「僕は社畜時代を通して、ほとんどの仕事術を『量稽古』で身につけてきました」

20代のころ、孫正義さんのもとでYahoo! BB事業を立上げ中、月460時間労働に追われていたという須田仁之さん

とはいえ、『働き方改革』で労働時間が見直されつつある今、同じようなハードな経験を積むのはむずかしいですよね。

限られた時間のなかで、上の世代のような高いスキルをつけるにはどうしたらいいのか。

今回はファシリテーターにYahoo!アカデミア代表・『1分で話せ』の著者である、伊藤羊一さんを迎え、須田さんに現代の働き方のなかで私たちがチカラを身につけるコツをお話しいただきました。

〈文=ゆぴ(17)〉


【須田仁之 (すだ・きみゆき)】上場請負人。ITベンチャー界のお笑い担当。早稲田大学 商学部卒業後、イマジニアを経てソフトバンクグループ入社。スカパー経営企画、ブロードメディア社のIPOYahooBB事業立上げに従事。ソフトバンク退職後はアエリア、弁護士ドットコム、クラウドワークスのIPOに携わり、現在は40社以上のベンチャーでの顧問・取締役、社外役員として活躍する。


【伊藤羊一 (いとう・よういち)】ヤフー株式会社 Yahoo!アカデミア学長。株式会社ウェイウェイ代表取締役。東京大学経済学部卒業後、1990年に日本興業銀行入行、事業再生支援などに従事。2003年プラス株式会社に転じ、事業再編などを担当した後、2012年より同ヴァイスプレジデントとして事業全般を統括。 20154月にヤフー株式会社に転じ、次世代リーダー育成を行う。現在多くの大手企業やスタートアップ育成プログラムでメンター、アドバイザーを務める

「副業」で負荷をかけ、戦場経験を積む

伊藤さん:
須田さんを形作るうえでやはり大事なのが、Yahoo! BBで孫さんに従事されていた経験だったと思うんです。そこで得たものを聞いてもいいですか?

須田さん:
うーん、そんなにないんじゃないんですかね。

伊藤さん:
えぇ

須田さん:
だってそれは、戦争経験者に「何を得ましたか?」って言っているようなもんですよ。自分も必死だし、毎日バタバタと人が倒れるし、いわゆるサバイバル状態なんです。

伊藤さん:
冗談じゃなく、本当に人が倒れていったんですか? 睡眠時間は…!?

須田さん:
急に出社しなくなったりする人は多かったですね睡眠時間は毎日2時間くらいじゃないですかね。いや、夢のなかでも詰められているんで、実質寝てないかも(笑)。戦場では、寝たら死んじゃいますからね!!

孫さんがいろいろ勝手に決めて記者会見とかしちゃうので、締め切りがずっと続いている状態なんです。しかも、決まっているのは日付だけで、やったことのないことだらけだから、やり方もわからない。

伊藤さん:
当時はヤフーもGoogleもないし、検索できませんよね。
そのなかで仕事をしていくと、思考能力は減退するんですか? それとも加速するんですか?

須田さん:
減退はしませんでしたね。僕は幸い、Yahoo! BBに来る前にソフトバンクの子会社で社畜をやっていたので、ある程度ベースが鍛えられていたんです。経営企画・事業企画担当で、会議にたくさん出て、ヒアリングして、毎日パワーポイントを100枚作ってというような仕事をしていました。

そして、当時の上司がコンサルティングファームから来た人で、ロジックで人を詰めるタイプだったので、結果的にものすごく鍛えられたから、そんな過酷な環境でも耐えられたのかなと。

伊藤さん:
なるほど。今、僕はどうやったら須田さんみたいな人を育てられるかを考えているので、参考にしますね!

須田さん:
いや、ダメですよ!! 今はそんな時代じゃないですからね(笑)。

伊藤さん:
でも、適度に負荷をかけないと力つかないだろ、って思うんですよね。

たしかに、今はブラックがダメだ、むしろ働くのをやめよう、みたいな風潮ですけど、仕事をこなすチカラとかブレない心を得るためには、須田さんのような戦場経験も必要だと思うんです。

須田さん:
だったら、副業で戦場経験をするのがオススメです。そのうち仕事は17時くらいで終わるようになると思うので、副業を楽しみながら、自分に負荷をかけるのが良いと思います。

逆に、それを選択しないとゆるくなっちゃうんじゃないかな。

伊藤さん:
なるほど、それは現代らしい選択肢かもしれませんね。

須田さん:
本業がラクなのであれば、そこで弛緩するのではなく、別で探す。そうやっていきなり戦場に出ずに、筋トレをしておくことは後々役に立つとは思いますよ。

小賢しい人はプライドを捨て、70点を取ること

須田さん:
あとは働くうえで大事なのは、プライドを捨てることですね。特にスタートアップだと、小賢い人が100点を取ろうとして、残りの3点を取るためにもがいたりするとスピードで負けてしまいますそんなんじゃ永遠にスタートしないぞ、と思いますね。

伊藤さん:
孫さんも70点でいいって言ってましたね。

須田さん:
Yahoo! BB事業は2点ぐらいでスタートさせてた気がしますね(笑)。

伊藤さん:
プライドのせいかはわかりませんが、僕の場合は若かったころ、人と話すのが怖かったんですよ。今でこそプレゼンの授業なんかしていますが、当時は本当に苦手で。

プレゼンター的な人って、もともとコミュニケーション苦手だった人が多いってと思うんですよ。

伊藤さん:
面と向かって目を合わせるのが怖いから、意図的に目を合わせようとするうちに、できるようになる。喋り方もそうで、僕は、小泉進次郎さんの喋り方をYouTubeを観て練習したし、他にもホリケンさん、千原ジュニアさん、さんまさんを真似していました。

これは筋トレと同じで、恥を捨てて、そういうことをやっていくうちに、できるようになっていくものなんです。

須田さん:
やっぱり、プライドが高いと良いことがないですよね。だから、それを早めに削るに越したことはないと思います。

削ることで、できるようになることがありますからね。

「テキスト」と「リアル」を組み合わせたコミュニケーション

伊藤さん:
須田さんは、毎日さまざまな会社とやり取りをしていると思いますが、コミュニケーションで意識していることはありますか?

須田さん:
普段コミュニケーションを取る人って限られているじゃないですか。そのなかで大事なことはシンプルで、相手の価値観を理解することなんです。何をやったら満足するかをとにかく考えること。

要は、相手を分析するんですよ。コミュニケーションは受け手がこちらの言っていることを理解しないと始まりませんからね。フランス語がわからない人にフランス語を話してもしょうがないでしょ?(笑)

伊藤さん:
たしかに、相手が何語を喋れるのかを理解するのは大事ですね。プレゼンもそうで、何を言っているのかわからなかったらやる意味がないので(笑)。

他には、どんなことを意識されているんですか?

須田さん:
「テキスト」と「リアル」の組み合わせは大事かもしれませんね。今ってパソコンやスマホで何でも解決してしまうから、テキストコミュニケーションが多くなってしまうじゃないですか。そこに、リアルでの会議や飲み会、合宿などを組み合わせていくんです。

大体うまくいかないチームの原因って、コミュニケーション不足なんですよ。

でも、一度合宿をして、ひとつ屋根の下で過ごして、裸の付き合いをすれば、社長も社員も一気に仲良くなれます。

イマドキの考えではないかもしれませんが、チームの不仲に悩んでいるのなら、「とりあえず合宿行こうぜ!」とアドバイスしますね。

筋トレは、歯磨き。行動に結びつくことを毎日やる

伊藤さん:
チームでチカラをつけるのに僕がオススメしているのが「記事のシェア」なんです。職場でも副業でも、チームで11人が気になる記事を1つ、シェアし、残りの人がその記事に対してコメントをしてみてください。これを毎日繰り返すんです。

実際に自分が記事をアップするのは、20人チームだったら20日間のなか、たった1日だけど、コメントは毎日するし、他の人のコメントも読むようになるから、自然と毎日何かしらを考えるようになりますよね。そうすると、日常的に世の中の情報に触れていくクセがついていくんです。

筋トレは歯磨きなんですよ。

量や時間で測るだけではなく、毎日、歯磨きみたいに行動に結びつくことをやることで、だんだんと能力が上がってくるんです。

須田さん:
いいですね。皆さんに覚えておいてほしいのが、ここで得た情報はあくまで一元情報ということです。

自分なりに咀嚼して、落とし込むのが大事ですからね!

〈文=ゆぴ(17)(@milkprince) 写真=井手桂司(@kei4ide)〉

 

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