現在、若いビジネスマンを中心に、愛好家が増えつつある“サウナ”と“銭湯”。
最近では、テレビや雑誌でも特集を頻繁に見るようになり、今後ますます盛り上がりに火がつきそう。
そして、銭湯やサウナにハマってる人は、全員がその魅力を熱く語ります。仕事をする上で欠かせない存在だという話も、よく耳にするようになってきました。
なぜ、銭湯とサウナに人は吸い寄せられていくのか…!?
そこで朝渋では、“銭湯やサウナがある暮らし”を楽しむことを目的に、「銭湯・サウナLoversと語る朝渋」を実施。
ゲストは、書籍『銭湯図解』が話題沸騰中の、老舗銭湯『小杉湯』の番台兼イラストレーターの塩谷歩波さん。
そして、今を時めくビジネスマンの3人。新R25編集長の渡辺将基さん。幻冬舎「あたらしい経済(NEW ECONOMY)」編集長の設楽悠介さん 。サイボウズ式編集長の藤村 能光さん。
4人それぞれの、銭湯・サウナの魅力について話を伺いました。そのダイジェストをお届けします。
登壇ゲストの紹介
塩谷歩波さん。イラストレーター/番頭。イラストレーター兼、高円寺の銭湯・小杉湯の番頭。設計事務所で体調を崩し、休職中に銭湯に救われて「銭湯への恩返し」として銭湯イラスト「銭湯図解」を発表。番頭として働きながら、ねとらぼ「えんやの銭湯イラストめぐり」と旅の手帖「百年銭湯」で銭湯図解を連載中。好きな水風呂の温度は16度。
(写真、右から順に)
渡辺 将基さん。新R25編集長/株式会社Cyber Now(株式会社サイバーエージェント子会社)取締役。2008年株式会社モンスター・ラボに入社し、Webサービスやスマートフォンアプリの受託開発における企画営業およびプロジェクトマネージャーを経験。株式会社カカクコムを経て、2012年株式会社サイバーエージェントに入社し、社長室にて複数のスマートフォン向けサービスの品質管理や新規サービスの立ち上げサポートに従事。2014年からWebメディアの立ち上げ・運営に携わり、2017年9月に若手ビジネスパーソン向けメディア『新R25』を創刊、編集長に就任。
設楽 悠介さん。幻冬舎「あたらしい経済(NEW ECONOMY)」編集長。幻冬舎でブロックチェーン・仮想通貨(暗号通貨)メディア「あたらしい経済」を運営。その他「13歳のハローワーク公式サイト」「NewsPicksアカデミア」など担当。また漫画出版社「幻冬舎コミックス」、クラウドファンディング出版の「エクソダス」、スキルシェアアプリ開発の「expeet」などの取締役兼務。また個人活動としてNewsPicks野村高文とのビジネスユニットを組み、「風呂敷畳み人ラジオ」をはじめとした、数々のコンテンツを発信中。「風呂敷畳み人サロン」「サウナサロン」などのオンラインサロンを主宰。
藤村 能光さん。サイボウズ式編集長。サウナ・水風呂が好きで、時間ができると内省とマインドフルネスのためにサウナに出かける日々。サウナ上がりに、イケウチオーガニックのタオルで体を包み込むのが至高の瞬間。好きなサウナは、温度と湿度のバランスが自分にとって絶妙な場所。ベストな水風呂の水温は、16度。サウナ上がりのブレストをいっしょにやってくれる方募集中です。
『銭湯図解』に込めた想い
ーー 今日は、“銭湯やサウナがある暮らし”を楽しむことを目的に、ゲストの皆さんから話を聞いていきます。
まずは、銭湯を楽しむといえば、先月出版された塩谷さんの書籍『銭湯図解』が道先案内本として欠かせません。この本では24の銭湯が紹介されていますが、銭湯図解に込めた想いを塩谷さんからお話いただけますか?
塩谷さん:はい。この本で伝えたかったことは色々あるんですけど、一番は銭湯の楽しみ方は無限にあるということです。
私にとって、銭湯はアミューズメント施設のような場所でもあるし、時には友達に悩みを打ち明ける懺悔室のような場所でもあるんです(笑)。
銭湯をただの入浴施設として見るのは勿体ないと思ったのが、銭湯図解を描きたいと思った純粋な動機なんです。
ーー なるほど。銭湯の様々な魅力を感じてもらうための本なんですね。
塩谷さん:そうなんです。そのため、それぞれの銭湯につけるサブタイトルにすごくこだわりました。
例えば、荒川にある梅の湯であれば「女友達を連れて行く銭湯」、戸越銀座温泉なら「ご飯がおいしくなる銭湯」、蒲田の桜館なら「春に行く銭湯」。
サブタイトルの分だけ、色々な銭湯の楽しみ方があることを伝えたかったんです。
渡辺さん:今回の書籍は、これまで描いた銭湯図解のうちの、どれくらいが入ってるんですか?
塩谷さん:これまで銭湯の図解を50件近く描いているんですが、書籍に掲載されている24件のうち、20件は新しく書き下ろしたんですよ。
設楽さん:ほぼ全部じゃないですか。すごい!
塩谷さん:以前描いた銭湯もあるんですけど、昔の自分が描いた絵が許せなくて…。だから、書籍のためにゼロから書き直しましたね。
渡辺さん:『情熱大陸』で銭湯図解の制作風景が流れてましたけど、とんでもなく大変そうでした。測量もしっかりしてるし。
塩谷さん:あの作業は、結構楽しいですよ!
渡辺さん:いやいやいや、絶対大変でしょ(笑)
まるでパラレルワールド…。それぞれの出会いを振り返る。
ーー では次に、ゲストの皆さんが、銭湯やサウナにハマるまでの経緯について、聞いていきます。
塩谷さん:私は大学の建築学科を卒業し、設計事務所で働いてました。ただ、仕事に没頭するあまり、病気になり、休職を余儀なくされました。
塩谷さん:休養している時は、半分うつ病のような状態だったんですが、たまたま同じように休職をしていた友達が銭湯にハマっていて、その友達が銭湯に誘ってくれたんです。
その時に一緒に行った昼間の銭湯が、めちゃくちゃ気持ちよくて、感動したんですよ。そこから銭湯にハマりだし、サウナに出会い、今に至ります。
ーー 初めて行った銭湯では、どんな体験があったんですか?
塩谷さん:色々あったんですけど、例えば、目のあったおばちゃんと本当にたわいもない話をしたんです。それがすごく心地よかったんですよね。
あとは、水風呂を初めて体験して、水風呂から上がった時に、すごく気持ちが前向きになっていました。こんなに前向きな気持ちのなれたの、何年振りだろうと思いました(笑)。体が入れ替わった感じなんですよね。
渡辺さん:その感覚、すごくわかります!僕も、気持ちを前向きにする場所としてサウナや銭湯に通ってます。
ーー 渡辺さんは、どういうキッカケで銭湯やサウナにハマったんですか?
渡辺さん:僕は、漫画『サ道』を読んで、「“整う(ととのう)”って、何だろう?」と思い、試しにやってみたのが始まりですね。
渡辺さん:サウナや銭湯にハマるのって、水風呂を突破できるかどうかだと思うんですよ。でも、僕は水風呂が苦手だったんですね。だから、最初は入れなかった。
でも、『サ道』を読んで整う感覚を味わいたくて、水風呂に入ってみたら、すごく前向きになる感覚を味わえたんです。シャキッとする感覚というか。そこからハマりだしましたね。
ーー 設楽さんは、いかがですか?
設楽さん:僕は、それこそ、塩谷さんがいる高円寺の『小杉湯』がハマったキッカケです。
三年前の夏に、高円寺で夜中の12時くらいまで仕事をしていたんですよ。家のお風呂に入るのも面倒臭いから、Googleで銭湯を検索したら、小杉湯が深夜一時半まで営業していることを知り、初めて小杉湯に行ったんですね。
小杉湯でお風呂に入っていたら、塩谷さんがイラストを描いている「交互浴のススメ」という張り紙があって、試しにやってみたら、すごく気持ちいい。仕事の疲れも抜けていったんですよね。そこからなんです、銭湯にハマったのは。
塩谷さん:そうなんですね!すごく嬉しいです!
設楽さん:そこから、サウナも試してみようと思って、色んなサウナに通って、サウナの気持ちに気づきました。その後、すぐに静岡の『しきじ』に行って、ものすごいパンチを食らったんですね(笑)。そこから、どっぷりサウナにハマりました。
ーー では、最後に藤村さん、お願いします。
藤村さん:僕がハマったキッカケは、3年くらい前です。夏の暑い日の会社帰りで、汗をかいて、帰るのがしんどいと思っていました。その時、たまたま高田馬場に降り立って、銭湯に行きたいと思い、Googleで銭湯を検索したんですよ。
藤村さん:そしたら、ミーアキャットがいる銭湯がヒットしました。
塩谷さん:あっ!『福の湯』ですね!
藤村さん:そう!最初は、ミーアキャットで癒されたいと思って銭湯に行ったんですよ(笑)。ミーアキャット目的で行った銭湯で、めっちゃ整ったのが、僕にとってハマるキッカケでした。
銭湯に入って、家に帰るまでの電車の中、みんな疲れた顔なんですけど、僕だけめちゃくちゃ整っている。パラレルワールドを生きてるような感覚があったんですよ。
それから心身の整いを求めて、色んな銭湯に通い、サウナに行き、『しきじ』に出会い感化され、今があります。
銭湯・サウナを制するものが、ビジネスを制する?
ーー 今日は、今を時めくビジネスマンの、渡辺さん・設楽さん・藤村さんにお越しいただいているので、銭湯・サウナがビジネスにどう活きているのかをお聞きしたいと思います。渡辺さんは、銭湯やサウナの存在が、仕事に良い影響を与えていると感じることはありますか?
渡辺さん:もちろんあります。特に、銭湯やサウナで、良いアイデアが降りてくることが、多いんです!
渡辺さん:取材で脳の専門家に話を聞いたことがあるんですが、良いアイデアって、徹底的に考え抜いた後に、脳を緩めている時に思い浮かぶことが多いらしいんですね。サウナや銭湯は、強制的にデジタルデバイスから離れて、脳を緩ませることのできる場所なので、アイデアが降りやすいんだと思います。
ーー 浮かんできたアイデアは、どうメモるんですか?
渡辺さん:裸のまま外に出て、スマホにメモって、また戻ります(笑)。
あと、疲れをマネージメントする意味でも、銭湯・サウナは大きな役割を果たしていますね。
銭湯やサウナに行くと、やる気が出たり、前向きになれます。疲れたり、嫌なことがあっても、「まぁ、サウナがあるし」と思える。僕を守ってくれている存在として、心強い味方になっています。
塩谷さん:それ、すごくわかります。銭湯とかサウナって、ゲームのセーブポイントっぽいですよね。
渡辺さん:ほんとそう。むしろ、サウナや銭湯に気持ちよく入るために、自分から疲れにいっている感覚すらあります(笑)。
ーー 設楽さんは、いかがですか?
設楽さん:僕も、銭湯・サウナと仕事は、めっちゃ関係があると思ってます。
設楽さん:まず前提として、銭湯・サウナの中では、社長も平社員も、お金持ちも貧乏も、全てフラットなんですよ。お互い裸ですし。
以前、企業の経営者が参加する大きな食事会があって、その後、偉い社長さん達とサウナに行ったんです。そのままサウナ施設で一泊して、朝も一緒にサウナに入ったりしました。そうすると、それまでは話すのも緊張するような仲だったのが、すごく打ち解けられたんですよ。
こんな風に、サウナ・銭湯に一緒に行くと、関係がすごく和やかになるという効果があると感じています。
渡辺さん:飲み会と違って、お酒を注いだりとか、気を遣う瞬間がないですもんね。
設楽さん:そうそう。しかも、サウナだと飲み会みたいに多くのコミュニケーションがいらないんですよ。「暑いっすねぇ…」とか、「あぁ…、水風呂気持ちい」とか言っているだけで、気さくな関係になれる(笑)。
ーー 飲み会の代わりに、職場の仲間や取引先と銭湯やサウナに行くというのは面白いですね(笑)。では、藤村さん、お願いします。
藤村さん:仕事との関係というと、僕はマインドフルネスとアンガーマネージメントですね。このために、サウナに行ってる感じがします。
藤村さん:パフォーマンスを発揮する時に大事なことって、自分の仕事に集中することだと思うんですね。でも、仕事中って、色んな人とのコミュニケーションが発生して、なかなか自分の仕事に集中できない。
また、仕事をしていると色々とモヤモヤすることってあるじゃないですか。そして、そのモヤモヤは自分の課題に起因していることもあれば、他人の課題が原因のこともある。
そんな時に、自分を見つめ直す機会を作ると、「これは他人の課題だから、まずは自分の課題にフォーカスしよう」と思い直すことができます。
僕は銭湯やサウナに行って、自分を取り戻すみたいなことを結構やりますね。
サウナに入る前に、これをやると楽しくなる。
ーー では次に、銭湯・サウナを楽しみ尽くしている塩谷さんから、オススメの銭湯・サウナの楽しみ方を教えてもらえますか?
塩谷さん:そうですね。サウナの楽しみ方として、塩サウナがある施設に行った時は、ドライサウナに入る前に、塩サウナに入るとすごく良いですよ!
塩谷さん:まだ、体が温まっていない時に塩サウナに入ると、効率よく内側から温まります。また、最初に塩サウナで揉み込んでおくと、ドライサウナに行った時に発汗がすごいし、体を触るとツルンツルンして気持ち良いんですよ。
ーー 塩サウナは、そういう風に活用すると良いんですね!
設楽さん:僕は、サウナに入る前に、一度水風呂にさっと入るようにしています。そうすると、一回目のサウナがすごく楽になります。ちょっと冷やしているので。
塩谷さん:私、それをドーピングと呼んでます。
設楽さん:これ、ドーピングっていうのか(笑)。
塩谷さん:あとは、最近、サウナで休憩をする度に歯を磨くんですよ。気持ちいいんですよね、浴室の中で歯を磨くの。
設楽さん:サウナに入って、水風呂入って、歯磨きして。また、サウナ入って、水風呂入って、歯磨きするってこと?
塩谷さん:もちろん!歯磨きをするターンもあれば、体を洗いまくるターン、もう一回髪を洗いまくるターンもあって、最近は休憩のたびに刺激が欲しくなっています(笑)。
渡辺さん:それは新しい(笑)。
私にとって、銭湯・サウナとは?
ーー 皆さんの話を聞き、銭湯・サウナには様々な楽しみ方があることが改めてわかりました。最後に、皆さんにとって、銭湯・サウナとは何かを聞かせてください。
渡辺さん:僕にとって、銭湯・サウナは気持ちを前向きにしてくれる場所ですね。
渡辺さん:自分の気持ちがちょっと落ちている時に、銭湯やサウナに行くことで、気持ちを切り替えることができる。これって、すごいことですよね。
銭湯やサウナのそういう価値を感じてもらえると嬉しいので、是非試してみてください。
ーー まさにセーブポイントですね!では、設楽さん、お願いします。
設楽さん:お風呂に入ること自体が体に良いので、大切な習慣として、通うことを根付かせていきたい場所ですね。
特に一人暮らしの人だと、あんまり家でお風呂に入らなかったりするじゃないですか。まずは、自宅のお風呂にしっかりと入るというところから始めてみるのも良いかもしれません。でも、銭湯の方が広いし、足も伸ばせるし。だから、入浴する習慣をつける意味で、銭湯やサウナに通うことを根付かせて行くべきなのかなと思います。
ーー ありがとうございます。藤村さんは、いかがでしょうか?
藤村さん:僕にとって、銭湯とサウナは自分を取り戻す場所ですが、それぞれの楽しみ方が見つかるはずなんですよね。それを見つけると面白いと思うし、銭湯やサウナによって、まだ見ぬ自分を発見できるかもしれません。
ーー では最後に、塩谷さん、お願いします。
塩谷さん:銭湯は自分を変えてくれた場所だと思います。
塩谷さん:銭湯に出会うまでは、世間体や肩書きを、すごく気に掛けていたんですよ。
でも、銭湯って、誰でも平等じゃないですか?みんな裸だし。一緒にお風呂に入っている人の名前もわからない。すごくフラットな場所です。
そこで私は自分を取り戻したからこそ、自分に素直になることができました。好きな絵を本気でやっていきたいと思ったんですね。
素直な気持ちで自分を見つめ直すきっかけとなる場所に、銭湯がなれば嬉しいと思います。
***
以上、「銭湯・サウナLoversと語る朝渋」のダイジェストレポートでした。
そこに行くことで、自分を見つめ直すことができたり、気持ちが前向きになったり、人との関係性が深まったり…。銭湯・サウナは、こんなに人生に大きな影響を与えているんですね。
銭湯・サウナは自分を見守ってくれるセーブポイントのような存在という話がありましたが、是非、皆さんも自分のセーブポイントとなる銭湯・サウナを見つけて、自分らしい楽しみ方を発見してもらえたらと思います。
まずは『銭湯図解』を片手に、銭湯巡りを楽しみましょう!
Text by 井手桂司 / Photo by 北澤太地
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