渋谷・道玄坂で開催している会員制朝活コミュニティ「朝渋」
7月23日(月)は、『「AIで仕事がなくなる」論のウソ この先15年の現実的な雇用シフト』の著者である、雇用ジャーナリストの海老原嗣生さんをゲストにお招きし、「著者と語る朝渋」を開催しました。

海老原嗣生さんのプロフィール

海老原嗣生さん
雇用ジャーナリスト、経済産業研究所コア研究員、立命館大学客員教授、奈良県行財政改革推進プロジェクトワークマネジメント部会長、人材・経営誌『HRmics』編集長、ニッチモ代表取締役、リクルートキャリア社フェロー(特別研究員)。
1964年、東京生まれ。大手メーカーを経て、リクルートエイブリック(現リクルートキャリア)入社。新規事業の企画・推進、人事制度設計等に携わる。その後、リクルートワークス研究所にて人材マネジメント雑誌『Works』編集長に。2008年、人事コンサルティング会社「ニッチモ」を立ち上げる。『エンゼルバンク――ドラゴン桜外伝』(「モーニング」連載)の主人公、海老沢康生のモデル。

AIの進化によって、これから大事になること

英会話を勉強している方は多いかと思いますが、「英語を使って何がしたいのか」という目的が明確にないと無駄な投資になってしまうかもしれません。
AIが入る前の2016年頃のGoogle翻訳では、そこそこ精度が高いものの、ところどころ意味が不明な訳が出力されていました。
しかしAIが導入された1年後には、ほぼ完璧に近い翻訳ができるようになっています。

参考記事:
「進化した「Google翻訳」がスゴすぎる」(アプリオ編集部)

日本の高校生がテストで書いたとしたら、100点がもらえる回答です。
AIを導入しただけで、たった1年でこのレベルの成長が起きてしまいました。
だからこそ、「爆発的で破壊的な凄さ」だとAIは言われているわけです。
この事例を見ていただければ、高校の翻訳レベルやToeic900点レベルの話であれば、英会話は必要なくなるということがわかります。
そうすると、今までみなさんが英会話を必死に勉強していた意味は何ですか。
もちろん、本当に使えるレベルで外国語を勉強しているという人は大丈夫だと思いますよ。
しかし、単に旅行やビジネスで使うために習得すること目的としていた人は、本当に必要なのかもう一度考え直してみてください。

以前こんな話を聞きました。
多くの役者が日頃演技をする中で、「自動的に台本の内容を暗記できる機械がほしい」と思っているそうです。
本来、役者の仕事とは「台本の内容を表現すること」であるにもかかわらず、多くの役者にとっては表現の前の段階である「台本を暗記する」という行為に多大な負担がかかってしまっているのが現状です。
ある劇団では役者が演技に集中するために台本を全部カンペにして暗記する必要をなくしたそうです。
先ほどの英会話の例もこの話と同じです。
単に英語が話せるだけの人は、自動翻訳機が出来たときに仕事がなくなってしまいます。
AIによって英語を話す必要がなくなった時に求められるのは、「何を話すのか」「どういう商談をするのか」ということ。
英会話は手段でしかなく、「それを使って何をするか」という目的を考えることが大事です。

知的熟練業務が機械に代替され、単純作業は残る

最近、ビジネス誌では「AIに仕事が奪われる」といった特集が取り上げられています。
一見すると、まず先にサービス業や製造業などの単純労働がAIにとって代わられてしまいそうですよね。
しかし私は、単純労働は人間がやる仕事として残っていくと考えています。
なぜなら、AIはコンピュータの内部でしか仕事ができず、我々が普段行なっている仕事を行うには、付随するメカトロニクスが必要になるからです。

たとえば、レジ打ちの仕事では、関連する細かな作業がいくつも存在します。
人間の場合には、これらの仕事をまとめて一人で担うことができますが、AIの場合は細かな一つの作業ごとにメカトロニクスを用意する必要があります。
これでは全ての仕事を任せようとすると、店内が機械だらけとなってしまい、投資的にも外観的にも成立しません。
一つのメカトロニクスだけで全ての作業がまかなえるようになるためには、人間と同じ機能をもたなくてはなりません。
これができるまでには20年くらいかかかると言われています。
そのため、当面はAIとAIの仕事の隙間をつなぐ「隙間労働」が増えていくと考えられています。

逃げの姿勢が一番危険

反対に、知的熟練が必要な業務の方がAIに取って代わられてしまいます。
AIはパターン認識をしながら自力で学習していくので、新しいデータを与え続けていれば、複雑な処理や例外対応であっても、全て判断して対応できるようになります。
そのため、現在では資格の取得が必要な税理士や司法書士、弁護士などの人が行う業務であっても、すぐにAIが学習して行えるようになるでしょう。

こうなったときに、真っ先に仕事を失うのは「難易度の高い資格を取ったから自分は安泰だ」と考えている人です。
このような人は「営業が嫌だから」といったネガティブな理由から、怠惰な方向に逃げ込みたいと思っている人です。
先ほども英会話の例で説明しましたが、結局は職業や資格は手段でしかありません。
従来までの「偏差値の高い大学に入って、難関の資格を取れば人生安泰」といった価値観は通用しません。
AI時代になることで、「自分は何がしたいのか」を考え直さなくてはならなくなると思います。

「仕事 = 人生の目的」ではなくても、よくなっていく

人間の仕事が、AIとAIの隙間を埋める隙間労働となっていくとどうなるでしょうか。
簡単な仕事だけが人間の仕事として残り、なんの修練も必要なくなります。
出世はなく給料も上がりませんが、労働はすごくホワイト化し早く帰ることができます。
それでいて、一生安泰というくらいの給与はもらえます。

現在の欧州の労働環境がこの状態です。
基本的に欧州では、職業訓練して職業資格を取得した仕事しかできません。
それ以外の仕事に転職しようものならば、未資格取得労働者として年収250万円以下の仕事しかもらえません。
資格といっても、税理士のような資格だけでなく、どの仕事でも資格が必要です。
違う仕事に移ろうと思っても資格がなければ、転職することはできません。
このように欧州では、労働組合が強い分、資格を取れば、その資格の中でなら守ってもらえますが、仕事を変えようと思っても、隣にも上にも移ることができないのです。
こういう社会を「籠の鳥」と言います。
すごく自由に見えますが、実態はカゴの中で飼われている鳥と変わらない。
ヨーロッパの人に労働状況を聞くと、「まるで地獄のようだ」と答えます。

しかし、欧州が実践しているこの社会よりも、AI型の社会の方が良いでしょう。
なぜならAI型であれば、熟練しなくてはならない難しい仕事は全部AIがやってくれるからです。
そうすると、今の仕事に飽きたとしても、次の日から違う仕事に移ることが可能です。
その仕事を首になったとしても、企業に頼る必要もなく、次の仕事に就くこともできます。
つまり、欧州の「籠の鳥」のような一つの仕事しかできない社会ではなく、出世しないかわりにどの職業でも自由に働くことができる社会です。

そのような社会では、仕事を人生の目的にしなくてもよくなります。
これがAI時代における素晴らしい恩恵です。
現在の日本人の多くは、人生の目的を仕事に求めすぎています。
しかし、明確に自分の目的を持って働いている人は多くありません。
これからのAIの時代に向けて、「今、自分がやろうとしていることが手段なのか目的なのか」を考えることをお勧めします。
目的のない仕事は、これからなくなっていきます。
そんな中で「人生において、自分は何がしたいのか」を自分の胸に問いかけてみてください。
その答えが仕事にあるという人にとっては、「いい会社に入って出世する」という従来の価値観ではなく、「その会社に入って何をやるのか」という目的の方が大切になってくると思います。
改めて、目的を考えて自分の仕事と向き合ってみてください。

海老原さんありがとうございました!

・会場提供: BOOK LAB TOKYO
・Text by 児玉悠太朗(@kodama_yutaro
・Photo by 矢野拓実(https://takumiyano.com

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★参考記事:
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