渋谷で開催している朝活型読書コミュニティ「朝渋」。

7月31日は、『御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社』の著者である白河桃子さんと、日経BP社の「CHANGE MAKER OF THE YEAR」にも選出された話題の社会起業家、スリール株式会社代表の堀江敦子さんのお二人をゲストにお迎えし、イベントセミナー型の朝読書会を開催しました。

白河桃子(しらかわとうこ)さん
東京生まれ、私立雙葉学園、慶応義塾大学文学部社会学専攻卒。
住友商事、リーマンブラザースなどを経てジャーナリスト、作家に。女性のライフキャリア、働き方改革、少子化、男女共同参画、女性活躍推進、不妊治療、ライフワークバランス、ダイバーシティ、などがテーマ。大学生、高校生のために仕事、結婚、出産の切れ目ないライフプランニングを提唱し、出張授業、講演、テレビ出演多数。内閣官房「働き方改革実現会議」「一億総活躍国民会議」等の民間議員。『産むと働くの教科書』(講談社)、『専業主夫になりたい男たち』『専業主婦になりたい女たち』(ポプラ新書)、『御社の働き方改革、ここが間違ってます! 残業削減で伸びるすごい会社』 (PHP新書) など著書多数。

堀江敦子(ほりえあつこ)さん
日本女子大学社会福祉学科卒業 大手IT企業勤務を経て25歳で起業。
日経ウーマン「次世代ガール25人」、日経ビジネス「チェンジメーカー10」に選出され、日経WOMENやOggiなどの雑誌などにも、多く取り上げられる。「働くこと」、「家庭を築くこと」をリアルに学ぶ「ワーク&ライフ・インターン」の事業を展開。経済産業省「第5回キャリア教育アワード優秀賞」を受賞。両立支援や意識改革を得意とし、企業や大学、行政等多くの講演を行う。内閣府「男女共同参画 専門委員」や、厚生労働省「イクメンプロジェクト」、「ぶんきょうハッピーベイビー応援団」など複数行政委員を兼任。スリール株式会社

働き方改革の本質は、多様性を受け入れること


ー白河さん、ご出版おめでとうございます。今回の本を執筆されたきっかけを教えてください。

白河さん:働き方改革実現会議の議員としての経験を活かし、この度『御社の働き方改革、ここが間違ってます!』という本を書かせていただきました。
昨今「働き方改革」に注目が集まっていますが、その内容に関して、単に残業時間の削減をすればいいと誤解されている部分があると思います。

働き方改革の本質は、「昭和のビジネスモデル」からの脱却にあります。
もはや現代社会において、人口が多かった時代の均質な人達が一律に長時間働く形は通用しません。労働時間や場所に縛られず、社員一人ひとりの多様性を柔軟に受け入れられた会社が働き方改革に成功しているのです。個人が生産性を高めよというだけでなく、経営者が「昭和の経営」からマインドセットして、覚悟を決める必要があります。

本書では、そうした「働き方改革先進企業」の成功事例や具体的な施策内容を交えて、働き方改革の本質を説明してますので、ぜひともご一読いただければと思います。

漠然とした不安によって、多くの人が仕事を諦めている

ー堀江さん、今回「両立不安白書」を作られた経緯を教えてください。

堀江さん:スリール株式会社で代表を務めます、堀江敦子です。
スリールでは、大学生や若手社員に仕事と子育ての両立をリアルに体験してもらうことで、自身のライフキャリアを描く手助けをするプログラムを開催しています。
そのプログラムを通じて、「仕事と子育てを両立すること」に漠然とした不安を抱く若者が多くいることに気がつきました。

「家事も育児もしながら、仕事を続けられるか分からない。誰にも迷惑をかけないようにするには、仕事を辞めるしかないのではないか。」
仕事と家事の両立をすることへの不安によって、やる気があるにも関わらず、多くの女性がやりたいことを諦めてしまうのは非常に勿体ないです。

女性が抱いている両立に対する不安やネガティブな思い込みを払拭するために、「両立不安白書」を作成しました。

長時間労働の是正は、女性活躍にも効果がある


ー「 両立不安白書」は社会的意義がある資料ですよね。公開されてからの反響はいかがですか?

堀江さん:公開してまだ数日ですが、既に Facebookで150件以上のシェアがされています。「不安の解消方法を読んで、自分はこのままでいいんだと思えました」といったメッセージをいただくなど、反響をいただいております。

白河さん:「両立不安」というワードで、この課題を浮き彫りにしているのが素晴らしいと思います。私もこの課題に対して、働き方改革の文脈から改善を図っていますが、「長時間労働の是正」なくして女性が働きやすくなることはありません。女性の意識に対する働きかけはもちろんのこと、男性中心の長時間労働の環境整備に取り組むことも必要不可欠です。

ー白河さんが「婚活時代」を出版されてから10年経ちますが、結婚を取り巻く環境は変化しているのでしょうか?

白河さん:そうですね、変化してきていると思います。管理職の女性のもとに取材に行くと、「あの本を読んで結婚できました」と言っていただけることがあります。両立不安を取り除くだけで、こんなにも女性は活き活きと自分の人生を生きられるのかと実感しています。

堀江さん:ようやく、女性のやりたいことに対する「心理的ストッパー」が少し外れ始めたかなと感じます。しかし、働き方の多様性に関する問題は女性だけのものではありません。
男性の場合、「男たるもの家族を養えるだけの稼ぎを得るべし」という別の大きなストッパーが存在するため、「自分らしさ」や「やりたいこと」を優先したキャリアの選択をしようとしません。

白河さん:男性の意識改革こそ重要だと思います。
以前と比べて、女性社員は「子育てで帰ります」と言いやすくなりましたが、男性社員の場合はまだまだ上司から理解を得にくいのが現状です。
そうした状況を打開するために、スリールが提供している管理職に育児体験をさせる「育ボスブートキャンプ」プログラムに多くの大企業が取り組んだ話を聞き、「まさにその通りだな」と感じました。
管理職世代は若い頃から無制限に働いてきた人が多く、時間制約のある働き方への理解が乏しいです。働き方を変えていくためには、管理職世代の意識や会社の風土を変えていかなければなりません。

先を見据えて、根気強く取り組み続けることが大事


ー企業が働き方改革を進めていく上で、ポイントはどこにあると思いますか?

白河さん:多様性を望む姿勢が企業にあるかどうかだと思います。
はっきり言って、企業は政府に任せすぎです。申し訳ないですが、今までの「女性活躍推進」などの取り組みは、おざなりだったと言わざるをえません。本当に女性を必要としている企業は取り組みますが、そうでない企業は制度を作っただけという印象を受けてしまいます。「効率化しました」「テレワークの制度を入れました」といった表面上のシステムの導入だけでは、あまり意味がありません。

そうではなく、企業の将来を担う経営課題として真剣に取り組んでいくべきだと思います。
そのためには、経営者自らが時間を使って「多様性の大切さ」を根気強く発信していくこと。経営者の覚悟が問われますが、真剣に取り組んだ企業だけが勝ち残っていくでしょう。

堀江さん:働き方改革に対して、企業がネガティブな反応をしないことが重要です。
国は本気で働き方改革を進めようとしていますが、政府の動きは世論などに大きく左右されるため、ネガティブな反応が生まれてしまうと、「やっぱりそうだよね、じゃあやめようか」となってしまいます。

「働き方改革がいかに重要なのか」を個人も企業も理解し、全員で取り組んでいくこと。
何年も先を見据えて、まだ結果は出てなくとも「取り組み続けたい」というメッセージを発信していくことがとても重要だと思います。

残業時間の削減だけで、働き方改革を終わらせない

ー最後にメッセージをお願いします。

堀江さん:今回、スリールが「両立不安白書」を作成した理由は、仕事と育児の「両立不安」問題を女性だけの問題に留めずに、社会問題として扱いたかったからです。
女性の労働環境に関する、この課題が解決できなければ、介護・外国人労働者・障害者が活躍できる社会を今後作るのも難しいと思います。まずは、この問題を社会問題として周りに広めていき、取り組む人が増えることを願っています。まずは2万ダウンロードを目指しています。みなさんにもぜひ拡散していただければと思います。ご協力よろしくお願いします。

白河さん:働き方改革はまさにこれからです。
しかし、現状では表面的な施策だけが進んでいるような気がしますので、これを機会に働き方改革の本質的な部分を捉えていただければと思います。
また、残業上限に関して、「時間を決められたくない。もっと働きたい」という声が若い人達から出ているのも事実です。たしかに「成長するために、若い時はたくさん働いた方がいい」といった意見もよく聞きますが、実はそれを立証するデータは存在しません。当然のことながら、長時間働けば働くほど、脳は疲れていき、思考は停止していきます。頭が冴えていない状態で、質の悪い長時間労働をして、やった気になってしまうマジックに惑わされないでほしいです。やった気になって自分は気持ちが良いけれど、それによって周りの人を苦しめていないか。その点も踏まえて、ただの残業削減で終わることなく、広い意味で働き方改革を捉えてほしいと思います。

「両立不安白書」
http://ryoritsu-fuan.sourire-heart.com/

白河さん、堀江さん、ありがとうございました!

会場提供: BOOK LAB TOKYO

 

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