやすくなるんですね。
真子さん:
迷ってる時間が一番よくないですね。先ほども言ったとおり、正しいとか正しくないとか、そこに真理はないから。「自分はこういう生き方をしたくない」があると一貫した人間になります。
そうすると、信用されるようにもなっていくんです。たとえば、「カレーが好きで、毎日カレー食べる!」と言っている人にいきなりブチギレる人はいないと思うんですけど、普段から健康を意識していて、炭水化物を取らないと言っていた人がカレーを食べていたら、「嘘じゃん!」といきなり信用を損ねる。いわゆる期待値とのギャップです。
だから、それまで自分が生み出してきたブランディングがブレていると信頼を損ねるし、何をすべきかもブレて、結果成功体験を得られなくなります。
何を積み上げていくか、どう生きるかは揺るぎないものであってほしいですね。
信念は「感情が動いた経験の数」から生まれる
5時こーじ:
僕の場合も、「早起き」がひとつの軸になっているので、会食を断ったり、早寝をしたりという意思決定につながっています。
でも、もともと信念が強い男だったわけじゃなく、昔から当たり前にやってきたことをまわりに共有したことがターニングポイントになったんですよ。そういった、信念を決めるうえでのプロセスで真子さんが思う大事なことはありますか?
真子さん:
「感情が動いた経験の数」ですね。
シンプルな話で、生まれてから部屋に閉じ込められ、ずっと食事だけ与えられてきたような人が、ある日突然「俺の信念はこれだ!」とはならないじゃないですか。
自分は22歳で起業をして、全部ひとりでやってきたので、ひとつの会社で一役職をこなすことだけでは得られない多くの経験をするなかで、信念が固まってきたと思うんですよね。
5時こーじさんの場合も、他の事業をいろいろやって、行き着いた結果だと思っているので、「信念がない人」というのは、単純に新しいことをやった数が少ないだけだと思います。
5時こーじ:
ひとつのことで当てるのではなく、多くのことをやって信念を見つけていくのが大切なんですね。
「成長思考」=エリートだけが勝てる思考
5時こーじ:
ただ、多くのことをやっていくなかで、真子さんは「とにかく成長をしたい」と言う人はあまりよくないと言うお話をされていた印象があります。これはどういう意味なんですか?
真子さん:
世の中のあらゆることは緩やかなインフレがいいと思ってるんですよ。
経済もそうですけど、あまり急成長しすぎると安定しないし、止まるとストレスを感じます。
たとえば、4畳半家賃3万円に住んでいる人が、いきなり大きな敷地の執事付きの豪邸に住んだら感覚がおかしくなっちゃうし、戻り方もわからなくなりますよね。だから、まずは家賃10万円からスタートしたらいい、という話です。
成長にあまりに意識が向きすぎると執着やストレスに変わるんです。
「自分はあのレベルまで到達していない!ヤバい!」みたいな。僕も21歳のとき、カフェの店員をやっていたんですけど、あまりにミスが多くて女子高生にブチギレられていました。そう人と比べて悩んでしまう瞬間があったんです。
でも、「自分が劣っている」と感じることは、あまり楽しくないじゃないですか。
僕は毎日幸せに生きるのが一番だと思っています。それは解釈ではなく「事実」で、よほど変な価値観を持っていない限り、誰もが毎日楽しく生きて死ねれば最高だと思っているはず。
だから、成長に囚われすぎてほしくないと思ってしまいますね。
5時こーじ:
「べき」論で固めてはいけないと言うか。
真子さん:
目標を立てること自体は大事だと思います。でも、「成長思考」って、エリート思考、いわゆる世の中の10%以下の勝者の理論で、一部の人だけが強くなれる考え方なんです。
エリートはどこでだって勝てます。成功体験もあるし、頭も良いし、親の後ろ盾もある。だから、エリートの競争の仕方に他の人が合わせて戦ったら、ボコボコにされて自信を失って苦労してしまうんです。
人に期待されていることをしない
5時こーじ:
では、そんなエリートの「成長思考」で戦わない選択を取るために、どのような思考を持っておくべきなんですかね?
真子さん:
僕は戦略を大事にしたいと思っているので、自分が得意なところで戦う、人と同じことや期待されていることをやらないようにしていますね。
たとえば、僕は出版依頼をよくもらうのですが、あえて受けないようにしています。何となく本を出すと「イケてる」と思われがちですけど、収益の観点から見ると大きくないし、権威がつくというけど、チャンネル登録者が50万人の経営者YouTuber以上に権威はつかないと思っています。それに、他の客層に広がるというけど、YouTubeで広がる客層の方が大きいじゃないですか。では現時点ではどっちに時間をかけるべきか、と言えば明解ですよね。
マコなり社長のYouTubeチャンネル
僕は「人と同じことをする」ことは、生まれてきた意味がないと思ってしまうんですよ。だって誰でも出来るじゃないですか、誰かが思いつくことなんて。
人と同じことをするのに対して嫌悪感がない人なんてたくさんいると思います。一方で、苦しんでいる人も多い。期待に応えようとするけど、成功体験がなかなか得られなくて、落ちこぼれちゃうとか。
でもそれは、戦略以前に戦術が間違っているから。「この剣を使ってどう戦うか」以前に、「剣」が違うんですよ。
5時こーじ:
そもそも持ってる武器が違うと。
真子さん:
本当はそういうところから考えていくべきなのに、たまたま入社して、たまたまやっている仕事が、自分の能力のすべてだと思っている人が多いですね。
5時こーじ:
自分も営業をやっていたとき、王道の営業で全然成果が出なくて、自分の得意な「コミュニティを作って営業をかける」というやり方を提案したら成功した事例があります。
自分の戦い方が違う、と思ったときにいろんな戦い方を試してみるのは大事ですよね。
向かないことをやり続けても花はひらかない
真子さん:
あとは、自分はこの分野で勝てないな、と思ってから引くまでの判断が遅いですよね。WEBサービスやアプリと同じなんですけど、初動でダメなら9割ダメです。コツコツ改善すればいつか花ひらく、は嘘だと思ってます。ひらかないです。腐ります。
ちょっとやって、すぐにやめるのは良くないけど、無理やり続けると泥沼な戦いに突入してしまいますよ。
5時こーじ:
今はnoteやYouTubeをはじめる人が多いけど、向いている人と向いてない人がいそうですね。
真子さん:
そうですね。やってみて、反応がない時点でやめたほうがいいと思います。たとえばnoteは無名の人が書いて売るのは難しいじゃないですか。でも、才能があるなら、書いて出した瞬間バズる。
そうやって何かしらのシグナルがあるはずなのに、「とりあえずうまくなるから量をやろう」と思ってしまうんですね。もちろんやったらうまくなるとは思いますよ。でもまずは、文章がヘタならうまい人に添削してもらう機会を得たり、教えられるような実績を積んだり、そういうことを先にやるべきなのに、ズルズルと続けちゃうのは良くないと思います。
5時こーじ:
僕も朝渋をやろうと思ったのは、早起きのTipsを紹介したときに、10人中10人にめっちゃいいね、と言われたのがきっかけでしたね。その成功体験が自分のなかでの初速でした。真子さんもYouTubeは初速にこだわりましたか?
真子さん:
もともとプレゼンをよくしていたので、カメラの前でやるのも一緒だと思いましたし、何より動画を作っていて自分が楽しかったんですよね。劣等感を感じなかったんですよ。
それは、誰もやってなかった現役の経営者がYouTubeをやる、という比べられるポジションじゃなかったから面白かったんだと思います。誰もやっていないことをやったので、向いてないと思うこともなかったし、そもそも模範事例がないので、これは勝てる兆候だと思いました。
5時こーじ:
自分の得意を活かして、人と同じことをしなければ、戦わずに勝つことができる。朝渋も、まさにその思いで突き進んでいっています。本日は貴重なお話、ありがとうございました!
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