SNSは、もはやブランディングにおいて欠かせることのできない存在になりました。

個人も法人も、いかに自分のフォロワーを増やし、知名度を上げてファンをつくるかに、躍起になっているように見えます。

しかし、若い女性を中心に人気を集める「モテクリエイター」のゆうこすさんは、著書『共感SNS』のなかで、フォロワーを増やすことだけに気を取られてしまってはいけないと言います。

「一番大切なのは、自分のやりたいことは何かを考え、どういう風に周りから応援して欲しいのかを想像しながら、思い入れをもって発信し続けることです」

ゆうこすさんが考えるSNSで発信することの「本当の価値」とは、何なんでしょうか?

朝渋では、『共感SNS』の発売を記念して、ゲストにゆうこすさん同様、経営者であり個人のインフルエンサーでもあるハヤカワ五味さんをお呼びして、「SNSでの発信」をテーマにおふたりに語っていただきました。モデレーターは朝渋メンバーの久保が努めます。

<ライター:北村有 / 編集:井手桂司


(写真中央)【菅本裕子(すがもと・ゆうこ)】「ゆうこす」という愛称で親しまれる、YouTuber・モデル・タレント・起業家。HKT48卒業後しばらくニート生活を送るも、「モテクリエイター」として自己ブランディングを開始。ライブ配信で洋服などを販売するライブコマースでは、配信中に完売続出も。このたび、SNSをつかってやりたいことを叶えるブランディング術を詰めこんだ「共感SNS」を出版。

(写真右)【ハヤカワ五味(はやかわ・ごみ)】17歳の頃から「現役女子高生デザイナー」として活躍。「キリトリ線タイツ」がヒットとなり、その後も「feast」をはじめ、細身向けワンピースブランド「Double Chaca」など、課題解決型をモットーにさまざまなアプローチを展開している。TwitterやYouTubeなどのSNS発信も精力的。

(写真左)【久保帆奈美(くぼ・ほなみ)】株式会社Morning Laboプロデューサー。「かわいい」「ときめき」をキーワードに、触れるだけで笑顔になれる体験設計をプロデュース。noteにて若者の今をリアルに伝えるメディア「ワカモノのトリセツ」を運営し、現在フォロワーが27,000人にのぼる。

 

共通点は多けれど、キャラクターは全く違うふたり

久保:
今日は、ゲストとしてハヤカワ五味さんにお越しいただいています。ゆうこすさん直々の指名と聞いていますが、その理由を聞かせていただけますか?

ゆうこすさん:
五味ちゃんとは、SNSで積極的に発信をしていて、自分でブランドを立ち上げている同世代ということで、お互いにすごく共通点が多いんですよね。

でも、キャラクターは全然違う。私はぶりっ子な感じのキャラですけど、五味ちゃんはすごくクール。このコントラストが面白いんじゃないかと思ったんです(笑)。

ハヤカワさん:
そうですね。SNSを活用しているとか、共通する部分も多いんですけど、アプローチとして正反対な部分も結構ありますね。

久保:
ゆうこすさんから見て、ハヤカワさんのスゴいと思うところは、どんな点ですか?

ゆうこすさん:
五味ちゃんは、自分の感情をきちんとコントロールするのが上手いように見えます。

私は喜怒哀楽がどんどん外に出ちゃうんですよ。ファンのみんなと自分の感情を共有することを普段からやっているからなのか、辛い時に「今、めっちゃ大変だよ〜」とすぐに言葉にしてしまうんです。

ハヤカワさん:
私の場合は、経営者という立場上、相手を混乱させないように感情をあえて出さないようにしています。感情って、結構ミスリードされやすいんですよね。私はAということについて伝えたいのに、相手が勝手に深読みしてBだと解釈してしまう。

だから、きちんと自分の意思を伝えるために、言葉や文章を磨くようになりました。感情をそのまま発露するのでなく、自分の意思を伝えるのにふさわしい言葉や文章で相手に伝える。文章でも相手にエモーショナルに伝えることはできるので。

久保:
『共感SNS』の中で、失敗やトラブルをファンと共有することの大切さが書かれていますが、ハヤカワさんは失敗の発信は意識していますか?

ハヤカワさん:
場合によりますが、どちらかというと、失敗はあまり表には出さないタイプかもしれません。なぜかというと、事業を始める時に出資を募る必要があるので、成功している風に見えた方が、お金が集めやすいんですよ。

インフルエンサーの立ち回りというより、経営者としての立ち回りとして、そうした方が良いという判断をしていますね。

でも、公(おおやけ)に何かをやるとか、大勢の人を巻き込んで何かをやる際には、失敗や悩んでいることを共有し、仲間を増やしていっているように思います。

肩書き一つで、捉えられ方に違いが生まれる

久保:
『共感SNS』で、唯一無二の肩書きを持つことの大切さが書かれています。お二人は、ご自身の肩書きは、どのような意図でつくられたのですか?

ハヤカワさん:
私は「キュ~トでクレバ~な経営者」というのをTwitterのプロフィールの冒頭につけていますが、「ハヤカワ五味って、クレバーな経営者だよね」という印象を広めたくて、あえて自ら名乗りました

経営者として周りから見られた時に、「若くて可愛いらしい経営者」という風に認識されてしまってはダメで、「仕事ができそう」とか「賢そう」というイメージを相手に持ってもらいたかったんです。実際に、SNSでエゴサーチをすると、ハヤカワ五味を語る時にクレバーという単語が結構な割合で登場しているんですよ。

どういう風に自分を認識さえたいのかを考えた上で、自分を表すキャッチコピーを考えるのはすごく大事ですね。ゆうこすさんの肩書きの「モテクリエイター」は、その最たる例です。その言葉がないと「なんだかブリっ子な人だな」と思ってしまうかもしれないですけど、その言葉があると「さすがモテクリエイター」と認識が変わる。

肩書き一つで、自分に対する褒められ方というか、捉えられ方の違いが生まれると思いますね。

久保:
ゆうこすさんは、「モテクリエイター」という肩書きに加えて、「ダサい界のトップになる」という裏テーマを決めて発信していると『共感SNS』に書かれていたのですが、これはどういった意図なのでしょうか?

ゆうこすさん:
これは表現だけとると、誤解を生みそうなので、ちゃんと説明させて頂きますね(笑)。

私が、Instagramを始めようと思った時に、どういう人がInstagram上で人気なのかを調べてみると、みんなからの「憧れ」の的として振舞っている人が多かったんですね。そして、話を聞いていくと、ブランドものの服やアイテムをレンタルして、写真を撮って、返却するみたいなことが多かったんです。少し、無理しているというか。

でも、私はどんな仕事をするにしても、どんなブランドを立ち上げるにしても、「ゆうこすを参考にしたい」とか、「ゆうこすのマネをしたい」と思ってくれる仲間がいる状態で始めた方が、うまくことが運ぶと思っています。だから、「自分の手が届かない憧れ」ではなく「マネができる憧れ」をテーマに発信しようと決めました。

だから、本には、「ダサい界のトップ」と書いてしまいましたが、決してダサいわけではないんですよ(笑)。

ハヤカワさん:
すごく大事な話ですよね。インフルエンサーに憧れる人には、遠巻きに眺めていたいタイプの人と、相手がやっていることを自分も試してみたいタイプの人がいて、ゆうこすさんのファンは後者の人が割合としては多いんでしょうね。

だから、ゆうこすさんの発信は、ファンの方々の行動にまで影響を与えることができる。「 #ゆうこす現象」が起こるのも、そういう理由からきていると思います。

この発信が誰かを傷つけることはないかを想像する

久保:
『共感SNS』は、「丸く尖る発信で仕事を創る」という副題がついています。この「丸く尖る発信」の意味を教えてもらえますか?

ゆうこすさん:
私もかつては、誰かを攻撃するようなツイートや、わざと炎上を狙ったツイートで「いいね」を稼いでいた時期があります。ですが、そういった発信は一切やめました。

誰かを傷つけたり、誰かを責めたりすると、必ず同じように攻撃的なコメントが返ってきます。そうやって注目を集めていると、攻撃的なフォロワーさんだけが残るので、後々自分も辛くなるんですよね。

だから、私は発信をする時は、いろんな立場の人たちを想像して、この発信が誰かを傷つけることはないかとすごく考えるようにしています

バカみたいな例ですが、私が福岡でアイドルをやっている時に、福岡から台風が去ったので、「福岡のみんな、台風が去って良かったね!」とツイートをした時に、マネージャーからすごく怒られました。福岡を去った台風は、近畿に上陸して暴威をふるっていたんですね。近畿に住む人たちのことを全く考えられてなかった。

誰も傷つけない。誰も挑発しない。けれど、タイムラインに埋もれるような内容ではなくファンの人たちにとって価値のある尖りもちゃんとある。これが「丸く尖る」ということです。

そのためには、普段の生活から、色んな人の気持ちを考えて行動することが重要なのかなと思っています

久保:
様々な立場の人のことを考えて発信するのは大切ですよね。おふたりは、個人のアカウントだけでなく、ブランドのアカウントでの発信もやっていますが、その考え方は同じですか?

ハヤカワさん:
ブランドのアカウントでは、ブランドとしての「思想」は伝えるけど、「意見」は言わないようにしています

最近、私がTwitterで嫌だなと感じているのが、意見を発信すると、それを勝手に解釈して、私が誰かを批判していると受け取られてしまうことなんですよね。例えば、フェミニズムを支持するような発言をすると、私が男性を否定しているように受け取ってしまう人が結構な数でいるんです。

ブランドとしての思想は語っていくべきだと思うので発信しますけど、意見に関しては一切言いません。個人のアカウントは、ブランドと切り離せていると思うので、そちらでは意見をたまに言いますけどね。

ゆうこすさん :
この間、五味ちゃんがLGBTの問題についての意見を発信していた時、私はあまりそういうことに詳しくないので、最初は内容を全然理解できませんでした。正直、少し怖いとすら感じてしまった。

でも、そのちょっと後に、noteでLGBTに関する記事をアップしてくれて、そこでの文章はすごく柔らかくて、写真も掲載されていたので、五味ちゃんが言っている問題の意味がわかったんですよね。

こういう風に自分の意見を丁寧に伝えるというのも、丸く尖った発信だなと感じました。

経営者として意識していることは何か?

久保:
おふたりは、経営者として自社ブランドのプロデューサーの活動をされていますが、ブランドを広げていくなかで、特に意識していることはありますか?

ハヤカワさん:
私の場合、ブランド立ち上げからのタイムラインに合わせて、どのタイミングで自分の存在をブランドから切り離すかを結構考えています。

例えば、5年前に立ち上げた『feast(フィースト)』という女性用下着のブランドをやっていますが、feastの店舗に私が立っていても、今はお客さんのほとんどは私に気づかないんです。おそらく、feastのお客さんの8割くらいは、私のことを知らないと思います。

ブランドの立ち上げ当初は、ハヤカワ五味からブランドへの流入が多かったので、9割以上のお客さんは私のことを知っていましたし、店舗に行くと騒ぎになるような状態でした。でも、それだと長くは続かないと思ったんです。この後に、私が新しい事業の立ち上げなどで、違うところにパワーを注ぐ時にブランドとして成り立たなくなってしまうと。

そのため、3年前くらいから意図的にブランドから私を抜くようにシフトしました

一方で、現在はじめたばかりの生理用品のセレクトショップを展開する『illuminate(イルミネート)』という新プロジェクトは、まずは私の名前で発信した方が注目が集まりやすいのでそうしています。ただ、これもどこかのタイミングでシフトするのかなと思いますね。

久保:
なるほど。ブランドとしての持続性を考えると、インフルエンサーブランドからインフルエンサーの名前をあえて外すということが大切なんですね。ゆうこすさんは、いかがですか?

ゆうこすさん
私もスキンケアブランドの『youange(ユアンジュ)』をやっていますが、今、五味ちゃんが言っていたことが次の課題ですね。ゆうこすが抜けても、ブランドとして持続していくために何が必要なのかは、これから考えていくべきことだなぁと思いました。

ただ、私の場合、波乱万丈な経歴の中で、経営者としてやっいくと決めたのは、かなり最近なんですよ。

今でこそ、ブランドを立ち上げたり、インフルエンサーの育成みたいなことをやっていますけど、会社を立ち上げた理由は、仕事が増えるにつれて自分の収入を管理しないといけないとか、そんな理由なんですよね。

だから、経営者として確固たるビジョンのようなものはないんですけど、とにかく私がお世話になった人たちに恩返しもしたいし、これからも愛される存在になりたいです。

私は、本当にいろんな人に助けられているんですよ。助けられて、教えてもらいながら、なんとかやっているという状況なんです。なので、私のことを面白いと言ってくれる方々に対して、私が培った知見や経験を語っていき、いつまでも愛される経営者でありたいと思っています。

周りから応援される存在に成長するためにSNSを使う

久保:
では、『共感SNS』のイベントの最後に、ゆうこすさんからSNSで発信することについて、メッセージをもらえますか?

ゆうこすさん
今回、『共感SNS』という本を書いていて思ったんですが、SNSで発信をすることは、どんな自分になりたいのかを考えることなんですよね。

今って、SNSのフォロワーを増やすテクニックみたいな記事がたくさんあったりするじゃないですか。「1ヶ月でTwitterのフォロワーを1000人増やすテクニック」みたいな。

でも、一番大事なのは、そういうテクニックではなくて、自分のやりたいことは何かを考え、どういう風に周りから応援して欲しいのかを想像しながら、思い入れを持って発信することなんだと思います。

単にフォロワー数を増やすことを目的にするのではなく、自分が周りから応援される存在に成長するためにSNSを使ってもらえたら嬉しいです。

また、SNSで発信する時には、ひとつのメディアだけだと、視野が狭くなってしまうので、Twitter、instagram、note、Youtubeなど複数のメディアで発信を試してみるのが大事だと私は思います。

とにかく、まずは発信してみましょう!

生配信とか、はじめは緊張すると思うんですけど、是非やってみて欲しいです。やってみると楽しいと思えることがSNSにはたくさんあります。

私はSNSが本当に大好きだし、SNSを楽しんでくれる人が増えたら、本当に嬉しいと思っています。

Text by 北村有(@yuu_uu_
Edit by 井手桂司(@kei4ide_
Photo by 矢野 拓実(https://takumiyano.com

 

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