ロケットの打ち上げに成功した堀江さん、キングコングの西野さん、SHOWROOMの前田さん、DMMの亀山さん…。

新しい世界をつくっていこうとしている人たちに、共通する考え方は何なのか?

書籍『藤原和博の必ず食える1%の人になる方法』などの著者であり、新刊『僕たちは14歳までに何を学んだか 新時代の必須スキルの育み方』を発売した教育改革実践家の藤原和博さんに、彼ら4人の共通点と、これからの世の中に本当に身につけるべき力について教えていただきました。

〈文=ゆぴ(17)〉


【藤原 和博(ふじはら・かずひろ)】教育改革実践家。1955年東京生まれ。78年東京大学経済学部卒業後、株式会社リクルート入社。東京営業統括部長、新規事業担当部長などを歴任後、93年よりヨーロッパ駐在、96年同社フェローとなる。03年より5年間、都内では義務教育初の民間校長として杉並区立和田中学校校長を務める。16年から2年間奈良市立一条高校校長としてスマホを授業に活用。講演回数は1400回を超える人気講師。著書に『人生の教科書[よのなかのルール]』『人生の教科書[人間関係]』(ちくま文庫)『35歳の教科書』(幻冬舎)、『45歳の教科書』(PHP)、『坂の上の坂』(ポプラ社/ほぼ55歳の教科書に当たる)があり「人生の教科書作家」とも呼ばれる。公式ホームページ「よのなかnet」http://yononaka.net

新しい時代をつくる人の特徴は「ゲームメーカー」であること

藤原さん:
西野亮廣さん、堀江貴文さん、前田裕二さん、亀山敬司さん。彼らの人生はそれぞれ違いますが、そのなかでも共通点がいくつかあります。

それは、「ゲーマーからゲームメーカーへ」なっていることなんです。

ゲーマーで終わるということは、消費者で終わる、ということになります。誰かがプロデュースしているゲームに巻き込まれ、その世界観で遊ぶ。それが楽しいならそれで一生遊ぶという手もありますが、ちょっと味気ないとは思いませんか?

ゲームを仕掛ける、ルールを作る、あるいは世界観そのものを自分で作る。これが、「ゲームメーカー」です。

たとえば、キングコングの西野さんは貧乏だったので、自転車など、もらえるものは必ずお兄さんのお下がりだったそうです。でも、それをぜんぶ工夫して改造し、最終的には、バスの大きなハンドルをつけた自転車に乗っていたそうです。

ホリエモンも幼少期は運動が不得意で、ドッヂボールもいつも負けていたそうですが、そこからどうしたら勝てるかを考えて、ルール自体を変えてしまった。

つまり、この2人は、ただ単に遊んでいるだけではなく、ゲームメーカーへの視点を小さいころから持って育ってきているんです。

これが今、新しい時代をリードし、世界を変えていっている人たちの1つの特徴です。

ゲームを創るため、情報編集力を身につける

藤原さん:
そして、ゲーマーからゲームメーカー脳に持っていくのに大切なのが、情報処理力だけではなく、情報編集力を身につけていくことです。

情報処理力というのは、正解がある問題を速く正確に当てていく力。そして、情報編集力は、正解がない問題に対して、どうやってアプローチをしていくか、自分も他者も納得できる仮説である「納得解」というのを、頭をやわらかくして縦横無尽に紡げるか、という力です。

処理能力が速いだけでは、正解のない世の中を切り開いてはいけません。この、頭の回転の速さと頭のやわらかさのバランスが大事になってきます。

では、情報編集力というのは具体的には何なのか。

まず、1分間で世の中で一般的に「白」が常識とされている商品をできる限りあげてみてください。たとえば、ティッシュやマスクなどですね。これは知っていることだけを速く正確に当てる、ということなので、情報処理脳を使っているかと思います。

次に、今あげたものに「黒」を掛け算していきます。普段は白いものなのに、黒くしたらものすごく付加価値が上がるものが、そのなかに絶対にあるはずなので、それを探してみてください。たとえば、綿棒やマスクなど黒くしたことによって売れたものもありますよね?

情報編集力の鍵は「掛け算」なんです。

世の中の新商品開発というのはすべて、この流れで行われています。過去にあったものを全部上げ、思いきり小型化する、カラーを変える、安くする、といった掛け算を起こして、付加価値を与えているんです。

商品開発以外でも、移動中にできることもあります。たとえば、僕は電車のなかでパズドラをずっとやっている人は許せません(笑)。情報処理脳しか動いていないので、そのまま会社に行っても、情報処理をすることしかできませんよ。

それよりは、中吊りの広告をみて、「こんなことがあるのか」「次はこれが起こりそうだな」というようなイマジネーション・ゲームをやったほうがいい。寝ているような奴のほうがよっぽど見どころがあるかもしれませんね(笑)。

情報編集力を向上させるための自分プレゼン術とは?

藤原さん:
もうひとつ、情報編集力を向上させる「自分プレゼン術」というのがあります。

自己紹介をするとき、名刺を出したらアウトなんですよ。

自分の所属する組織でものを言わないで、いかに自分のキャラを切り出して相手の脳のなかに埋め込むか、というのが重要です。

名刺を出した瞬間、「この人はこの会社のこういう立場の人なんだ」と、相手が情報を処理してしまいます。そうではなく、相手の記憶に自分を残すためには、相手の頭のなかで情報を編集される必要がある。「掴む」というのはそういうことで、自分と相手の障壁を取り除き、敵だと思われないようにすることなんです。

人は、最初の15秒で敵か味方かを判断します。そのなかで、最初の出会いで敵だと思われたら弁解不可能なので、サッと掴むことが大切です。

たとえば、僕の場合は「どうも、教育界のさだまさしです」と言います。顔が著しく有名人に似ている、そんな「便利な顔」を持っている人は、それだけで資産になります。

次に、顔を使えない人は「名前」を使ってください。たとえば、「名前が難しい」「名前が読めない」人は、多少盛ってもいいので、そのいわれを物語調に言うだけでも掴めます。

そして、残りの人たちは、「起承転結」の「転」を意識して話すようにしてください。たとえば、「今朝来る途中に電車のドアに挟まれた」みたいなちょっとした失敗を言うのも高度な技です。相手がふっと笑っちゃうのが1番いいですね。

藤原さん:
ちょっと踏み込んだ話をすると、自己紹介をするなかで笑いが起きないこともあるじゃないですか。そういう自己紹介というのは、自分の頭のなかにある自己イメージを語り起こしているだけなので、プレゼンテーションではなくエクスプラネーションになってしまっているからなんです。

プレゼンというのは、相手の頭の中に映写室があって、何を映すのかを考えること。だから、相手が好ましく思っている世界のなかのいくつかの要素を組み合わせてプレゼンすると、相手は自分の考えを編集されることで納得感があるから、プレゼンが通るんです。

たとえば、ここにいる人が小学生だったら「さだまさし」のネタも受けないですよね。この人たちの頭の中にはどんな世界観があるのか、そういうのを想像して話すことで情報編集力が上がっていきますよ。

自分の希少性を上げるためのキャリア形成方法

藤原さん:
最後に、キャリア形成についての話をします。僕は、皆さんに自分の人事を自己決定する人になってほしい。そのためには、自分の希少性を上げていくことが重要です。

まず、ひとつのキャリアを形成するためには、どんなに加速しても1万時間(5年から10年)かかると思っています。最近では「ハック」という言葉を使って、「結論に行ってしまおう」という風潮がありますが、キャリアに関しては浅薄なことでは絶対に身につきません。

1つの仕事をマスターするのには1万時間かかると言われています。これは、世界中の義務教育の時間で、どんなに学力が低くても、手先が不器用でも関係なく、1万時間でその国の国民を作り出しているということになります。

そして、1万時間かければ、100人にひとりの人材になり、これを3回掛け合わせれば、オリンピックのメダリストと同じくらいの、100万分の1の希少性をゲットできるのです。

この、掛け合わせる3つのキャリアをホップ、ステップ、ジャンプと考えると、まず1歩目でキャリアの基礎を固めて、2歩目では経理をやった人が財務、広報が宣伝、と近い場所でキャリアを積む。そして重要なのが3歩目で、ここで大きくジャンプして、キャリアの面積を広げること。

近くに踏み出すのではなく、3歩目の掛け算の妙で、皆さんの付加価値がガツンッと上がるのでそういうキャリアの作り方をしてください。

藤原さん:
若い人は急いでキャリアを作ろうとしますよね。でも、たとえば夏目漱石が亡くなったのは49歳で、当時は40代で死ぬような人生だから15~20歳が成人で、30代に思いっきり仕事をしたらあとは余生、という考えもわかるんですが、今は100歳くらいまで生きるじゃないですか。

そんな早く成長しても疲れてしまうし、たとえ40歳でライフワークで出会ったとしても、あと50年もあるから、生き急ぐ必要なんてありません。

たしかに、キングコングの西野さんは貧乏でエロ本も買えなかったから、中学校のころから自分で絵を描いて自分で興奮するというのを徹底的にやり続け、結果的にタモリさんに見初められ、絵本作家になりました。

ホリエモンは、14歳で天才プログラマーだったし、落合さんも8歳からやっている。でも、そういう早い人たちは一度「天才」と棚上げして、それを真似して早くやろうとするのは損だと思います。

嫌われるのを承知で言いますが、僕を含め、ほとんどの人は中途半端なんです。

天才アーチストでもなければ、歌舞伎の家元に生まれたわけでもなく、両親がスポーツ選手なわけでもない。でも、そんな中途半端な人たちでも、3つの掛け算をやれば、オリンピックのメダリストにはなれないけれど、メダリスト級の人材にはなれる。そういうことなんです。

前人未到の場所のところは必ずあるから、3つのキャリアを掛け算したあなたオリジナルの旗を立ててください。

同質化する世界から逃れ、自分の時間割で生きる

藤原さん:
会社人間から会社内個人、そして組織人から組織内個人になるためには、自分の時間割で生きることが大切です。

会社を離れ、フリーになると、どの時間に何をするかを自己決定しないといけないじゃないですか。僕は時間があるときはひたすら本を読むし、2時間空いたらマッサージに行きます。

そして、自分の時間割で生きる、というのは、世界や、国力に左右されず、そこから分離して生きてやる、ということでもあります。

世の中全体を見たとき、「みんな一緒」の時代から「個人」の時代になってきているけれど、相対的にみると非常に似通ってきているんですよね。これは、第160回芥川賞受賞作の『 ニムロッド』という小説に象徴的に描かれているんですけど、「いいもの」というのは似てくるんです。なぜなら、真似するのが非常に容易になってきてるからです。たとえば、誰もが使っているスマホはぜんぶ似ているし、あのBMWですら世界の基準に合わせてツリ目になってきている。世界で通用させようとして汎用性を持たせると似てくる。

「ダイバーシティ」と言われているけれど、これから世界は同質化していくんです。

そのなかで自分をさらに同質化させる装置が、電車のなかでのゲームやパチンコ。だから、月に1冊でも個を鍛えるために本を読む人が救われる。

自分の希少性を確保し、自分の時間割を決めて、同質化せずに生きてください。

〈文=ゆぴ(17)(@milkprincess17写真=矢野拓実(https://takumiyano.com)〉

 

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