今話題の月額会員制のコミュニティ、オンラインサロン。
「オンラインサロンって実際どうなの?」
「会社でもオンラインサロンでも、コミュニティってどう関われればいい?」
「コミュニティってどうすればうまく運営できるんだろう?」
と思っている人は多いのではないでしょうか。
誰もが他の人やコミュニティと関わっているからこそ抱える疑問ですよね。
2019年より新企画としてスタートした「コミュニティと語る朝渋」。記念すべき第1回目は、はあちゅうサロン主宰のはあちゅうさんをお招きし、はあちゅうさんからみるコミュニティについて、お話ししていただきました。
ゲスト紹介
はあちゅうさん(@ha_chu)
ブロガー・作家。1986年生まれ。最新刊はTwitterの裏アカウント小説「仮想人生」。
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ファシリテーターは、朝渋代表の5時こーじこと井上皓史(@kojijico)です。
クローズドの情報発信の場がほしくてオンラインサロンを始めた
はあちゅうさん:オンラインサロンですが、数で言えば1番立ち上げてきました。2012年にライフスタイルプロデューサーの村上萌ちゃんと「ちゅうもえサロン」を立ち上げたのが始まりです。
当時のトレンドはメルマガだったんですけど、会社員をしながら毎週1万字は書けないと思いました。それに素直に書きたいけれど、オープンな場所だと影響力がある分、書ける内容にも制約があったんです。だから、「表に書けないこと」をクローズドに発信する場が欲しかったんです。
そんなとき、ザ・スタートアップの梅木さんにオンラインサロンをオススメされて、ライフスタイルプロデューサーの村上萌ちゃんと始めました。彼女は成蹊大学のミスコンになった後、起業して自分を仕事にしたんですね。「なんでこの子は自分を仕事に出来ているんだろう?」って萌ちゃんの裏側を知りたいと思って、初めて会った日にオンラインサロンをやろうという話になりました。月額1000円で、クローズドな情報発信の場所として、外には書けないことを書いていきましたね。
ちゅうもえサロンは5年間やって、そこから巣立っていった人も多くいました。やりたいことがある人は勝手に育っていくんですけど、その能力に気づいていない人の方が多いんですよね。そんなときに誰かと出会うことで、自分のなかに眠っていたことが呼び起こされます。人は自分の近くにいる人から影響をもらうんです。コミュニティに参加する人って、自分で何かやりたいけどどうすればいいのかわからないって人が多いので、オンラインサロンではそういう人たちが繋がってお互いに刺激しあって、育っていくことが多くあります。
ちゅうつねサロンが、フリーへの転身のきっかけとなった
はあちゅうさん:私が当時働いていたトレンダーズ株式会社の社長 経沢香保子さんが辞められたあと、偶然カフェでお会いしたんです。それが堀江貴文さんがちょうどホリエモンサロンを始めた時期でした。彼がオンラインサロンを月額1万円に引き上げて、業界に衝撃を与えたんですね。
ホリエモンサロンは男性が多くて、大きいことしようみたいな雰囲気でした。一方、経沢さんは「女性がしなやかに起業する/日本で女性「経営者」を育てる」ということの発信をずっと続けています。そこで「身近なことから始めよう」というテーマで、ちゅうつねサロンを始めたんです。月額8900円で、月1で豪華ゲストを招いたり講演をしたり、毎週4000字程度の投稿を経沢さんと私がしたりしていました。
ちゅうつねサロンがきっかけで、私も会社を辞めてフリーになりました。半年間はサロンで収入が安定するから、その間、その収入をもとに、自分の夢にチャレンジしようと思ったんです。
「個人の才能に注目する」はあちゅうサロン
はあちゅうさん:初めて個人で長期でやったサロンが、2018年に立ち上げたはあちゅうサロンでした。そこで気づいたのが、オーナーがメンバーに助けてもらう活動もいいけど、私の活動にサロンのメンバーを巻き込めるのはプロモーションだけだということですね。キングコングの西野さんみたいにメンバーと本を書くのも面白いけど、私は、本は一人で書きたいんです。(笑)「自分が頑張る」というのが根本にあるので、「個人の才能に注目する」というサロンにしました。
はあちゅうサロンには3ヶ条があります。
- 「行動だけが人生を変える」
- 「5ギブで1テイク」
- 「人の才能に常に注目する」
この3ヶ条があったから、人のことを考える優しい人たちが集まりましたね。
「5ギブで1テイク」は、まず自分が貢献することという意味です。私はブログを10年書いて、Webの連載の仕事が決まりました。スキルチェック、スキルアップは自分が身を削ってやる部分なんですよ。最初、結果が出るのは1〜4年かかります。はあちゅうサロンはこの実績作りの期間に耐えられないメンバーが多くて、3,4ヶ月で離脱率が高くなりました。決断してから実績が出るまでには時間がかかるんですよね。だからこそ、決断して続けることが大切です。
コミュニティは新陳代謝が命
はあちゅうさん:個人が進むためには、「開く時期」と「閉じる時期」が必要なんです。「閉じる時期」は個人で実績を積み上げるときで、「開く時期」はそれを広げていくフェーズです。そこに出てくるのがコミュニティですね。自分で何かを見つけた人も、個人でやる「閉じる時期」が欲しいのでコミュニティをお休みする時期は来ます。そもそも、人間関係は自然と2,3年に一度アップデートされるものですしね。
はあちゅうサロンは女性が多かったんですが、女性が多いと定着率が悪くなります。女性の方がライフスタイルの変化が大きいのと、常に変化を求めているからです。はあちゅうサロンでも、半年くらい経ったとき、メンバーの疲れがみられました。燃え尽き症候群ですね。だから、コミュニティが疲労を起こさないためにも、新陳代謝が命なんです。
コミュニティが疲弊しているときは「目覚まし」が必要
はあちゅうさん:はあちゅうサロンでは、女性ならではのじとっとした人間関係で辞めていく人もいました。その後の削ぎ落とされたメンバーは、結束はかたいけれど、ともすれば内輪の集まりになってしまって、井の中の蛙になるんですよね。サロン内で活躍はしているけれどコミュニティ外に対しての自分の価値が曖昧な状態です。だからこそ、「目覚まし」が必要でした。
井上:2019年1月に、はあちゅうサロンは脱社畜サロンと電撃合併しましたが。
はあちゅう:思った以上にメンバーの拒否感がありました。1回拒否反応は出てくるけれど、それは目覚ましのようなショック療法です。「箕輪編集室では〇〇していて、はあちゅうサロンでは〇〇をしている人だ」って知られるように、その人の活躍が広がるときって他のコミュニティでも認知されるときなんですよね。だから、これからきっとさらに楽しくなるし、メンバーのためにもなると思ってます。金額は安くなって、見れるコンテンツも増えたので、きっとこれまでになかった考え方がインストール出来るとも思います。
「行動だけが人生を変える」ということもあって、はあちゅうサロンの1年目は週4回イベントがあったり行動が過密で、職業がオンラインサロンオーナーになってしまっていました。でも、オンラインサロンを本業にすると、尊敬されるオーナーにはならないんですよ。私は作家でいたいし、個人の活動の時間も必要でした。オンラインサロンとの距離が近すぎて、運営方法を変えないと私が消耗するなとも思いましたね。
だから2年目は体制を変えて、自分の活動をしつつオンラインサロンを楽しめるようにしようと思っていました。私の性格的にメンバーの暴走を止められなかったり、距離が近くなりすぎて自分も傷を負ったり、プレッシャーも大きかったんですけど、脱社畜サロンと合併したとき、「オーナーが3人だから、オンラインサロンのバリューは1人1000円の価値を与えればいい」って正田さんに言われたら、肩の身が降りましたね。
脱社畜サロンになったことで、いい意味でいろんな方向に向かってますし、刺激になっています。脱社畜サロンのなかでも、はあちゅうサロンのコミュニティは残っているんですよ。
質疑応答
ーーオンラインサロンやコミュニティを運営するとき、どうやって一歩目を踏み出したらいいんでしょうか。
はあちゅうさん:先ほどサロンを本業にすると尊敬されるサロンオーナーにはならないとお伝えしたように、オンラインサロンのオーナーになること自体を目標にしてはいけません。人と関わるなかで、やりたいことは見つかります。何か課題がある人が目の前にいて、それを解決してあげたいって思ったときの手段が「オンラインサロン」であれば、うまく向き合えるんですね。『たいえっとランド』っていうオンラインサロンは、そうやってはあちゅうサロンから独立しました。自分が肉体改造をして人生が変わったから、そのよさをはあちゅうサロンのモテ部の活動としてギブしていってた結果なんです。
ーーコミュニティの価格設定のコツはありますか?
はあちゅうさん:正解はないですね。オーナーの負担が少なくて、メンバーが優秀なのは高額のオンラインサロンです。入るときにそれなりの覚悟ができているので。月1000円のものだと、元が取れたかどうかが気になってしまうんですよね。安いものはクレームが多くなります。でもその分、いろんな層にリーチできます。キングコングの西野さんは、低価格でROM専を許可しているのがいい例ですね。プロジェクト型で高額のものもいいですよね。
「ビジネススクール」「講座」っていうと高くてもみんなハッピーそうなのに、「オンラインサロン」になるとなぜか低単価になります。ホリエモンさんのサロンでやっていることは、ビジネススクールとほとんど同じです。でもオンラインサロンだと「搾取」って言われがちですね。オンラインサロンだと、価格に対して何があるのかが気になってしまうんですね。形態の違うサービスを「オンラインサロン」ってひとくくりにしているのが、今のオンラインサロン業界の課題だと思っています。
ーーこれからのオンラインサロンをやろうと思っているのですが、立ち上げるにあたって何かアドバイスはありますか?
はあちゅうさん:これからもオンラインサロン業界の勢力図は変わらないと思います。オンラインサロンのブームは過ぎているとも思ってます。そもそもオンラインサロンを続けるのは難しいし、今から始めるのだと、何か一工夫ないと難しいですね。
ただ、情報収集のためにいろんなオンラインサロンに入るのはありですね。オンラインサロンにはサロン好きな人が多いので。オンラインサロンは「ちっちゃいコミュニティの集合体」なんです。オンラインサロンを立ち上げるので理想の道筋としては、大きいサロンの中で独立するのがやりやすいでしょうね。自分もなかにいるので、コミュニティの流れがみえてきますよ。
ーーはあちゅうサロンの方向性は決めていたんですか?
はあちゅうさん:1年ごとに方向性を決めるくらいで、がっちりとは決めませんでした。キングコングの西野さんみたいに、ディズニーを倒すって一貫したことをやるのもいいと思います。ただ、オーナー依存のオンラインサロンは、オーナーのライフスタイルに左右されるので、私の場合はゆるっと決めるくらいでした。コミュニティはあるべき姿に落ち着くんですよね。
ーーコミュニティの人数が増えたときに気をつけることはありますか?
はあちゅうさん:上まで報告が回ってこないことですね。はあちゅうサロンでは、タイムラグがありました。オーナーは、新入メンバーまで突っ込んで入っていけなかったりします。だからこそ、自分の意志を共有できて、信頼できる幹部メンバーが必要なんです。
ーー「人の才能に常に注目する」とありますが、どうやって人の才能に目を付けるんでしょうか?
はあちゅうさん:「才能」ってラベリングされていないんです。議論の中ですぱっと意見を言うとか、マネジメントがうまいとか、とにかく笑顔だとか。「人にはこういう才能がある」っていうのを自分で咀嚼するので、人へのリスペクトに繋がっていきます。だがらはあちゅうサロンでは「人の才能に注目する」というテーマで、人のバリエーションを認め合おうっていう環境を作りました。
オーナーもメンバーもそのコミュニティの「代表」である
井上:最後に一言、お願いします。
はあちゅうさん:オンラインサロンとかコミュニティって、ひとつの「社会」なんです。注目度の高いサロンのメンバーって、それだけでラベリングされます。所属が増えるということは、居場所が増えることですよね。実は、それと同時に責任も増えます。だから、オーナーであっても、メンバーであっても、誰もがそれを代表する立場だってことを心に止めてほしいですね。
「オンラインサロン」っていう形を選択した意義を自分のなかで咀嚼してみると、自分の存在意義がわかると思いますよ。
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最近は旦那さんのしみけんさんに合わせて夜型で、久しぶりに早起きしたというはあちゅうさん。朝から貴重なお話しありがとうございました!
Text by 鳥井美沙(@tony1021_)
Photo by 北澤太地(@taity_k)
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