「個」の時代と言われる昨今。

一見、「ひとりで生きていく」のが是とされるように聞こえますが、実際に必要とされているのは、ひとりで生き抜く術を身に付けることではなく、「個として、どうチームを作り、活用していくか」なのだと麻野耕司さんは言います。

今回は、そんな麻野耕司さんの著書、『THE TEAM』と朝渋がコラボし、5日間連続のイベントを決行しました。『THE TEAM』内で語られる「A・B・C・D・E」の良いチームを作るための5つの法則のなかで、第1弾のテーマとなるのは「Eの法則」

ゲストに『箕輪編集室』という強固なチームを持つ箕輪厚介さんを招き、これからのチームの在り方についてお話しいただきました。

<文=ゆぴ(17)>

【麻野 耕司(あさの・こうじ)】リンクアンドモチベーション取締役・ヴォーカーズ取締役副社長。慶應義塾大学卒業後、リンクアンドモチベーションに入社。中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング事業の執行役員に当時最年少で着任し、新規事業として国内初の組織開発クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げる。2018年10月にヴォーカーズ取締役副社長に就任。

【箕輪厚介(みのわ・こうすけ)】2010年双葉社に入社、ファッション雑誌の広告営業として4年間、タイアップや商品開発、イベントなどを企画運営、『ネオヒルズジャパン』与沢翼 創刊。2014年から編集部に異動し、2015年7月に幻冬舎に入社。 東洋経済オンライン、アドタイでコラムを執筆する他、オンラインサロン運営、堀江貴文大学校で特任教授など編集者の域を超え幅広く活躍中。

『THE TEAM』で世の中を”幸せ”にしたい

麻野さん
この本を書いた理由はただひとつ、「世の中をチームで幸せにする」ことです。

人の幸せはいろいろあるけれど、チームを通じて何かを成し遂げる喜び、人と繋がる喜びはかけがえのないものです。でも一方で、職場のひどい人間関係によって心を病んでしまうこともある。人間を幸せにするのも、不幸にするのもチームなんです。

そして、僕は「世界はチームでできている」と考えています。ビル、車、携帯電話などの今当たり前のようにあるものも、チームがなかったら生まれていなかったものですよね。世界は、チームが作ったと言っても過言ではない。
それくらい、チームというのは人間にとって重要なものであるにも関わらず、みんなチームをどうやって作るべきなのか、分かっていない。当たり前のことです、学校でも、企業でもそんなことは教えてこなかったですから。

また、これまで精神論や経験則で語られた「チーム論」はありましたが、この『THE TEAM』は極めて科学的なもので、再現性のあるものです。

僕が提唱する「チームの法則」には「A・B・C・D・E」の5つの法則があるのですが、今回は「E」の法則についてお話しします。

Eとは、”Engagement(共感・創造)”のことです。

これは、チームとメンバーとの「絆」を表しています。言い換えると、メンバーのチームに対する共感がチーム活動に参加する理由になっているんですね。昔は、チームに関わる理由が「給料」や「昇進」だったものが、今はそれに加えて「成長」や「やりがい」などになってきているんですよ。

それは、エンゲル係数、要するに支出に占める食費の割合が下がってきてることからも分かる通り、食うためにチームに所属する、というモチベーションではなくなっていることが影響しています。だから、頑張れば「給与」や「役職」で報いるということだけでは、人は動かなくなってきています。「金銭報酬」や「地位報酬」だけでなく、「感情報酬」をチームが生み出す必要があります。

これからのチームは「強制」ではなく「共感」で作る

麻野さん
昔は製造業中心だったので、商品を作るのが工場のような「ハード」がないと難しかった。しかし現在はサービス業中心の社会、つまりは「ソフト化」しているので、個人でも商品を作ることができますよね。

だから「個の時代」であることは間違いない。でも、一方で、人間は一人では大きなことを成し遂げることはできない。そんな「個の時代」において、個が立っているのが箕輪さんだと思っています。箕輪さんはチームについてはどう思っていますか?

箕輪さん
そうですね、僕もNewsPicksBooksを立ち上げてから最初の半年は1人でした。編集者も社内では連携しても結局は個人勝負ですからね。でも今は「チーム箕輪」で1000人のメンバーで連携して動いています。

昨日も財布なくしたってツイートしたらメンバーがお金50万円を届けに来てくれました。連携取れてるでしょ?

麻野さん
それ連携なの!?(笑)…でも、今回箕輪さんと一緒に本を作ってみて思いました。「箕輪さんはチームで本を作っているんだ」と。本作り専用のスレッドがあるんですけど、一声かけただけでワッと人が集まるんです。

箕輪さん
『みの編』は指示しなくてもいいのが特徴で、自分たちで勝手に動いてくれるんですよ。たとえば、麻野さんが大きなイベントをやることになっても、「みんな、よろしく!」と言うだけで動画は作られるし、記事化はされるし、言わなくてもサッカーのチームみたいにボールが動いたら陣営が変わる、というのができてるんです。

箕輪さん
でも、これを会社でできる自信はないですね。よほど部下との関係性がないと、普通は「やってください」とルール化して行動まで落とし込んで指示しないと自分からは動かないんじゃないかな。

それが、オンラインサロンだから「自分からコミットしよう」と決めている人たちだし、修正の依頼をしても愚痴を言わず変えてくれるんです。会社だと愚痴を言う人が多いじゃないですか。「ボールを持つな、パスをしろ!」って言ってるのに「なんでですか!」って(笑)。

麻野さん
「強制」ではなく「共感」で動いているからですよね。強制に慣れてしまうと言われたことしかやらないけど、「共感」で動くチームは自分で考えたことをやっていくから創造性と生産性が圧倒的に違うんですよね。

日本企業が今うまくいっていないのは、過去に作ってきた終身雇用や年功序列、退職金という「頑張って働いたら最後のほうに報われる」ってシステムのせいなんです。いわば相手の、他の会社で働くという選択肢を奪っている状態。

だから、共感で人をチームに惹きつけるのがとても苦手な会社が多い。また、そういったシステムは、右肩上がりの成長が約束されていた時代には成立しましたが、今は約束できないんですよね。

箕輪さん
一見貯金をしてくれているようで、成長を前提にあとから払いますよって言っているもんだよね。

麻野さん
でもそれってウソですからね。長く働いたら退職金などで報いる、という人の引き止め方が使えなくなってきているので、「共感」で人を惹きつけるやり方を学ばないといけない。

箕輪さん
多くのオンラインサロンの運営が難しいのはそこなんですよね。強制ができないから、「やりたい人」を募ることはできても、「やってください」とは言えない。

麻野さん
僕、本を出すときに「プロフィール写真が微妙」と言われて『みの編』の人に写真を撮ってもらったんですけど、それに対してフィーを払いたいと申し出たら「そういうんじゃねぇんだ」と言われて。だからこそ、この人たちに「やってよかった」って思ってもらえるように、Amazonで1位をとらなきゃ、と思いましたね。

箕輪さん
お金って楽じゃないですか。でも、お金で返すと脳が「強制脳」になるからサロンが淀むんですよ。だから、お金以外の何かで返すことが重要なんです。

麻野さん
僕も『みの編』と活動するようになってから、今まで以上に気持ちを込めて「ありがとう」を伝えるようになりました。でも、逆に会社の部下にはそういうことを十分にできてないなってハッとさせられる部分もありましたね。

古くからある大企業は変えることができるのか?

箕輪さん
ちなみに昔ながらの企業は変えられるんですかね?

麻野さん
どちらかと言うと「変わらないといけない状況」になってきていますね。たとえば、トヨタが自動車だけ作ればいいんじゃなくて、モビリティカンパニー、車×インターネットの会社になるとしたら、そこにAIやデータアナリストが入ってやらないといけない。そんなときに、昔ながらの会社だったらそういう若者が来てくれないですよね。

箕輪さん
なるほど。若者が必要だからそういう組織にしておかないといけないんですね。でもたしかに、最近では若者に強く言えないおじさんが増えてきたような気もします。

麻野さん
だから、豊田さんが「いつでも辞められるけど、いつまでもいてもらえるような会社じゃなきゃダメ」と言って組織に向き合ったりしているのはすごいんですよ。歴史のある会社が「共感」で人をチームに惹きつけられるように変われるかどうかは、めちゃくちゃ大事ですね。

モチベーションは4Pを明確化することで作られる

箕輪さん
良いチームといえば、麻野さんの「リンクアンドモチベーション」の社員たちのモチベーションは異常に高いんですけど、それはどうやって作っているんですか?

麻野さん
良いチームを作るために大切なのが「4P」というものがあります。

“Philosophy” 理念・方針
“Profession” 活動・成長
“People” 人材・風土
“Priviledge” 待遇・特権

ここでキモなのが、4Pを全部を高めるんじゃなくて、提供できるものとできないものを明確にするのが大切なんです。

箕輪さん
極端な話、「人間関係はギスギスしているけど、年収100億円もらえるよ〜」という感じですかね。

麻野さん
そう、そうするとズレがないんですよ! 採用のときに理念を語るでしょう? うちの場合は「モチベーションエンジニアリングで組織と個人を変えて社会をよくしていく」という「“Philosophy” 理念・方針」を提供しているから、たとえ『THE TEAM』を売ったところでうちの社員の営業成績には反映されなくても、「この本を読んだら世の中がよくなる」というPhilosophyに対する共感、モチベーションがあるから本を売ってくれる。

提供する”P”にハマってくれればみんな勝手にやるんです。

麻野さん
たとえば、会社選びのとき、Vorkersのクチコミスコアを参考にするのは良いことですが、あれはあくまで他人の意見じゃないですか。大事なのは情報に流されるんじゃなくて、自分が4Pのなかで大切にしているものを1つ明確にして、それを提供してもらえる場所で働くこと。そして、企業は何ができて何ができないのかを明確にする。それを両方やれば、世の中は絶対に良くなりますよね。

箕輪さん
なるほど。それでいうと、たとえば「サイバーエージェント」でいえば「“People” 人材・風土」ですよね。会社のや同僚の愚痴を一切言わない。藤田さんは組織づくりの点では図抜けていると思います。

「うちのメンバーであればうどん屋であっても成功させますよ」って言えるのは、仕事の魅力で束ねていないからなんですよね。だから、インターネット広告からスマホアプリに舵を切ったときも、全然辞めなかったんじゃないかな。

モチベーションは4Pを明確化することで作られる

麻野さん
数年前、僕たちのチームは崩壊寸前でした。業績は落ち続け、退職者は日に日に増え、僕は責任をとって辞めることまで考えました。でも、そこから「チームの法則」を使って既存事業の売上を10倍にし、新規事業を生み出して会社全体の株価を10倍にすることができました。

そして何より、チームで働くことが楽しくなった。だからこそ、「チームの法則」を世の中の人に届けて、チームの喜びを一人でも多くの人に味わってもらいたいんです。

『THE TEAM』は日本のチームを変えるために作りました。

「和をもって尊しとなす」という言葉があるように、この国は、チームワークを大事にしようという国です。でも、どうしても人と関わるなかで諦めてしまう。

僕は、この本でそういったものを変えたいし、人と人との違いを乗り越えて、高い成果を生み出すチームづくりのやり方を届けられたらなと思います。

〈文=ゆぴ(17)(@milkprincess17)〉

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