今の仕事に不満はないけれど、もっと楽しく働きたいー。

そんな悩みを持ったことはありませんか?今の働き方をアップデートしたい方にオススメなのが、PLAY WORK(遊ぶように働く)」という概念です。

「PLAY WORK」とは、仕事と遊びの境界線があいまいで仕事をしているのか遊んでいるのかわからない状況のことで、プロノイア・グループ株式会社代表のピョートルさんが提唱しています。

朝渋では、働きがいのある会社ランキングにも入選しているモルガン・スタンレーやGoogleで働いてきたピョートルさんにPLAY WORKとは何かについて、話してもらいました。

〈文=とにー〉

【ピョートル・フェリクス・グジバチさん】
プロノイア・グループ株式会社 代表取締役 / モティファイ株式会社 取締役。2000年に来日。ベルリッツ、モルガン・スタンレーを経て、2011年Googleに入社し人材育成と組織開発、リーダーシップ開発などの分野で活躍。2015年に独立し未来創造企業のプロノイア・グループとHRテクノロジー企業のモティファイを設立。著書に『NEW ELITE』『Google流 疲れない働き方』『PLAY WORK』など。Twitter:@piotrgrzywacz

PLAY WORKに必要な4つのステップ

ピョートルさん:
「PLAY WORK」はプロノイア・グループの行動指針のひとつで、PLAY WORKを実現するためには次の4つのステップが必要になってきます。

1 自己認識:自分のことを深く理解する

2 自己開示:自分のことを周囲の人たちに開示する

3 自己表現:他者や社会に対して価値を提供していく

4 自己実現:自分にしかできないことを実現する

PLAY WORKとは、最終段階の「自己実現」をしている状態を指します。では、どうすればそのステップまでいけるのか詳しく見ていきましょう。

PLAY WORKの第一歩としてまず必要なのが、「自己認識」です。自己認識をすると、自分の価値観、信念、夢、やりたいことがはっきりするため、人生において「やること」と「やらないこと」が明確になります。

もし、今生きづらさを感じていたら、自分自身への理解を深めると少し生きやすくなるはずです。

自分の立ち位置を把握する重要性については前著『ニューエリート グーグル流・新しい価値を生み出し世界を変える人たち』で解説しているのですが、改めて今自分はどこの層にいるのか考えてみてください。

ピョートルさん:
自分は周りのチャンスに気付かず現状に満足している「ゆでガエル層」なのか、それに気付いた層なのか。自分自身をマッピングすることによって自己に対する理解が深まります。

また、PLAY WORKで重要なのは「やってみたい」という言葉を使わないことです。

例えば、「ミュージシャンになってみたい」と言うのではなく「ミュージシャンになるんだ」と決意し楽器を買い毎日練習することで、ようやくスタート地点に立てるんです。練習すれば必ずミュージシャンになれますから。結論、「やる」という一つの意志を持ち続け、行動することで自己実現はできるのです。

「言わないのは思ってないことと同じ」ピョートル流、自己開示のススメ。

ピョートルさん:
次に、「自己認識」の次のステップである「自己開示」についてです。

突然ですが、先週、仕事で何が一番楽しかったですか?その楽しい気持ちは、どのくらい周りに伝えましたか?自分の想いや信念を表に出すことは少し恥じらいがあるかもしれません。でも、言わないのは思ってないことと同じなんです。

上の質問でわかった自分の楽しい気持ちや自己認識で明らかになった価値観を、上司や周りにぜひ広めていってください。自分のことを晒け出すと、自分に合った仕事を振ってもらえるようになるかもしれません。上司はあなたの好みや大切にしていることを知らないがために、「とりあえずやらせてみよう」と今の仕事を振っている可能性もあるからです。

お互いを知らないがゆえに、仕事で葛藤が生まれているケースもあります。

職場の人間同士でお互いをオープンにするには、ランチ、ディナー、ブリーフィングなど、お互いの信念や価値観がわかる質問をできる環境が不可欠です。職場での自己開示を難しく捉える必要はなく、「昨日ドライブに行ったから、今日は疲れているんだ」と一言伝えるだけで構いません。その日の自分のコンディションをメンバーが周知していれば、個人の仕事量も調整できます。

「こうしてほしい」という他人の期待や願望を生きても楽しくないので、自分らしくいられるように自己開示をすればいいんです。

仕事場で周りに自分をオープンにしていくと、安心して話せる心理的安全性が生まれます。そうすると相互信頼が生まれ、いいチーム作りができるようになります。

お互いを信頼していると「部長、赤いネクタイが似合わないですよ」と嫌味なく率直なフィードバックをしたり、「こうした方がいいんじゃない?」と会話だけで仕事がスムーズに進んだりします。感情の対立ではなく、建設的な意見の対立が生まれるようになるんです。

「見えない価値がホントの給料」自分だけの価値を生かして働く。

ピョートルさん:
「自己開示」ができたら、次は「自己表現」です。自己紹介で「何をやっているんですか?」と聞かれたとき、「サラリーマンです」や「〇〇社の営業をしています」と自分の肩書きを答えがちですが、それは本当の答えにはなっていません。何の価値を社会に提供しているかを考えていないからです。

日本人の男性は、定年後に理事会などに入ったとき、役職を欲しがる傾向があります。自分のアイデンティティを役割でシャットダウンしてしまっているのです。社内で「部長」「社長」と呼ぶことも同じ現象だと言えます。

個人の集合体がチームであり、チームの集合体が会社であり、社会でありますだから、会社はただ自分の役職をこなす場所ではなく、自分の価値を最大限に社会に還元できる場所なんです。

「あなただけの価値」について考えた際、自分の時給を計算することもひとつの方法です。自分の年収を1時間、1分で割り、自分の時給を算出してみてください。その時給に対して、あなたは適切な貢献をしているでしょうか?

自分にしかできない価値を提供しない限り、自分の時給を最大限にすることはできません。年収を上げたいのであれば、自分の時給を2倍3倍にする方法を逆算して考えることもできます。

ただ、「時給=日本円」に概算するのは甘いです。会社では、見える給料よりも見えない給料の方が高い可能性があるからです。恵まれている環境、自分にしかできないチャンスがある、自分が最大限に学習できるチャンスがあることも、時給に加えて考慮してみてください。

金銭的な給料よりも見えない価値に着目し仕事に取り組むと、「自己表現」に繋がっていきますよ。

全ての経験は人を強くする!何にでも楽しみを見つけよ。

ピョートルさん:
PLAY WORKの考え方を説明すると、「”仕事=楽しい”でいいの?」と尋ねられることがあります。

でも、楽しくていいんです。楽しくワクワク働いているときこそ、私たちは「フロー状態」に入りパフォーマンスが高くなります。乗り越えられそうな課題に対し自分がインパクトを与えているときや、何かを学んでいるとき、私たちはフロー状態のど真中にいます。

つまり、”フロー状態=楽しく集中している状態”なんです。楽しく働くどころが、生産性も高いので一石二鳥です。働きがいを持って業務に取り組んでいるエンゲージメントの高いメンバーの方が、生産性が高いと言われています。パフォーマンスも高いので、社員が楽しく働くことは経営の観点から見てもメリットしかありません。

楽しいこと自体が目的なのではなく、生産性を上げるために仕事を楽しむんです。楽しくて、遊んでいるのか働いているのかわからない状態こそ、PLAY WORKの状態です。

仕事を楽しむためのキーポイントは、何よりも好奇心を持つことです。

20歳の日本人の好奇心は、65歳のスウェーデン人の好奇心と同等レベルという研究結果も出ているので、意識してみてください(笑)。

ピョートルさん:
好奇心を持つためにすぐ実践できるは、雑務や自分が楽しくない作業の中で自分なりの楽しみを見つけることですね。

ルーチーン作業や億劫な業務に対して、もっとラクにこなせる近道はないか?を考えるなど、やらざるを得ない感覚をなくすことで世界は変わっていきます。

例えば、面倒な経理の仕事でも、それぞれの数字の裏に隠された意味を考えたり、好きな音楽をかけたりします。「やらされている」感情を拭い、好奇心を持ち、ゲーミングスイッチを入れるんです。

僕自身、アイロンがけが好きではないのですが、アイロンをかけるときは必ず気になる分野のYouTube動画を見て、「お楽しみアイロンタイム」にしています(笑)。忙しい合間でも5分程で知見を得られるのでオススメです。

英語で”What doesn’t kill you make you stronger.(「全ての経験は人を強くする」)”という諺があります。

つまり、人は挫折を乗り越えたことで強くなることができます。目の前の課題は自分の今の価値観や信念をアップデートし脱皮する経験だと捉えることで、チャレンジに対する姿勢も変わってきます。

これからの日本がいい方向に行くかよくない方向に行くかは、個々人の自己実現にかかっています。

しかし、これまでお話ししてきた通り、PLAY WORKは一人で叶えることは不可能でチームででしか実現できません。

チームは人の集まりです。会社も人の集まり、社会も人も集まりです。だからこそ、個人個人が変われば、社会が変わるはずです。

ぜひ目の前の日常から自分の好奇心を見つけ、PLAY WORKを実践してみてください。

〈文=とにー(@tony1021_) 写真=井手桂司(@kei4ide)〉

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