おはようございます。
朝渋チアガールの中村優(@chanyu_nkmr)です。
7月29日の朝渋では、『カイタイ新書 -何度も「買いたい」仕組みのつくり方-』を出版された中川悠さんをゲストにお迎えしたイベントをオンラインで開催。
博報堂ヒット習慣メーカーズ のリーダーを務める中川さんに、これからのマーケターに求められる『何度も「買いたい」仕組みをつくる方法論』を教えていただきました。
「商品が売れ続けるために、こんな仕掛けが隠されていたのか!」と、マーケターではなくとも、とても学びの多い内容でした。
今回はそのプチレポートをお届けします!
【中川悠(なかがわ ゆう)さん】
株式会社博報堂 統合プラニング局/ヒット習慣メーカーズ リーダー。
大学卒業後、電機メーカーにエンジニアとして入社。携帯電話の設計に携わる。その後広告会社を経て、2008年に博報堂入社。ストラテジックプラニング職として、商品開発、ブランド戦略、コミュニケーション立案に携わる。2015年に統合プラニング局のチームリーダーに就任。クリエイティブ・ストラテジストとして、戦略から戦術まで一貫したディレクションを行う。2017年にヒット習慣メーカーズを立ち上げ、顧客の習慣化による事業成長の仕組みづくりを実践している。2020年4月25日に初の編著書『カイタイ新書 -何度も「買いたい」仕組みのつくり方-』(秀和システム)を刊行。
◎単発的なブームではなく、長期的な売れる仕組みづくりへ
中川さんがリーダーを務めるヒット習慣メーカーズは、メディアの人気記事、SNSの反応、検索行動、購買データなどの生活者ビッグデータを分析して、新たな「ヒット習慣」を生み出す活動を行っています。社内の様々な職種のメンバーが有志で集まり、チームが結成されたそう。
そもそもこのヒット習慣メーカーズが生まれたきっかけは、「単発的なブームではなく、長く続くしくみを作りたい」という問題意識からでした。
人口減少時代のマーケティングでは、短期的な「仕掛けづくり」から中長期的に売れ続ける「仕組みづくり」に変化していく必要があるんだそう。
そして、中長期的に売れ続ける「仕組みづくり」には、習慣がポイントになることに着目しました。
デューク大学の論文によると、人間の行動の4割は習慣と言われているんだそう。
自分の生活を振り返ってみても、歯磨きをする、シャワーを浴びる、同じルートで通勤通学する…と無意識レベルで繰り返している行動がたくさんあることに気づきます。そしてこのような行動は一時的なブームではなく、ひとたび習慣に組み込まれると熟慮せず自動的に繰り返されるようになるんです。
つまり、商品の特徴を活かした習慣を生み出すことが、中長期的に売れ続ける仕組みになるんですね。
◎身近にある「習慣」を利用したマーケティング
朝のシャンプーやペットボトルのコーヒーを買うといった毎日の習慣から、節分の恵方巻き、クリスマスのチキンなど1年に1回の習慣まで、日常生活にもさまざまな習慣が仕掛けられています。
7月の土用の丑の日もその最たる例。江戸時代、夏場に鰻が売れなくて困っていたうなぎ屋の主人が平賀源内に相談したところ「本日、土用の丑の日」と書いた張り紙を店に張り出すことをすすめ、そこから大繁盛!土用の丑の日にうなぎを食べる風習が定着したといわれており、これが日本で最初の広告だとも言われてるんだそうです。
自発的なキッカケがなくても、「クリスマスにはチキンを買う」「バレンタインにはチョコとを買う」と、習慣が定着していればモノを買うことになりますよね。これも単発的ではなく長期的に売れ続ける仕組みの一つなのです。
◎習慣が大きく変化する
ヒット習慣メーカーズでは、毎週火曜日に「ヒット週間予報」というこれから来そうなヒット習慣を予測するコラムを連載しています。
中川さんは、「毎週新しいヒットを予測し続ける大変さもありますが、コロナウイルスなどの影響でむしろネタを作りやすくなった」と語ります。
感染症や働き方改革など、環境の大きな変化は習慣をも大きく変えるきっかけになりやすいんだそう。変化が激しい昨今は新たな習慣を生み出すチャンスにもなり得るんですね。
◎何度も「買いたい」仕組みのつくりかた3ステップ
今回のイベントのメインである、書籍『カイタイ新書』。
何度も買いたい仕組みを作るためには習慣化が必要で、それをさらに分解するとこのような3つのプロセスに分けられます。
Prediction(兆しを読む)→Addiction(新習慣をつくる)→Conversation(会話を拡げる)
1つずつ詳しく見ていきましょう!
Prediction(兆しを読む)
まずは時代の潮流を読み、その流れに乗ること。
ここで注意すべきことは、兆しを点ではなく線で読むこと!
ついその時流行っていること・流行りそうなものに飛びついてそれを追いかけるだけになってしまいがちですよね。
しかし、ただ兆しを「今」という点で観察するのではなく「この先の世の中はどちらの方向に振れていくんだろうか?」と未来にも紐付けながら線で考えることが大切です。
ではは、時代の波にどのように乗っていくのか?
そこで中川さんも利用しているというのが「Googleトレンド」という無料ツール!
例えば、こちらは「タピオカ」と「パンケーキ」がどれくらい検索されているかを比較したグラフです。
タピオカは2018年から急激に盛り上がって落ちていっていますが、パンケーキは検索数がかなり安定していることがわかります。
ブームとトレンドは同じような意味で捉えられがちですが、このようにグラフで見ると明確な違いがあることがわかります。
売れ続ける仕組みを作るには短期的な盛り上がり(=ブーム)ではなく、中期的な傾向(トレンド)をつくることが大切で、テレビ番組のキャスティングなどにもここが意識されているそう…!
Addiction(新習慣をつくる)
次は新習慣をつくるという段階で、ここでは習慣化ループという考え方が紹介されていました。
歯磨きを例に取ると
きっかけ→歯を舌で触るとヌルヌルする、政府の注意喚起
ルーチン→歯磨き粉をつけて歯を磨く
報酬→歯が美しく健康になる
というループが回ることになります。
しかし、これだけだと本当の習慣化はされないのです。
歯磨きを習慣化することでの報酬は「葉が美しく健康になる」ということでしたが、これは1日じゃなかなか実感できないもの。
そこで重要になるのが、触媒なんです!つまり、習慣化のループだけでは不完全で、そこにちょっとした刺激や快感をプラスすることがポイントなんです。
歯磨きの場合は、歯磨き粉にミントの味付けをすることで歯磨きの爽快感が生み出されています。
イベントでは他にも様々な報酬・触媒が紹介されていました!
私が気になった触媒は右下の「電子マネーの決済音」で、無くてもいいものですがついつい癖になってしまいます。
あとは家計簿アプリの資産グラフやランニングアプリの走行距離など、見返して自分の成長を実感できるという機能も報酬・触媒の一種なんですね。
このような細かい仕掛けが、無意識のうちに私達の行動を変えているのかもしれません!
Conversation(会話を拡げる)
①の兆しを読む、②の新習慣をつくるに続いて、SNS、レビュー、口コミなどにより、人々の間でその新習慣が合意形成され広まっていくフェーズです。
ポイントは最初からマスを攻めるのではなく、まずは局所を攻めること!
このフェーズは広告というよりもPRに近く、どう生活者を巻き込んでいけるかが大切になっていきます。
本の中にはさらに詳しいTIPSや、この3つプロセスを使ったフレームワークも用意されています!ぜひ書籍もチェックしてみてください!
『何度も「買いたい」仕組みのつくり方』というタイトルがつけられていた今回のイベント。その仕組みを作るためには、習慣化がカギになっているということを学びました!
Googleトレンドを使って流行の兆しをつかむ方法や、習慣をより多くの人に広めるための攻め方などとても興味深い内容がたくさんありました。
特に「習慣化のループ」と報酬・触媒は、知らず知らずのうちに私達の身の回りの生活でも利用されていると思うので、ぜひこれから意識して観察してみようと思います!
中川さん、素敵な朝をありがとうございました。
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