「働き方改革」と言われても、自分の生活を、どう変えたらいいんだろう、と迷いますよね?

激務の広告代理店に勤めながら、週末を利用して世界1周を果たした“リーマントラベラー”を自称する東松 寛文さんは「働き方を変えるためには、休み方こそ変えろ!」と訴えます。

東松さんの話からは、会社で働きながらどう休んで自分のやりたいことを実現するか、というヒントが満載でした。

モデレーターは、Business Insider Japan 編集長の浜田敬子さん(@hamakoto)です。

〈文=とにー〉

【東松 寛文(とうまつ・ひろふみ)】リーマントラベラー・休み方研究家。1987年岐阜県生まれ。平日は激務の広告代理店で働く傍ら、週末で世界中を旅する“リーマントラベラー”。また、週末だけで人生を変えた休み方のスペシャリストとして“休み方研究家”としても活動する。社会人3年目に旅に目覚め、7年間で59カ国125都市に渡航。2016年、33 カヶ月で5大陸18カ国を制覇し、世界一周を達成。『地球の歩き方』から旅のプロに選ばれる。以降、TV・新聞・雑誌等のメディア出演・執筆多数。全国各地で講演も実施。著書『サラリーマン2.0 週末だけで世界一周』(河出書房新社)に加え、6/20には新刊『人生の中心が仕事から自分に変わる! 休み方改革』 (徳間書店)が発売。Twitter:@ryman_traveler

忖度して休みをゲットせよ。戦略的な休み方とは!?

Business Insider Japan(以下、BI):
東松さんは「リーマントラベラー」として旅行されていますが、一体普段はどんなスケジュールなんですか?

東松さん:
平日は夜遅くまで働いたり、飲み会に行ったりすることが多く、週末だけで旅行しています。金曜夜に出発し、月曜朝に帰ってくることが大半です。栄養ドリンク、着圧スパッツ、アイマスクが、僕の「旅の3点セット」です。

今は、月1以上の頻度で出掛けています。週末を利用しているので、有給も使っていません。旅行のご褒美が待っているからこそ、仕事を頑張れるんですよね。

BI:
旅を始めたるきっかけは?

東松さん:
社会人3年目の時に、現実逃避で行った、はじめての一人海外旅行ですね。

入社して丸2年間は、朝から晩まで働くのが当たり前だと思っていました。そんな中、現実逃避がしたくてアメリカのプロバスケットボールリーグ・NBAのチケットを先に買ってしまったことがきっかけで、連休に1日だけ有給をプラスしてNBA観戦にアメリカへ行きました。そこで旅にハマりましたね。

BI:
そんな職場ではじめて上司に休みの話を切り出すのは、勇気が必要でしたか?どう交渉したのでしょうか?

東松さん:
小さい頃からの夢を語りました。「バスケットボールが幼い頃から好きで、ずっとNBAを観に行くことが夢だったんです。それが1日有給が取れれば、叶うんです!」と。

BI:
夢や想いを語ると、上司も納得せざるを得なさそう。他にも休みを取るコツは?

東松さん:
取る順番を変えることです。休みを確保してから予定を決めるのではなく、先に旅の予約をしてから休みの交渉をします。前者は最終決定権が上司に、後者は自分に決定権がありますよね。

はじめての一人海外旅行の際、NBA観戦のチケットを調べてみたら約8000円でした。想像以上に安く、夢のチケットがこの価格で手に入るなら、行けなくても欲しいと思い、有給を取る前にチケットを購入しました。そのチケットが手元に届くと、行けるはずもないと思っていたのに、だんだん行かないのはもったいない気がしてきて、それで勇気を持って上司に有給を申請しました。

それから、職場で誰かが休む話を聞いたときもチャンスですね。積極的に仕事を代わって、次に自分が休みたいときに休みやすいようにします。

子どもがいる方は、お盆や連休に休みたいかもしれません。チケットも高く混雑するので、僕はその時期の旅行は避けています。

大型連休や年末年始は航空券が高くなるので、3連休に有給を1日足して4連休にするのもテクニックです。有給の価値が上がります!

有給を取るなら、連休の前より後が断然オススメです。連休前って、仕事に追われている空気がありますが、連休後は仕事のスピードがゆっくりですよね。上司や他のメンバーに忖度して休むんです。

BI:
休み方改革は、「忖度」をどううまく使い、職場で「喜ばれるか」にポイントがあるんですね。

東松さん:
そうですね。仕事でミスを上手く説明したり利用したりするように、休みも上手く使うんです。

みんな自然と使える技術であるのに、休みに対して使っていないので、会社員全員が伸びしろを持っていますよ

僕は一人で働き方改革を実践してきましたが、今は政府の有給休暇の義務化もあり休みやすい風潮になってきています。

旅を始めた当初は、「また休むの?」と社内で聞かれていましたが、最近は「次はどこ行くの?」と聞かれるようになりました(笑)。 こうなったら勝ちですね。

BI:
休み方改革が、社内の自己ブランディングにもなったんですね。旅の行き先はどうやって決めているのですか?

東松さん:
NBA観戦もそうだったのですが、旅行する日程でスポーツイベントやお祭りが開催されている場所に行きます。海外が大半です。

決められた日付のなかで、どう旅行を楽しむかは、その日にしか開催されていないイベントに行くこと。すると、ここで休めてよかった!と満足度が上がるのでオススメです。

BI:
旅行のお土産は職場に買っていきますか?

東松さん:
定番のお土産を買っていきます。上司には奥様向けの、現地でしか手に入らないお土産を買っていくと喜ばれます。非日常を伝えると効果的ですね。

休み方を変えれば、働き方も変わる!

BI:
東松さんは、旅行中に仕事は一切しないそうですね?

東松さん:
旅に出るようになる前は、月曜締め切りの仕事を金曜にダラダラやって、土曜日に持ち越すこともありました。

しかし、旅行に行くと決めてからは土日は一切使えないので、金曜の定時までに仕事を終えると、に自分で締め切りを決め、業務に取り組むようになりました。

全部の仕事をこなすことは不可能なので、月曜締め切りでもいいものは週明けにする、など仕事の優先事項を決めています。以前より主体的に仕事に取り組むようになりましたね。

仕事も旅も、自分の人生に必要なことに対しては120%の力を出し、他のことは101%の力で早く終わらせることを意識しています。

そして、土日は旅先で誰よりも高い質のインプットがあるため、相乗効果で仕事の評価も上がりました。

BI:
旅でのインプットを仕事に生かすポイントは何ですか?

東松さん:
旅先で自分の印象に残ったものを仕事で活かせないか考えることですね。

僕は広告代理店で働いているので、海外で見た今まで知らなかったキャンペーンやデザインを仕事のネタにしています。

先日、ウガンダの飲食店ではビール1杯で30分間無料Wifiが使えるキャンペーンを発見しました。ツイートしたら2万リツイートされ、大きな反響を呼びました。

「色んな生き方をしていい」旅の内省から見つけた想い。

BI:
旅行は仲間と行くのと一人で行くのでは、どちらがお好きなんですか?

東松さん:
どちらも好きですが、目的によります。僕は「旅」と「旅行」は異なるものとして捉えています。

まず、「旅」は、新しい気づきを得たいときに行きます。旅先のトラブルやハプニングなどといった不確実性も楽しみたいときです。

「旅」では気になった場所や、心が動いたものを写真に収めます。毎回、現地の人がオススメするレストラン、クラブ、地元の人が行くスーパーの3カ所に行くのですが、オススメされた飲食店がまずくても、現地の人との味覚が違うことがわかるので、それはそれで構いません。失敗もOKです。

反対に「旅行」に行くときは、リフレッシュや休息が目的です。「旅行」は不確実性が多いと疲れてしまうので、Googleマップで行きたい場所を保存するなど計画を立て、予習をしてから行きます。

BI:
平日と土日の仕事と休みに切り替えは、どう工夫していますか?

東松さん:
飛行機が着いた瞬間、トラベラーの僕は死にます。地上に着いたときから”リーマン”に戻るんです。空港が仕事と休みのターミナルとなり、切り替えていますね。会社に旅を余韻を引きずることもありません。

日本にいる時間をトランジットとして捉えています。次の旅行の予定を入れ、ご褒美が待っているからこそ、仕事を頑張れるんですよね。

その代わり、「旅」でも「旅行」でも、帰りの飛行機の時間を考える時間と決め、旅のふり返りや自己分析など内省をしています。飛行機での内省によって、僕自身が旅行をする意味も見出せました。

僕が旅を続けるのは、世界にはいろんな生き方があって、どんな生き方を選択してもいいってことを世に伝えたいからです。それを書籍やこのような場で皆さんに伝えられることが嬉しいです。

平日も自分のための働き方にシフトしました。会社のために生きていた時期は月曜から飲み会を入れていましたが、今は月曜は定時に帰って身体を調整しています。先週末もマカオに行き、帰宅したのは日曜の深夜1時でした。月曜は最優先事項を決めて仕事をし、自分のメンテナンスをするんです。

土日もメールはチェックしますが、返信はしません。自分のための休みだから、1日早く帰って来くる必要もありません。サラリーマンは月曜日、会社に行くまでが遠足です!

「今の生活から半歩踏み出そう」。休み方でやりたかったことに挑戦できる。

BI:
休むことへの障壁は、会社だけではなく、自分の心にもあると思います。

東松さん:
わかります。ただ、仕事の目線を少し入れると、休みも仕事に関するものだと捉えられるようになりますよ。

仕事にもメリットがあることを考慮し、最初は自分に忖度しながら、ぜひ休み方を変えてみてください。

僕は旅を通して、自分としてどうなりたいかを、会社の外と中ではなく1人の人間として考えるようになりました。会社でタテに昇進していくのはなく、社会でヨコに自分を広げていくイメージです。

休み方を変えると、自分が社会的にぐんと広がっていきます。

BI:
休み方改革は、働き方改革はもちろん、自分の生き方の改革にもなりますね。東松さんの旅費の捻出の仕方も気になります。

老後2000万円問題が浮上して、若い時から貯金しなくては、と考える人も少ないようですが。

東松さん:
僕は、20代は貯金をしなくてもいいと思うんです。

トヨタの社長が述べていたように、終身雇用が難しい時代になりました。自分が60歳、70歳になったときには、実質フリーランス期間が待っています。

突然会社がなくなったそのとき、自分が何者であるのかが試されます。自分らしい生き方や自分らしさは、お金の使い方にも現れますよね。

現実的な話として、旅費の捻出するためには浪費を減らしました。合コンには行かなくなりました(笑)。

自分の意思があるものは投資、ないものは浪費だと捉えており、僕にとって海外旅行は投資に当たります。意思が乗っているお金は、必ず帰ってきます。

チケットを購入してから有給を取ることも例に挙げましたが、お金を支払った後にどうその価値を使うかを考えるんです。先にお金を使ってしまうと、お金を増やし方よりもその経験の使い方を考えるようになります。

BI:
最後に一言、今日いらした皆さんにお願いします。

東松さん:
最近は、世の中の意見が偏っている気がします。独立・転職・起業がカッコイイ風潮がありますが、どうしても自分からかけ離れているように聞こえがちです。

自己啓発本も、エナジードリンクのように一瞬のインパクトがあるだけで、読み終わって満足してしまいます。

休み方改革は、独立などと違って、会社を辞めずに身近なことから始められます。

僕の場合は旅でしたが、趣味や勉強など、好きだったけれど先送りにしていることを、今の仕事を続けながらできる方法を考えてみてください。

休み方改革が、今の生活から半歩踏み出すきっかけになれば嬉しいです。旅行も週末だけで十分楽しめるので、ぜひ行ってみてくださいね。

〈文=とにー(@tony1021_) 写真=矢野拓実(@takumiYANO_)〉

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