「人間は100年足らずで必ず死ぬし、どんな人でも自分の時間を2倍にできません。一番大切にすべきは時間です。現在、お金を稼ぐことより、やりたいことに自分の時間を費やすことを大切に考える人たちが増えてきています」

こう語るのは、新刊『労働2.0〜やりたいことして、食べていく〜』の著者であるオリエンタルラジオの中田敦彦さん

そして、近年オンラインサロンなどのコミュニティが熱を帯びてきていることも、この流れが背景にあると中田さんはいいます。

中田さん自身も『RADIO FISH』として音楽活動をしながら、アパレルブランド『幸福洗脳』を経営するなど、芸人の枠に縛られず、自分のやりたいことに時間を費やす生き方を選んでいます。そして、昨年末にオンラインサロン『PROGRESS』というコミュニティを立ち上げ、挑戦を共にする仲間を集めはじめました。

そんな中田さんが、コミュニティづくりを考える際に最も参考にしているのが、世界の宗教だそうです。

新刊の発売を記念して朝渋にゲストで登壇した中田さんは、宗教に学ぶ理由を熱弁しながら、持続するコミュニティにおいて考えるべきことを語ってくれました。

〈ライター:井手桂司〉


【中田敦彦(なかた・あつひこ)】2003年、相方の藤森慎吾と共にオリエンタルラジオ結成。2004年のM-1グランプリで 準決勝に進出し「武勇伝」ネタで一躍注目を浴びる。2014年に中田の実弟であるFISHBOYらとダンス&ボーカルユニットRADIO FISHを結成。2015年12月の配信限定シングル「PERFECT HUMAN」から火がつき、同曲が、2016年の「第49回日本 有線大賞・有線話題賞」「第58回日本レコード大賞・企画賞」を 受賞し、その年に「第67回NHK紅白歌合戦」に初出場を果たした。卓越したプレゼンテーションやコメンテーターとしての鋭い発言、RADIO FISHとしての音楽&ダンスパフォーマンス、アパレルブランド「幸福洗脳」の立ち上げなど、芸人の枠に収まらず多彩に活躍中。

これって、俺のやりたかった仕事なのだろうか…

中田さん:
時間は誰にとっても有限です。だから、意に反する仕事に人生の貴重な時間を長く費やしてしまうことは、本当にもったいないと僕は思います。

こういうことを発言すると、「お前はお笑い芸人として好きなことをやっているから、簡単にそういうことが言えるんだ!」と思うかもしれません。

でも、それは違います。なぜなら、お笑い芸人も、結構なサラリーマンなんです。

事務所に所属して、レギュラーの仕事を持つようになると、毎週毎週同じところに通うようになります。そして、スタジオでやることもほとんど一緒。VTRを見て、気の利いたコメントをする。そのコメントもその場の空気を読んで、その場に合わせた対応をしないといけない。本音を語るなんてもってのほか。全く自由ではないんです!

そんな日々を過ごすうちに、「あれ、これって俺のやりたかった仕事なのかなぁ…」と思うようになってきます。

でも、そうは言ってもレギュラーの仕事を自分から断るわけにもいきません。自分から断ると、「なんだ、アイツ偉そうだな…」となり、声がかからなくなる不安があります。更に仕事をとってきてくれた事務所との関係もあります。僕の所属する吉本興業なんて大きな組織だし、刃向かったら殺されるかもしれない。

中田さん:
じゃあ、どうやったら自分で自分の時間の使い方の選択ができるようになるのかと考えた時に辿り着いた結論が、自分でビジネスをすることでした。

お金を自分で生み出せるようになれば、使われるだけの立場から抜け出すことができる。音楽活動をしてみたり、アパレルブランドに挑戦したのもそのためです。リーンスタートアップのやり方で、少ない資金でまず試しに始めてみる。そこでお金を稼ぐやり方を学び、やりたいことをして食べていく生き方とは何かを見つけていっています。

そんな挑戦の中で僕が学んだことを、今回の新刊『労働2.0〜やりたいことして、食べていく〜』に書き連ねました。

いかに稼ぐかより、何に時間を投資するかの方が大事

中田さん:
本の副題で「やりたいことして、食べていく」と書いてありますが、これは一見スゴいことのように見えて、実はとても簡単です。

やりたいことをして年収一億稼ぐだったら、すごく難しい。でも、食べていくだったら、どうにでもなる。コンビニで、安くて美味しくて健康にも良い食べ物が手に入る時代です。ある程度、お金を稼ぐ知識を持てば、食うには困りません。

また「お金がないとやりたいことができない」と言う人もいますが、それはお金の洗脳を受けています。本当に大切なのは時間で、お金があっても時間がないとできないことの方が山ほどあります。

どんなに天才的なビジネスマンでも自分の人生の時間を倍に増やすことはできない。誰でも、100年ほどで寿命を迎えます。1年が1枚のコインだとしたら、僕ら全員に100枚のコインが手元に配られて、人生とはそのコインを何に使うかというゲームなのだと思います。

そう考えると、お金をいかに稼ぐかより、自分の持っている時間というコインを自分が価値を感じることにいかに投資できるかにフォーカスを当てて考えた方がいい。

中田さん:
そのため、食うには困らない程度のお金を稼いだら、稼ぐことは一旦置いておいて、「自分の時間を何に費やすと自分の人生が楽しくなるか」、「自分が本当にやりたいことはなんだろう?」という、自分の生き方を考えることが大切なんだと僕は思います。

そして、現在はこういう価値観の人が増えていて、オンラインサロンが隆盛なのも、この流れが根底にあるからだと思います。

お金を払ってでも、文化の高いところで、自分の考えについて語り合いたいし、仲間を見つけたい。サロンって、元々はギリシャ時代の貴族のカルチャーなんですよね。サロンは貴族同士で交流する場だったんです。

そして、「自分は何のために生きるのか?」ということを考えるにおいて、宗教と哲学ほど参考になるものはありません。この問いに答えるのが、宗教と哲学だからです。

だから、最近の僕は、ずっと宗教と哲学について勉強しています。特に宗教って、調べだすと、めちゃくちゃ面白いんです!

そして、宗教について学びだすと、コミュニティづくりにおいて大切なことも同時に見えてきました!

日本人が信じている宗教とは?

中田さん:
世界には、色々な宗教があるじゃないですか。キリスト教、イスラム教、ヒンドゥー教、仏教、ユダヤ教。

日本の宗教って、何だかわかりますか? 日本人全員が信仰している宗教があるんですよ!

日本人がみんな信仰しているのは、信仰していることを感じさせない特殊能力を持った宗教なんです。それが、神道なんですよ。神道って、超面白いんですよ!!

宗教って、死をどう定義しているかで、違いがわかります。

仏教だと、死ぬと生まれ変わるという世界観です。でも、僕らはそうではないですよね? 「おばあちゃん、生まれ変わって、今何をやっているんだろうね」とか言わないじゃないですか。

また、キリスト教は絶対に火葬しません。全員土葬です。なぜなら、この世の終わりにキリストが復活して、神を信じるものは天界に、信じないものは地獄にいくという教義だからです。要は、自分の肉体を土に埋めて保存しているんです。天界にいくのを待っている。

でも、僕らは、人が亡くなると、その人が天国から見守ってくれていると言いませんか? これが神道の考え方なんです。死ぬと肉体が滅びて、霊魂みたいなものが浮遊して、見守る側に入る。この考え方が日本人には染み付いています。

中田さん:
だけど、不思議なのは葬儀には仏教のお坊さんを呼んだり、結婚式はキリスト教風だったり、儀式の面で他宗教を認めているんです。他の宗教のプラットフォームを借りている。それなのに、根本の思想は神道を揺るがせないんですよね。これはスゴイ!

だから、僕もコミュニティのことを考えると、色んなところの良い要素を取り入れるゆるさを持ちながら、根本のところでは共通の思想を共有できるコミュニティがつくれないかなぁと考えていたりします。

実態をあえて隠したほうが長続きをする?

中田さん:
また、神道の最大の面白いところは、何を崇めているかなんですよ。

キリスト教は新約聖書がバイブルでキリストが神の子であると説いています。ユダヤ教は旧約聖書がバイブルでユダヤ人が神の子であると説いている。

神道のバイブルは古事記なんです。天照大御神が出てくるアレです。この天照大御神の子孫が神武天皇なんです。つまりキリスト教でいうところの神の子のキリストが天皇にあたります。だから、皇室のことを昔から崇めているんですね。

日本は神道という国教を持っていて、天皇を王と崇める国なんだけど、王国とは言わないでしょ。これがめっちゃ上手いんですよ!王国と言わない王国というのが、実に上手い!海外にも王室はありますけど、日本ほど長く続いている王室はない。これは、凄まじいことだと思います。

でも、みんな日本のバイブルが古事記だなんてわからないじゃないですか。伊勢神宮のような場所にいってもご本尊は隠されていたり、実態がわからないように上手く隠されている。

この実態を隠すということが、僕は大事なんじゃないかと思いました。実態が見えていると、何かあった時に叩かれてしまう。影で支えるくらいがちょうど良い。

だから僕も、オンラインサロンやアパレルブランドがある程度軌道にのったら、姿を隠した方が良いのかなと考えています。

「かつて、中田という人がいたらしいよ」「中田という人が、こんなことを言っていたらしいよ」みたいな(笑)。

また、宗教って広がる時は教祖ではなくて、別に伝道者がいるんですよね。キリスト教であれば、聖人ペテロという人がキリスト教を多くの人に広めたわけです。

こういったペテロのような人が現れてくれるのを僕は待っていますし、僕はそういう伝道師を育てていかないといけないと思っています。

このように、宗教を学ぶと、持続するコミュニティにとって大切なことの示唆を沢山得ることができます。

「自分は何のために生きるのか?」という問いへのヒントも、見つけることができると思うので、興味を持った人は宗教を学んでみてはいかがでしょうか?

ちなみに、僕のYoutubeチャンネル『中田敦彦のYouTube大学』では、宗教について学べる動画もアップしているので、よかったらご覧ください!

また、僕が主催しているオンラインサロン『PROGRESS』では、みんなで教会やモスクを見に行く企画なんかもやっています。是非、僕と遊んでください(笑)。今日は、ありがとうございました!

〈文=井手桂司(@kei4ide) 写真=矢野拓実(@takumiYANO_)〉

 

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