商品やサービスのファンを募ってコミュニティを形成し、そのコミュニティを通じて顧客を拡大する「コミュニティマーケティング」。

今回、朝渋では『ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング』の著者でコミュニティの立ち上げと設計のプロである小島英揮さん(以下、小島さん)にお越しいただきました。

小島さんは「コミュニティーマーケティングとは何か?」を入口に、「理解する」、「自分ごと化する」、「実践する」の3ステップをわかりやすく解説。マーケター必見のイベントとなりました!

〈文=須崎 千春(@chih_suz)、写真=Rie(@rie_cco_desu)〉

【小島 英揮(おじま・ひでき)】Still Day One 合同会社 代表社員/パラレルマーケター。明治大学卒業後、PFU、アドビシステムズ等でマーケティング業務に従事。2009年から2016年まで、AWS(アマゾン ウェブ サービス)で日本のマーケティングを統括。その間、日本最大のクラウドユーザーコミュニティ JAWS-UGの設計、立ち上げに携わる。2016年にコミュニティマーケティングへのニーズの高まりを受け、コミュニティマーケティングのためのコミュニティ = CMC_Meetup を立ち上げる一方、2017年より決済(Stripe)、AI (ABEJA)、コラボレーションツール(ヌーラボ)など国内外の複数のスタートアップで、マーケティング、エバンジェリスト業務を「中のヒト」としてパラレルに推進中。著書に「ビジネスも人生もグロースさせる コミュニティマーケティング」がある。

▼本イベントスポンサー企業
Yappli( http://yapp.li/
今回の「著者と語る朝渋」は、ヤプリがスポンサードさせていただきます。ヤプリも注目している「コミュニティマーケティング」を参加者の皆様と学べたらと思っています。皆様のご参加お持ちしております。

「ヤプリ」とは?
モバイルテクノロジーで企業の課題解決を支援するクラウド型のアプリ開発プラットフォームです。アプリの開発・運用・分析をワンストップで提供し、専門チームによるサポートでアプリの成功確率を高めます。導入企業は300社を超え、店舗やECの販促支援、社内やBtoBでの利用、メディアや学校法人まで幅広い業界の課題解決に活用されています。

 

 

Whoから始まるコミュニティマーケティングとは?

小島さん
まず、コミュニティには「関心軸コミュニティ」と「地域軸コミュニティ」があります。地域軸とは「住んでいるから」という条件で、自動的にコミュニティに入れられてしまうモデルです。

一方で関心軸コミュニティは、朝渋や企業のミートアップのような会のこと。わざわざ自分が望んで参加しているので、帰属意識が非常に高いです。

どちらかというと、参加者が自主的に輪に入っていき、「面白いからおいでよ」と人を呼べるようなオープンな仕組みがある関心軸コミュニティを創りたい人には、今回僕がお伝えするコミュニティマーケティングのお話は役立つはずです。

小島さん
そしてマーケティングには色々な表現がありますが、僕の中では「マーケティング」の定義ははっきりしています。マーケティングは「いろんな人に行動してもらうこと」がゴールなんです。認知ではなく、買ったり、使ったり、良い評価してもらうこと。行動がないと、マーケティングの意味がないと思っています。

この前提で、僕が考える「行動を起こしてもらうための3つの要素」があります。これは「Who(誰に)、What(何を)、How(どう伝えるか)」です。

まず注意すべき点は、最初にHowから考えてしまうと、なんちゃってマーケティングになってしまうということ。ふわっとしたものを伝えると、あんまり効果が出ないことが多いですね。

コミュニティマーケティングは必ず「Who」から始まるんですよ。商品やサービスを使う人、そしてそれを「良い」と言う人がいるからこそ、必然的にWhoから始まるんです。

そして、広がっていくメッセージは、商品やサービスを使っている人が自発的に「これは良い商品だ!」「この場所にはきた方がいいよ!」とリアルな声を出すので、メッセージとなる「What(何を伝えるか)」が決まります。

このように、コミュニティマーケティングをしていると、自然に「Who、What、How」の順で要素が整理されて事が進むはずです。そこから使っている人が「あれ良かったよ」「これおすすめだよ」とおすすめし始めると、またその後ろに繋がりのある人たちにも広がっていく。どんどん「スケール」するんです。

この、コミュニティを通じて物事をスケールさせることを「Sell through the Community(セルスルーザコミュニティ) 」と呼んでいますし、これができないとコミュニティマーケティングになっていないと判断しています。コミュニティの参加者が「誰かに紹介したい!」と思ってもらえて、初めてマーケティングとしてスケールする施策になっていくんです。

 

「原則・顧客・方向性」拡がるコミュニティの作り方

小島さん
次に「拡がるコミュニティの作り方」のお話をします。まず、皆さんに覚えていただきたいのはこの3つです。

①原則(3つのファースト)
②顧客(3つのレイヤー)
③方向性(3つの成長軸)

まずは原則の3つのファーストである「コンテキストファースト」「オフラインファースト」「アウトプットファースト」から説明しますね。

コンテキストファーストは「ネームバリューなどで人を集めるべきではないよ」という意味になります。私はこういう考えを持っている、これができるなどの「関心ごと」で人を集めようという意味です。実はそうしないとなかなか継続できず、どこかで破綻してしまうんですね。

そして、集まった人たちみんなの熱量が伝わらないと成長維持にならないので「オフラインからのスタート」を僕はおすすめします。

ものすごく有能なマーケターやコミュニティマネージャーであればオンラインだけで熱狂的なコミュニティを作れるかもしれませんが、多くの人にとってこれは難しいチャレンジなんですよね。

あとは、オフラインだと同じ空間の熱気を感じるので、その熱が伝染しやすいんですよ。なのでオフラインからスタートするのは非常に有効です。そして、その場だけで終わらせないために、参加者に感想やコメントをツイートしてもらうなど、「アウトプット」をちゃんと促すことが大事です。

つまり、この3条件が揃っていないと、なかなかコミュニティが成長しません。

・コンテキストがちゃんと設定できていますか?
・オフラインからスタートしていますか?
・参加した皆さんがアウトプットをしていますか?

小島さん
そしてそこから、どんな人と一緒にコミュニティを作っていくといいのか、「顧客(レイヤー)」の話になります。

まずは「リーダー」ですね。これは「このサービスいいよ!みんな使ったほうがいいよ!」と、初期段階からどんどん周りに言って動いてくれる人のことです。

そして、それを見て、「もっとみんな使った方がいいんんじゃない?」とリーダーをフォローする「行動ができる人」が出てきます。最後は、「ワナビーズ」と呼ばれる「なにそれ?いいものなの?」と、ちょっと肯定はするけどなかなか行動はしない人たち。一般的にコミュニティ参加者の8割がこのワナビーズなタイプになります。

なので、ワナビーズ以外の2割をまずは動かすことが大事なんですよ。ワナビーズの人たちは盛り上がってくると放っておいても後から参加してくれるので、最初はワナビーズの人に向けた活動をあまり考えなくても大丈夫なんです。スタートするときは、リーダーとフォロワーを巻き込んでちゃんとムーブメントを起こすこと。

このように、最初から「全員を相手にしない」ことがマーケティングの鉄則となります。8割のワナビーズに目がいきがちですが、そうではなくて2割の初期に走ってくれる人をまずは大事にしていくことですね。

そして最後に、コミュニティを大きくするためにはどうしたらいいのか。3つの成長軸についてお話します。

小島さん
コミュニティの成長には、3つの軸があります。それが「自走化(X軸)」「地方展開(Y軸)」「株分け(Z軸)」ですね。

まずは「コミュニティを運営する担当者の活動量の限界=コミュニティの成長の限界」になってしまうので、担当者が少なくてもコミュニティが続くような「自走化」がとても重要になります。

そして「地方展開」は、先ほどはオフラインが大事だとお話しましたが、東京、大阪、福岡など参加しやすい場所で、オフラインの会を開催することですね。

最後の「株分け」は、コミュニティが大きくなってくると、メンバー間で少しずつ「追求したいテーマ」が細分化されてくるようになります。なので、大きくなってきたタイミングで「初心者向けの会」「◯◯の会」などと、株分けをしていく必要があるんです。

本が好きといっても人数が増えていくと、ビジネス本が好きな人と文学書が好きな人と、どんどん分かれていくと思うのですが、そこをずっと混ぜた状態でいてもあまりスケールしないのはイメージつきますよね。

この3つの軸をまとめると、

①まずは自走化するコミュニティを作る
②全国に参加しやすい場所ができる
③株分けが進み「初心者の方はこちら」と安全性が担保された入口などができる

このような流れとなるわけです。

一方でコミュニティマーケティングをするにあたり、やってはいけないことも多くあります。このテーマをお話すると、これだけで一時間以上必要なので、こちらの記事でチェックしてみてくださいね。

小島さん
最後はまとめです。コミュニティマーケティングは「正しいターゲットに正しいメッセージが伝わる」方法なんです。なぜなら、商品やサービスをお客様自身が購入して、気に入ってくれたらターゲットによく響く形で伝えてくれるからです。

メーカーが自分で魅力を伝えるよりも、お客様が他のお客様に対して「これ使った方がいいよ」と言ってくれた方が、心に響くんですよ。お店を選ぶときも、洋服を選ぶときも、目利きの良い人がおすすめしていると気になってしまうものなんです。それをうまく拡げていく方法が、今回お話した「コミュニティマーケティング」となので、コミュニティマーケティングを始めたい、今取り組んでいる皆さんは、今日のお話をぜひ参考にしてみてくださいね。

〈文=須崎 千春(@chih_suz)、写真=Rie(@rie_cco_desu)〉

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