「やりたいことだけで生きていく」「好きを仕事に」と叫ばれていますが、実際、個人の名で稼いでいる人はごく少数で、いざ何かにチャレンジしてみよう!と思っても、やりたいことが明確に見つけられなかったり、チャレンジすることが億劫になったり…そんな経験はありませんか?

Yahoo!アカデミア学長の伊藤羊一さんは、やりたいことや成功体験を持っていなくとも、自分の目の前の出来事をふり返ることで自分自身のキャリアは見えてくると語ります。

朝渋では、やりたいことが見つからないビジネスパーソンにオススメの”ふり返りの習慣”について伊藤さんに語っていただきました。

〈文=とにー 写真=北澤太地〉

伊藤羊一(いとう・よういち)ヤフー株式会社 コーポレートエバンジェリスト/Yahoo!アカデミア学長/株式会社ウェイウェイ 代表取締役/グロービス経営大学院 教員 著書に「1分で話せ」「やりたいことなんて、なくていい。」など。Twitter(@youichi_itou

 

内省と対話でしか人は成長しない!

いきなりですが、人が成長する機会って「内省と対話」のくり返ししかないんですよね。自分の頭で考える「内省」と、それを言語化しアウトプットする「対話」、双方のバランスが必要です。

有名人が語る、時々ある衝撃的な原体験は全員になかなか起こらないこそ、淡々と過ぎていく日々からどう学んで成長するかが重要なんです。

では、どうやって日常の出来事から学ぶかというと、習慣的に”ふり返る”ことなんですよね。

 


伊藤さん

ふり返りってまさに「内省と対話」なんです。

 

ふり返りのPDCAを回し”アハ”体験を積め!

キャリアを作るキーポイントは、日々のふり返りから一歩深めた”アハ”体験を得ることです。

ふり返りの構成要素は下の3つがあります。

1 内省:モヤモヤを自分の頭で考える。学んだことをふり返る。

2 対話: 自分にとってどういう意味があるのか言語化しアウトプットする。

3 ”アハ”体験:「これってこうだったのか!」とはっと気づく。

 

この”アハ”体験によって自分のアクションの根底にある、自分の情熱やパッション、つまり「マインド」の根幹が明らかになりますふり返りの3要素のPDCAを回し、”アハ”体験を積むことこそが、人を成長へと導くサイクルになるんです。

例えば、皆さんは今日早起きをされてこの会場に来ていますが、「早起き」というアクションの下には「夕飯は軽めに済ます」「寝る前にぬるめの風呂に入る」などのTips、つまりスキルがあります。そのスキルの根底には「朝、脳がクリアな状態で知識をインプットしたい」「静かな環境でクリエイティブな仕事をしたい」など、早起きに対する自分の想いがあるはずです。

日々の小さな経験をふり返ることで、他のこともふり返るクセがついてきます。そうやって習慣になると何も考えずにふり返りができ、”アハ体験”を積めるるようになります。

いきなりですが、歯磨きって皆さん何も考えずにしますよね(笑)?それは小さい頃から強制力を持ってやり続け、習慣になっているからなんです。

例えば、僕は「今日は時間があるから歯磨きの後にフロスまでしよう」と思うのですが、それは歯を綺麗にしたいモチベーションよりは、時間のある・なしに左右されフロスをするアクションに至っています。

このように何かが習慣化されると、モチベーションではなく時間の有無でこなせるようになります。日々のふり返りも習慣になれば、「年末だからしっかりやろう」「今日は時間があるからもっと深掘りしてみよう」となるはずです。

 


伊藤さん

ふり返る習慣を身に付けると、転職のために自己分析を深めよう!って強いモチベーションがなくとも、日々”アハ体験”から、好き嫌いなどの自分の感情に気づけるようになります。

できることの積み重ねで”やりたいこと”を見つければいい!

もちろん、人生や仕事において、やりたいことがあるに越したことはありません。でも、今ないからといって焦る必要はありません。担当プロジェクトなど目の前のやらなきゃいけない仕事はきっと皆さんあるはずです。今の目の前の仕事をちゃんとふり返って”アハ体験”を積めていますか?

毎日のふり返りで、目の前の仕事から”できること”を自分の経験値として溜め、ふり返りで”アハ体験”を積むうちに、自分の興味関心や楽しい仕事など”やりたいこと”がだんだん浮き彫りになってきます。

 


伊藤さん

足元の仕事を全力でこなしふり返りを積み重ねれば、”やりたいこと”は必ず後から見えてきます。

 

つい目の前の忙しさにかまけてしまうこともあると思いますが、下のフィードバッククエスチョンを自分に質問してみたり、「時間のコントロールができ、生活リズムがいい」「プロジェクトを自分事化できている」など自分が大切にしたいマインドをリストにし5段階評価でチェックするなど、定期的に振り返れる指標を作っておくと便利です。

<フィードバッククエスチョンの例>

1 よくできた点は何か

2 それはなぜ上手くいったのか

3 今後も続けたほうがいいことは何か

4 うまくいかなかった点は何か

5 それはなぜ上手くいかなかったのか

6 今後やめた方がよいことは何か

7 今後改善すべき点はどこか

出典:『「いい質問」が人を動かす』

 

簡単でいいので、目の前の”今”をふり返る習慣をぜひつけてみてください。僕は”Lead the self”と唱っているのですがふり返りで得た”アハ体験”から、「キャリア迷子」という果てしない迷路の中にいる状態から、自分自身を導ける状態にきっとなるはずです。

 

伊藤羊一流のキャリア論をもっと知りたい方へ!

伊藤さんが実践してきたキャリアのつくり方や、”アハ体験”を積むふり返りの習慣について書かれた本が『やりたいことなんて、なくていい。 将来の不安と焦りがなくなるキャリア講義』です。

どうしたらやりたいことがなくても自分の納得できるキャリアを歩めるのか、やりたいことがない中でどうキャリアを形成してきたのか、伊藤さんが詳しく書かれています。

自分のキャリアについて考えたい!やりたいことがないなかで、どう働いたらいいのか知りたい!そんな想いを持った方には、ぜひ読んでもらいたい一冊です。

〈文=とにー 写真=北澤太地〉

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