「君がリーダーね」と指名され、メンバーをどうまとめていけばいいのか分からず、不安を抱えた経験はないでしょうか? 組織開発ファシリテーターとして、チームづくりに長年関わってきた長尾 彰さんは、悩めるリーダーを見かけた時に、こうアドバイスしているそうです。

「チームづくりは、正反対の2人からはじめよう!」

そもそも1人で全員をまとめようとするから大変で、2人でリードしていくのが大切だと言います。加えて、正反対のリーダーシップスタイルのメンバーと組むのが理想的だと。朝渋では、長尾さんをゲストに招き、「Co-Lead(コ・リード)」の重要性を伺いました。

〈文=井手桂司(@kei4ide)、写真=矢野 拓実(@takumiYANO_)〉

【長尾 彰(ながお・あきら)】日本福祉大学卒業後、東京学芸大学にて野外教育学を研究。企業、団体、教育、スポーツの現場など、約20年にわたって3000回を超えるチームビルディングを実施。現在は複数の法人で「エア社員」の肩書のもと、組織開発や事業開発をファシリテーションする。著書に『宇宙兄弟「完璧なリーダー」は、もういらない。』など。

完璧ではない2人がお互いを支え合う物語

長尾さん:
今日僕が伝えたいのは、「チームづくりは2人でリードすることから始めよう」ということです。

そもそも、リーダーが1人でチームをつくって、1人で全員をまとめようとするから大変なんですよ。まずは、もう1人の仲間を見つけて、2人でリードしていきましょう。

チームづくりは「Co(共同)」でリードする「Co-Lead(コ・リード)」から始めることを、僕は強くオススメします。

そして、自分とは違うタイプの人と組んだ方がいい。例えば、アップルの創業者のスティーブ・ジョブスとスティーブ・ウォズニアック。ビートルズを結成したジョン・レノンとポール・マッカートニー。正反対のタイプの2人からはじまって、偉業を成し遂げた事例は数多く存在します。

そして、「Co-Lead」の魅力が盛り込まれている物語といえば、漫画『宇宙兄弟』です。

長尾さん:
著書『宇宙兄弟。今いる仲間でうまくいくチームの話にも書かせてもらいましたが、宇宙兄弟もタイプの違うふたりの主人公から始まる物語です。

自分に自信がなく、周りの空気に敏感な兄のムッタ。自分に絶対の自信を持っていて、ブレない弟のヒビト。僕は、この凸凹なふたりがお互いを補完し合っているからこそ共に成長することができ、そんな彼らの物語に多くの人が魅了されているのだと感じています。

完璧ではないふたりが出会い、お互いを支え合う。これが、チームづくりのスタート地点です。

4つのリーダーシップスタイル

長尾さん:
自分とは違うタイプの人と組んだ方がいいと言いましたが、タイプとは、チームをリードする「スタイル」のことを指します。

今回、宇宙兄弟のリーダー本を執筆するにあたり、リーダーシップのスタイルを大きく4つに分けて整理してみました。

  1. ファシリテーター型(支援と促進が得意)
  2. マエストロ型(職人肌で成果を出すのが得意)
  3. ティーチャー型(教えて諭すのが得意)
  4. コンサルタント型(専門的な知識で牽引するのが得意)

それぞれのスタイルの特徴については、このあと詳しく述べていきますが、軸となるキーワードは仕事を進めるうえで「成果」「プロセス」のどちらを重視するのかです。

「仕事はとにかく結果が大事!できるだけ最短距離でゴールに向かいたい」という人は成果重視のコンサルタント型かマエストロ型。一方、「もちろん結果も大事だけど、そこに到るまでのプロセスも大事にしたいよね」と感じる人はファシリテーター型かティーチャー型。

もう一つのキーワードは、メンバーをリードするときに「押す」ほうが好きか、「引っ張る」ほうが好きかということです。

例えば、ファシリテーター型やマエストロ型は、メンバーを支えたり、応援したり、促したりと、メンバーの背中を押すのが好き。コンサルタント型やティーチャー型は、「こうあるべきだ」「こうしたい」という意思表示をして、メンバーを引っ張るのが好きな人です。

以上を、整理すると、次のようになります。

  1. ファシリテーター型(プロセス志向 × 押す)
  2. マエストロ型(成果志向 × 押す)
  3. ティーチャー型(プロセス志向 × 引っ張る)
  4. コンサルタント型(成果志向 × 引っ張る)

あくまで傾向なので、誰もが明確に4つに別れるとは限りません。また、どの型が優れていて、どの型が劣っているということでもありません。どのタイプにも「凸(強み)」と「凹(弱み)」があるということです。

あなた好みのリーダーシップの型はどれ?

長尾さん:
まずは、自分のリーダーシップスタイルが、どのタイプかを知ることから始めましょう。

より各スタイルの理解を深めるために、「目的」「計画性」「物事の進め方」など、より細かな傾向を10項目にまとめてみました。

4つのリーダーシップスタイルは、「プロセス志向 or 成果志向」と「押す or 引っ張る」の関係性だけでなく、こうした様々な特徴や傾向を内包しています。

自分のリーダーシップスタイルを知りたい人は、上のシートで自分が当てはまると思う項目に「◯」をつけてください。もっとも「◯」の多い列が、あなたのスタイルです。ほとんど同じスタイルに「◯」が集中する人もいれば、2つのリーダーのスタイルを併せ持つバランス型の人もいます。

ここで見つけた自分のスタイルは、得意というより、「自分好みのスタイル」として見てもらえるといいと思います。得意かどうかは比べると相手がいないとわからない。でも、好きか嫌いかは、相手がいなくてもわかりますよね。

リーダーのスタイルは人それぞれです。自分にしっくりとくる傾向を分析してみてください。

凸凹が組み合わさり、想像を超えた成果が生まれる

長尾さん:
さて、自分好みのスタイルがわかったら、次は「チームの作り方」についてです。

そもそも、チームって、いつ始まると思いますか? やや抽象的な質問ですけど、チームが発生する時って、どんな時でしょう?それは、自分1人では成し遂げられない何かを、実現させたいという時です。

「俺、これやりたい! でも、一人じゃできない……。よし、人を集めよう!」

こうしてチームが生まれるわけですよね。先にチームがあって、目的が生まれるのではありません。「とりあえず、チームを作ろうぜ!」と言って、そのあとに「何やる?」って、ないですよね(笑)。

そして、人を集める時に意識して欲しいのが、自分と違うタイプの人と組むこと。例えば、僕はコンサルタント型なので、考えることがものすごく好きです。でも、考えたことを実行するのは苦手。あと、人を巻き込むとか、誤解を与えずに伝えることも得意ではありません。

そういう時は、自分が苦手としていることを、誰かに補完してもらえればいい。その時に自分と違うタイプの人が必要です。ファシリテーター型で、人間関係に気を配ったり、情報の共有などに長けた存在の人が同じチームにいると、大助かりです。

もちろん、タイプが正反対の人と組むと、最初はあまり心地よくはないかもしれません。ですが、お互いの凸凹が組み合わさって、発想以上のものが生まれる可能性があります。ここにチームの醍醐味があると思うので、是非、正反対のタイプの人とチームを組むことをオススメします!

自分の意思を持っている人は、全員がリーダー

長尾さん:
最後に、「リーダーシップとは何か」を伝えさせてください。リーダーシップというと、職場のチームリーダーなど、複数人のメンバーを率いるポジションの人に必要とされるイメージが強いと思いますが、そうではありません。「〜したい(Want)」という自分の意思を持っている人全員が、リーダーであり、リーダーシップを発揮しています。

宇宙兄弟の主人公・ムッタも「俺は宇宙へ行きたい」という意思を取り戻した瞬間から、自分の生き方・人生そのものに対して、リーダーシップを発揮していきました。ムッタやヒビトの「Want」は宇宙飛行士という大きなものですが、日常生活でも、小さな「Want」はたくさん存在します。

例えば会議中に、「ちょっと休憩にしませんか?」と提案しただけでも、リーダーの役割を果たしています。この発言により、チームの合意形成や意思決定が成されるので、これも立派なリーダーシップです。

従来の「リーダーは常に固定された人物」という考え方ではなく、チーム全員がリーダーであり、状況に応じて誰かがリーダーシップを発揮する。リーダーというバトンを、メンバーのあいだでクルクルと回している状況をイメージしてもらうとわかりやすいかもしれません。

リーダーを、リーダーたらしめるものはただ1つ。それは、リーダーシップを発揮することです。

ただ、お話ししたように、人それぞれ好みのリーダーシップスタイルは変わります。自分の傾向を知っていれば、強みを活かしたリーダーシップを発揮できます。是非、あなたらしいやり方で、チームづくりを楽しんでください!

〈文=井手桂司(@kei4ide)、写真=矢野 拓実(@takumiYANO_)〉

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