「今の世の中は、25年ぶりに世界同時リセットがかかっているんです」—— そう語るのは、プレゼン力で注目を集め、現在各所で引っ張りだこの澤円さん。

澤さんは、今年8月には『個人力』を上梓し、8月31日には23年間勤めたマイクロソフトを退社しました。今でこそ会社の名前や肩書きで自分を語らず「澤円」の名で活躍していらっしゃる澤さんですが、ご本人曰く「20代の頃は何かに秀でているわけではなかったし、自分に自信もなかった」とのこと。当時は、現在の形で活躍しているビジョンも見えていなかったそうです。どうありたいかよりも、何がしたいかを優先した20代があったからこそ、次第に目指す方向性が見えてきたといいます。

そんなメッセージが込められているのが、8月に新しく発売した澤さんの図書個人力:やりたいことにわがままになる、ニューノーマルな働き方。究極の自己中戦略

COVID-19という世界同時リセットを経験したこれからの時代に、自由にのびのびと生きる方法を説いています。この日の朝渋ではこの『個人力』に基づき「これからの時代をわがままに生き抜く方法」を教えていただきました。

【澤円(さわ・まどか)さん】株式会社圓窓 代表取締役。元日本マイクロソフト業務執行役員、立教大学経済学部卒。生命保険のIT子会社勤務を経て、1997年、マイクロソフト日本法人に転職。ITコンサルタントやプリセールスエンジニアとしてキャリアを積んだのち、2006年にマネジメントに職掌転換。幅広いテクノロジー領域の啓蒙活動を行うのと並行して、サイバー犯罪対応チームの日本サテライト責任者を兼任。2020年8月退社。

現在は、数多くのスタートアップの顧問やアドバイザーを兼任し、グローバル人材育成に注力している。2019年10月10日より、株式会社圓窓 代表取締役就任。企業に属しながら個人でも活動を行う「複業」のロールモデルとなるべく活動中。また、美容業界やファッション業界の第一人者たちとのコラボも、業界を超えて積極的に行っている。テレビ・ラジオ等の出演多数。Voicyパーソナリティ、琉球大学客員教授。

 

今回のイベントスケジュールは以下の通りです。

はじめに、澤さんに個人力:やりたいことにわがままになる、ニューノーマルの働き方の内容をかいつまんで説明していただきました。

 

『個人力』を構成する4つの要素:Being、Think、Transform、Collaborate

澤:『個人力』は、Being、Think、Transform、Collaborateという4つのテーマに分解することができます。

1.Being

Beingは「自分がどうありたいか」を意味する言葉であり、今はBeingを見つめ直す絶好の機会です。なぜなら、COVID-19によって「世界がリセットされた」から。しかも、局所的にではなく、全世界が同時にリセットされたところがポイント。このような世界同時リセットは1995年以来、25年ぶりのことなんです。

25年前にあたる1995年には、Windows95が発売されました。つまり、インターネットの登場です。そして、インターネットが登場した後は、それまでのインターネットがない世界には戻りませんでしたよね。

COVID-19が登場した2020年も同様に、COVID-19が登場する前の生活にはもう戻れません。勿論、ウイルスに対する特効薬が開発される可能性はありますが「ウイルスが蔓延すると、世界がこんな風に止まってしまう」ことが露呈したわけです。だからこそ、私たちはこれからどのように生きるかを考え直さなくてはいけません。

 

2.Think

COVID-19が登場した後の世界は、今までの当たり前が通用しなくなります。そうした正解がない世界を生きるには、自分の頭で新しい方法を考えていかなくてはいけません

ただ、そんな話をすると「澤さんだからできるんですよ」「私には無理です」といった声が返ってくる。しかし、本当にそうでしょうか。果たして、本当にあなたにはできなくて、僕にはできることなのでしょうか。

もう辞めてしまいましたが、少し前までは僕だってただのサラリーマンです。ましてや、プレゼンという武器を手にする30代半ばまで、何かに秀でていたわけでもない。そんな僕が今こうして皆さんの前で喋っているのですから、「私にはできない」という考え方は疑った方がよいです。

僕の前の職場のチームに、「何かに挑戦したときは、大抵自分の予想とは違う結果になる。だけどそこから学べることがたくさんあるから、私は自分が“失敗”をしたことがないと思っている」と言う人がいました。この考え方はすごく大切で、自分をアップデートするには、何事もまずは試してみる必要があります。何かをして身についてから何かを試す「何々してから思考」は今日で終わりにしましょう。

 

3.Transform

上で述べた「挑戦によって自分をアップデートする行為」がまさにTransformですが、実はみなさんも既に、半強制的にTransformを体験しているんです。

その一例が在宅勤務。今年に入ってから、テレワークやリモートワークを初めて行った方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは働き方のTransformです。

そして、その結果「今まで費やしていた移動時間は無駄である」ことがバレてしまいました。無駄は省いた方がいいので、コロナが収束した後も、移動せずに働く方向に会社がシフトしていくほうがよいです。たとえ会社がそれを認めなくても「出社するよりも生産性が高いので、私は在宅勤務を選びます」と宣言してまえばいい。既に皆さんは環境によってTransformさせられているのだから、自分をその環境に適応させていけばいいんです。

 

4.Collaborate

最後はCollaborate。このテーマにおけるキーワードは「コミュニティ」で、これからの時代はとにかくコミュニティが中心になっていくと考えています。

コミュニティの対極にあるものは「組織」であり、組織はコミュニティと違って明確な肩書きや役割が与えられている点が特徴。一方のコミュニティは、フワフワとした人たちが緩やかにつながってできた輪だと思ってください。

たとえるなら、「シャボン玉」。私たちは、シャボン玉のように柔らかくてしなやかで優しいボールの中にいて、このボールは大きくすることも小さくすることもできます。自分の好きなことややりたいことが広がるたびにこのボールも広がっていき、同じように広がった他人のボールと交わる。そんなイメージで、自分の好きなことをやることでコミュニティができて、また世界が広がっていく流れが理想です。これがCollaborateの考え方です。

そして、それぞれのボールが広がって重なった部分が、俗にいう「イノベーション」。「新結合」を意味するように、個々人が活動を広げ、他人と交わることで化学反応が起きたとき、イノベーションが起こるのだと考えています。

 

『個人力』まとめ

澤:というわけで、『個人力』をもとに、4つの要素に絞ってお話をしました。最後にここまでの内容をまとめます。

 

Being:COVID-19によって世界が同時にリセットされた今、もう一度自分の中のBeing=どうありたいかを見つめ直す必要があります。

Think:COVID-19によって常識が覆された今、正解のない世界の中で自分の頭で考えて行動することが大切です。

Transform:自分自身をアップデートするには、まずは何事にも挑戦しなければいけません。また、環境に大きな変化が起きた場合、その変化に自分自身も適応させていきましょう。

Collaborate:今までのように、決められた役割をこなすだけの時代はいずれ終焉を迎えます。今のうちに、自分を中心にどんどんボールを大きくしていってください。そして、ボールが大きくなるとどこかで他人のボールと重なる瞬間がくるはず。そうするとお互いにとって良い形で、イノベーションを起こすことができるはずです。

 

以上が、『個人力』のダイジェスト版です。続くトークセッションと視聴者からの質疑応答では、澤さんに、この講演を基にした質問に答えていただきました。(モデレーター:朝渋運営・うらたく

 

自分が好きなものや人を徹底的に分析し、言語化する

うらたく:お話を聞いていて思ったのは、全てのアクションの起源にあるものがBeingだということ。しかしこのBeingに対して「そもそも自分が何をしたいのか、どうありたいのかがわからない」との声も多いと思うので、まずはBeingを見つける方法を知りたいです。

澤:方法はいくつもありますし、見つけ方は人によって異なります。ふっと見つかることもあれば、少しずつ分かってくることもある。また、Beingがないからといって焦る必要もないし「自分はダメだ」と思う必要もありません。

一番よくないのは、やり方に固執してしまうこと。方法論を並べて、合っている、間違っていると議論することには意味がありません。

ただ、1つアドバイスをするならば、まずは一人、自分の憧れの人や、好きな人を見つけるといいです。そして、なぜ自分が憧れるのか、好きなのかを徹底的に、明確に言語化する。そのように自分の好きなものを少しずつ分解していくと、自分にとってのBeingのヒントに出会えるかもしれません。

 

あなたのBeingはあなたしか知らない

うらたく:澤さんは、20代の頃Beingを見つけるために、どのようなアクションを起こしていたんですか?

澤:実は、僕は20代の頃に自分と向き合ったことはほとんどありませんでした。僕の場合はDoingをしているうちに、Beingが見えてきたパターン。後ほど詳しくお話ししますが、「ギブ・ファースト」の考え方をもとに他者貢献をしていたら、自ずとBeingが明らかになってきたんです。

僕自身は、30代の半ばまで何者でもありませんでした。それどころか、20代の頃は自分に自信がない方だったと思います。ここ数年でやっと今までやってきたことが噛み合ってきて、方向性が見えてきた気がします。

うらたく:澤さんが日頃から提唱している「タグ付け」は、自分なりのBeingを見つけるための手段の1つなのでしょうか。

澤:タグ付けは、どちらかというとDoingの領域ですね。「私はこれが得意な人間です」とタグ付けすると、自然とそういった仕事が回ってくるようになります。

ただ、タグづけしたDoingと自分が目指すBeingにギャップがあると疲弊してしまいますから、自分がやりたくないことはタグづけをしない方がいいです。

うらたく:では、仮に「Doingで生計を立てているものの、Beingが別の方向を向いている」場合は、少しずつBeingにシフトしていった方がいいのでしょうか。

澤:うーん…。そのDoingにストレスを感じていないのであれば続ければいいし、そうでないのなら変えていけばいいのではないでしょうか。他人の価値基準を軸に「良い」「悪い」で判断してしまうことにはあまり意味がないと思っています。答えは自分の中にしかありませんから。

これと同様に、よく「私と似た事例を教えてください」と相談されることがありますが、他人の事例を知ることにもあまり意味はないと思っています。他人の人生とあなたの人生は別物ですから。

 

「ギブ・ファースト」がBeingをたぐり寄せる

うらたく:今、「DoingとBeingはなるべく一致させるほうがよい」という話がありましたが、とはいえ会社にいる限り、100%自分のやりたいことだけをやるわけにもいかないですよね。それでも会社にいると、個人ではできない体験ができるという点ではメリットも多いと思っていて。澤さんが会社にいた頃と個人で活動している現在、それぞれに感じているメリットや、心がけていることがあれば教えてください。

澤:僕がいたマイクロソフトは外資系ということもあって比較的自由な会社だったので、あまり窮屈に感じた覚えはありませんでした。しかし、たしかに会社にいる限り、自分のやりたいことができない状態に陥ることはあると思います。そんなときに大切なことは、阻害要因を言語化すること。そうすることで「会社はこういうところだから仕方ない」と我慢するのではなく、転職するとか異動届を出すとか、自分の環境を変える方法論に行き着けるはずです。

個人での活動に関していえば、僕がいつも言っている「ギブ・ファースト」の考え方の通り、自分が何かを提供できる場所を探すことが大切です。

キャンプをイメージしていただくと分かりやすいかもしれません。キャンプをするときは大抵の場合、明確に役割分担をするのではなく、なんとなく手が空いた人が動きますよね。「ちょっと薪を拾ってくるね」とか「水を汲んでくるよ」とか、自発的に動くことが多いと思います。個人での活動においては、それを先ほどお伝えしたコミュニティに置き換えて考えればいいんです。

うらたく:なるほど。会社のように明確な役割や肩書きの下で動くのではなく、まずは損得勘定を抜きに自分が貢献できる場所を探してみる、と。

澤:そうですね。このときに絶対にしないでほしい“日本人あるある”が、「正解が外にある」という考え方をすること。「自分の外側に何かマッチするものがあるのではないか」という探し方をすると、見つけたものを自分に合っていると思い込んでしまうことが多いからです。

と聞くと、「ギブ・ファースト」の考え方で自分が貢献できる場所を探すことも、一見外側に答えを探しているように思えるかもしれません。しかし、貢献は内側からの自発的なモチベーションがなければできないものであり、その意味で「ギブ・ファースト」は内側に対する働きかけだと考えています。

 

リセットのタイミングは切り替えのタイミング

うらたく:ちなみに、澤さんはなぜマイクロソフトを退社することに決めたのでしょうか。

澤:実は、今まで辞める理由が見当たらなかっただけで、会社を辞めること自体は随分前から決めていました。ですから、何か問題があったわけではありませんよ(笑)。

というか、僕はマイクロソフトに23年間勤め、そのうち最後の9年間は同じポジションにいました。これは、外資系企業にしては異常な長さといえるでしょう。そうしてずっと同じ場所に居続けた結果、今のポジションに慣れを感じてしまう自分がいました。そんなときCOVID-19が流行し始めて世界全体にリセットがかかったので、「環境を変えるなら今だ」と決意したんです。リセットのタイミングは切り替えのタイミングですから。

うらたく:これは、さっき仰っていた「これからの時代は、個人がボールを広げていくことが大切」という文脈にもつながってくるのでしょうか。

澤:そうですね。それに、僕が1997年にマイクロソフトへ転職できたのは、1995年にWindows95が登場してからすぐに自分でインターネットに関して勉強をしたから。あのときの経験から、リセットがかかった瞬間に動くことが何よりも大切だと知っています。

先ほども申し上げた通り、リセットがかかったときに、それまでの世界に逆行することはあり得ない。それはつまり、変化に逆らうことは時の流れに逆らうことと同じです。いずれ流れに飲み込まれてしまう瞬間が来るのなら、早めに動いてしまった方がいいじゃないですか。

そのことを、僕は今自分の身で証明しようとしているのかもしれないですね。

 

—— 流石の話術で、90分間視聴者を引きつけた澤さん。Beingを見つけるための方法として挙げていた「好きな人やものを徹底分解する」ことは、今日からすぐに実践できますね。

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