おはようございます!朝渋公式ライターの長田(@SsfRn)です!

朝渋が初めて「著者と語る朝渋」を開催した際のゲストである、フォーブス ジャパンの谷本有香さん。その谷本さんが、この度「世界のトップリーダーに学ぶ 一流の偏愛力」を出版されました。

偏愛力とは?
世界のリーダーをインタビューをした中で見えた共通点とは?
これからの時代に必要な考え方と、リーダーシップとは?

朝渋では、谷本さんをお招きし、著者と語る朝渋を開催しました。本記事では、その様子をお届けしようと思います。

 

谷本有香

フォーブス ジャパン副編集長

証券会社、Bloomberg TVで金融経済アンカーを務めた後、2004年に米国でMBAを取得。その後、日経CNBCキャスター、同社初の女性コメンテーターとして従事し、2011年以降はフリーのジャーナリストに。これまでに、トニー・ブレア(元英首相)、ハワード・シュルツ(スターバックス会長兼CEO)、スティーブ・ウォズニアック(アップル共同創業者)、ジム・ロジャーズ(個人投資家)、ポール・クルーグマン(ノーベル経済学者)をはじめ、3,000人を超える世界のVIPにインタビューした実績をもつ。フォーブスジャパン副編集長。跡見学園女子大学兼任講師。自身のノウハウを凝縮した「アクティブリスニング なぜかうまくいく人の『聞く』技術 」(日本・台湾・韓国・タイで出版)、「世界トップリーダー1000人が実践する時間術 」(日本・台湾で出版)、「何もしなくても人がついてくるリーダーの習慣」、「世界のトップリーダーに学ぶ 一流の『偏愛』力」を出版。現在、TBS「ビビット」の木曜レギュラー、MX「モーニングCROSS」のコメンテーター他、日経CNBC「夜エクスプレス」のアンカー、テレビ朝日「サンデースクランブル」、フジテレビ「ユアタイム」、 Abema TV「Abema Prime」「けやきヒルズサタデー」等、多数のテレビ番組に出演の他、メディアへのコラム寄稿、経済系シンポジウムのモデレーター、企業役員、企業のアドバイザーなども務める。

 

自分自身が何者なのか?その答えは偏愛力にある

谷本さん
私はこれまで、たくさんの方にインタビューをしてきました。それこそ、誰もが知るようなリーダーの方々です。その方達の特徴って、必ずしもカリスマ性があるとか、ものすごい仕事ができるとか、そういったことではないんです。勢いがあるリーダーの方たちの共通点として、「偏愛力」があるなということに気づきまして、今回この本を書かせていただきました。

「Who are you?」って聞かれたら、みなさん何てお答えします?以前私、CNBC時代たくさんの世界のリーダーたちにお会いして、何人ものトップリーダーに同じことを聞かれたんですね。当然ながら自己紹介をしろっていう意味かと思って「はい、谷本有香と申します。CNBCアンカーをしています。」って言うじゃないですか。それでも続けて「お前は誰なの?」と聞いてくるわけですよ。

これはどういうことかというと「CNBCっていうアンカーって50人くらいいる。君もその中の1人だ。その中でお前はどういう人間なの?」っていうこと。

実際トップリーダーの方たちにお伺いしてみました。「それどういう意味合いで聞いているんですか?」と。そしたら「CNBCは世界各国で出てきたから、そこのアンカーたちを知っている。つまり、その肩書で、ある程度信頼のある人物だということはわかる。けれど、君個人がどこまで信頼できるのか、それを証明してほしい」って言うわけですよ。

逆にそれを説明したことによって、「自分自身が納得したら君にスクープを教えよう」とか、「次に日本に来日した時に、もう1回君にお願いしよう」と、リピーターとして何回も何回もインタビューするということにつながってきたんですよね。

つまり自分自身が何者かという、肩書を超える何かを言わなくてはいけないんだと思ったんです。その時に必要になってくるものが、おそらく偏愛であるような気がする。なんでかって言うと、人というのは相手を理解するときに、分かりやすい記号で納得をしたいということがあるんです。谷本といえば、◯◯野人、というように。

そう考えるときに、自分自身を因数分解していく必要があるんだろうなというふうに思っています。因数分解は、自分を作り出している構成の要素ですよね。例えば自分の好きなことであるとか、こだわりであるとか、強みであるとか、あとはどういった傾向性があるかとか、そういうことを説明して「私はこういった人間です!」と言えるのかなと。

それですごく重要なことっていうのは、その構成要素、しかも特にあなたを構成する偏愛的な構成要素が「社会貢献してますか?」ということなんですよ。私が今までつぶさに見てきたトップリーダーの方たちの偏愛性は、それがきちんと社会的なインパクトを残すであるとか、誰かへ貢献することにつながっているということ。

それを私は「ビジネスアイディンティティ」と言っていて、ビジネスのコアになる部分なんですね。自分の傾向性とか自分自身を円グラフで表したときに、その中の大きい部分というものがどういったものがあるのか?そこを突き詰めて考えることによって、ビジネスアイディンティティが何らかの形で、自分の社会との接点であるキーやタグになるものが生み出せるんじゃないかなと思っています。

今まではヒエラルキー型の社会組織だったわけじゃないですか?でもこれからは、複業であるとか兼業であるとか、1つの企業に縛られない働き方をせざるを得なくなってくる中で、「私自身はフォーブスジャパンの谷本です」だけではダメなんですよね。

そうであれば「私証券のことは得意です!私金融のことは大丈夫です!」と、その自分がどういったところで貢献できるかという「ネットワーク型の社会組織」になっていく。まさにフリーランス的な働き方を今後迫られていくと、肩書以上に自分自身が何者かということをアピールしていかざるを得なくなっていく。その時、自分の偏愛性であるとか、自分の傾向性というものに気付いていかないければいけないんです。

 

女神的リーダーシップが生む効果とは

谷本さん
リーダーシップ型でよく言われているのが、”トランザクティブ・リーダーシップ”と”トランスフォーメーショナル・リーダーシップ”という2つの形があって、その2個目のものが「女神的リーダーシップ」などとも紐づけて解説されています。

1個目がいわゆる昭和的というか、トップダウンのやり方ですね。2番目のやり方がどういったやり方かと言うと、1人1人の偏愛性とか1人1人の強みとか1人1人のやりたいことを集めていくことによって、リーダー自身の思うことを越えた制度が生まれやすくなるということ。それが女神的なリーダーシップの強みでもあるんです。

これがまさに、今偏愛性を得意としているリーダーたちが「自分たちはこれが大好きなんです」と言うと、何となくそれに共感した人たちがどんどん集まり、コミュニティ化していく。それぞれの偏愛性をもとに、大きな社会的なインパクトみたいなものを醸成していって、結果的に何らかの社会的事象を生み出していく、みたいなものだと思うんです。

例えば、佐渡島庸平さんが手がけられた『宇宙兄弟』のお話とかが、すごくそうだと思うんですよね。今までの彼が手掛けていた本であったらば、こういうマーケティングをしたら売れる、ということが分かっていたんだけれども、今の時代はそうじゃなくなっている。

本当に『宇宙兄弟』が大好きであるとか、そこから広がる世界観が大好きであるとか、そういった人たちに寄り添うようなマーケティングの仕方をしていると、それに共感するファンが集まってきて、それがジワリとにじみ出ていく感じで大衆化していく。こうしたファンの増やし方が、これからの時代の主流になりえるんじゃないかなと思っています。

 

やっぱりワクワク感や自分はこれが好き、みたいなことをいかに見つけていくかっていうことが、これからの時代を生き抜いていく上での大事なティップスになっていくんじゃないかなと。

 

日本から世界で戦えるリーダーを輩出していきたい

西村さん
ここから、トークセッションのほうに入っていきたいと思います。まずは、谷本さんが今偏愛しているものをお伺いできればなと思います。

谷本さん
今まで3000人以上のビジネスリーダーにお会いして、思ったことがあります。「なぜ日本のリーダーは世界で存在感がないのか」ということ。日本のリーダーの中にも素晴らしい方がたくさんいます。しかし、世界の中において、ビル・ゲイツやジャック・マーのような存在感を放っている人が少ない。これはもったいないと思ったんです。

私の中でそこに偏愛が生まれています。「日本から世界で戦えるリーダーを輩出していきたい」という偏愛が。「日本も含め、世界のリーダーたちがどういったものを持っているのか?」それをうまく言語化することによって、たくさんのリーダー、もしくはリーダーの潜在的な能力を持ち合わせている人たち、もっと言えば誰しもがリーダーになれるようにしていきたい。

「多くのリーダーを創出したい」っていう1つの偏愛性が、エネルギー源として持ち続けているものです。だからこそ、私は口頭や文章で世界のトップリーダーのことを伝えることによって社会が少しでも変わればいいな、と。それが私の「ビジネスアイディンティティ」なんじゃないかなと思っています

 

西村さん
ありがとうございます。偏愛を外発的要因ではなく、自分の内から、自分の行動から生み出す方法ってあるのでしょうか?

谷本さん
あると思います。みなさん頭がいいから理性でいろいろ蓋をしているんです。ワクワクする気持ちにきちんとスポットライトを当ててあげることが大事だと思うんです。

例えば、私は人の話を聞いたり、取材したりすることが好きなのですが、特にその人がなぜそう考えるのか、行動するのかの源泉をさぐるジャーニーが大好きなんです。そういう話を聞いていると本当にワクワクする。

なので、そのワクワクする気持ちを吸い上げ、そして、それを自分のものだけにするのではなく、形にして人に伝えるなりして還元する。そんな形で、内に創発する思いを具現化していく、という作業を丁寧にすることなのではないでしょうか。

 

西村氏
なるほど。ありがとうございます。そうですよね、やっぱりそんなにエポックメーキングな出来事がポンってなかったとしても、ついつい誰に何を言われてても時間使っちゃうものとか、「これのことなら朝まで語れるぜ」とかってあると思うんですよね。自分の心に耳を傾けて、自分自身に傾聴することで見つけることができるんじゃないかということですね。

 

これからの時代はフリーランス思考が必要になる

西村さん
ここから聞きたいこと2つ目ですね。女神的リーダーシップと対極のリーダーが、今の大手上場企業の社長とか経営者ではほとんどかなと思っています。

なんだかんだ、役員社長も含めてホールディングスの社長って、何をもって抜擢されるかというと、いわゆる数字!数字!数字!みたいなヒエラルキーで育ってきた、ヒエラルキーでのマネジメントしかできないリーダーです。みんな超疲弊してるんだけど数字だけはめちゃめちゃ伸びているがゆえに、結局重宝され続けている。

確かに中長期でしっかり伸ばしていくのであれば、女神的リーダーシップっていうのは重要なのかもしれないけれども、とはいえ株主からは、目の前の利益を求められる。要は短期的利益を求められるという中で、本当に女神的リーダーシップは機能するのか?みたいなことがあればぜひお聞きしたいと思います。

 

谷本さん
女神的リーダーシップってスタイルじゃないですか。だから、それをやりながら数字を求めることもできるわけですよね。むしろ、数字は求めなければいけない。数字を求めるからこそ、スタイルを個々人で考える必要がある。

あとは利益率であるとかそういったことではなくて、社会的にどれだけインパクトがあることに目を向ける。Amazonを見てごらんなさいよ、あんなに赤字垂れ流して、それが売りだった企業じゃないですか。でも世界一の会社になっていますよね。

そういったことに恐らくこれからの人たちは気づき始めている。先日モナコまで行って参加してきた、世界一の起業家を決めるイベントでも社会貢献性というのは一番重要な指標としてリーダーたちに認識されていた。

なので、リーダーは責任を持って、きちんと株主を説得できるような、志やビジョンやロードマップを表現することができるかどうかが大切です。多くのリーダーたちも、今の数字ばかりを求めていくやり方では、なりゆかないということに気づいているので、これから変わっていくと思います。

 

西村さん
女神的リーダーシップというスタイルを貫き通しながら、少なくとも3年っていうレベルではきちんと約束を果たし、だからこの半期とか今期に関しては目をつぶってくれないか?ということをきちんと言える経営者が必要であるというのは、その通りだと思います。

他方でそういったスタイルっていうのは、株主から認められづらいなと。中長期ビジョンじゃなくて、「とにかく今期利益を出せ」っていう株主側にも責任の一端はあるなと思っている中で、株主から変わる必要もあるかなと思っているんですけど、どうでしょうか?

 

谷本さん
そうですね、ただ、経営をする人間にとって、やはり数字はすべてだと思います。そのために、どうすればいいのかという方法論の問題なんです。時代が変遷する中で、結果が出せるリーダーシップスタイルであるとか、自分にあった経営のやり方がどれなのかを探求する中に、女神型リーダーシップがあると思うんです。何でかって言うと、今日本の大企業は、1人1人の社員さんたちの潜在力を100%活かしきれていないわけじゃないですか。100%活かせるようにすればいいわけです。

思ったような数字を出すには、評価軸を変えることも重要です。移行による混乱もあるとは思いますが、数字に表れる時が絶対来るので、まずその挑戦、そのリスクを取ることができるかどうか。実際にそれを実践している企業もあるわけじゃないですか。そういった企業を、メディアとして私たちがフィーチャーしていくことも大事なのかなと思います。

 

西村さん
おっしゃるように数字がすべてだと僕も思っていて、やっぱり口だけじゃなくて結果を出して「なるほど、女神的リーダーシップでも成果が出るのか。いや、女神的リーダーシップじゃないと本当の意味で非連続な成長ができないんだな」ということに気付いてもらうしかないんじゃないかと思います。

では最後の質問に行きたいと思います。自分という商品を完成者として贈るんじゃなくて、因数分解して部品として、どの部品であれば世界と勝負できるような、世の中と勝負できるような部品なのか?っていう自分をモジュール化するっていうのが非常に大事だなと。

一方で自分をどう因数分解するかっていうのが、けっこうコツとかセンスがいるなと思っていて、自分を因数分解するコツっていうことについて、思うことがあればお聞きしたいです。

 

谷本さん
本当にこれからの時代ってフリーランス的な働き方や思考を持つべきだと思うんです。それは、結論的なことを申し上げると、自身の能力や強みをアピールし続けるということ。自分自身の棚卸を、毎日していくということ。自分の強みって日々変わっていくわけですよ。自分自身の経験値もどんどん積みあがっていく、自分の中にたくさんの情報量がたまっていくと、自分の中の強みも偏愛性も好き好みもすべてが変わっていくということにつながるので、日々棚卸をまずしたほうがいい。

「私今何にワクワクしているんだっけ?」「私今何が得意なんだっけ?」それは社会情勢とか世界の環境とかも鑑みながら、自分たちの社会接点を常に常に見極めていくっていう癖をつけられるのが私はいいかなと思っています。

もう1つ言えば、私自身は常に危機感を持っています。明日のお米が食べられないかもしれないという危機感を、常に持っているわけです。その時に必要なことって、インプットしていくことだと思うんです。

インプットって言うと簡単そうに聞こえるけれども、インプットすると自分の”好き”が”強み”になる。なので、何にインプットの時間を割いているかとか、何にエネルギーを注いでるかとか、何に1番時間を使いたいかというのを意識することが、自分自身の強みを増やしていくコツなのかなというふうに思っています。

 

ーー以上、著者と語る朝渋の様子を届けしました。トップリーダーたちが持つ偏愛力、そして女神的リーダーシップ、これらの重要性を谷本さんから学べる会となりました。自分自身が何を好きなのか?何に対して偏愛しているのか?今この時が、自分自身と向き合って考えてみるタイミングなのかもしれません。

 

谷本さん、朝早くからありがとうございました!

 

Text by 長田涼(@SsfRn

Photo by 矢野拓実(https://takumiyano.com

 

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「スタートアップのCEOこそ、朝5時に起きるべき。」渋谷発の朝活コミュニティ「朝渋」プロデューサー、井上皓史さん (HARES.jp)

 

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