毎日のように新しい人と出会う営業、部署を超えて関係性を築かなければいけない広報…

どんな仕事でも、成果を出すためには「コミュ力」が必要。だから、「コミュ力」が足りない自分は仕事が向いていないんじゃないか、と不安に思ったことはありませんか?

そんななか、「コミュ力が低くても、人脈がなくても、仕事で成果は出せる!」と語るのは、『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術』を上梓された石倉秀明さん

自身のことを「コミュ障」経営者と称する石倉さんが実践する、人間関係がラクになる仕事術とは…?

【石倉 秀明(いしくら ひであき)さん】
700名超のメンバーがフルリモートで働いている株式会社キャスターの取締役COO。2005年、株式会社リクルートHRマーケティング入社。2009年には株式会社リブセンスに転職し、求人サイト「ジョブセンス」の事業責任者に。株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)を経て、2016年より現職。2019年7月からはかんたん募集サービス「bosyu」を運営するbosyuの責任者も兼任。

コミュニケーションにコンプレックスがあった

僕は、子どものころから周囲の空気を察したり、知らない人に話しかけたりするのが苦手で、学校では友だちができず、教室でもひとりで過ごしてきました。

ただ、大学を中退してからフリーターでテレアポの仕事をしていたとき、普通に成果を出せたんです。

その後、リクルートに入って営業をしていたときも、割と苦労をせずに成果を出すことができました。

営業の仕事って、「コミュ力」が必要そうですよね。僕もずっとそう思っていました。でもこの経験を経て、「コミュニケーション力と仕事で成果を出すことって違うんじゃないか」と考え始めるようになったんです。

一方で、世の中では「コミュ力」は大事とされていて、それが苦手だと「ダメな人」と捉えられてしまうことが多い。それって、いわば「呪縛」ですよね。

僕は、今でもコミュ力はないと思っているけれど、だからと言ってダメなことではないと自分で思えたので、今日は「コミュ力を使わずに仕事で成果を出す方法」についてお話ししたいと思います。

コミュ力にまつわる4つの発見

僕が仕事をするなかで、発見したことは下記の4つです。

①「コミュ力」と「コミュニケーション取れる」は別問題

「コミュ力」が何なのかと問われると、「話すのが上手」「人と打ち解けられる」「質問ができる」など、人によって百通りの答えがあるように、曖昧なものですよね。

それと、「コミュニケーションが取れる」のは別問題。コミュニケーションが取れるというのは、能力の問題というよりは、パターンを知り、技術を覚えてしまえばできることなんです。

②「仕事で成果出す」も関係ない

僕が営業でどうして成果を出せたかというと、徹底的にリスト管理をしたからなんです。

基本的に、電話をして人事担当や店長さんにいきなり繋がる確率は1/10ぐらいなんですけど、僕の場合はリスト管理をして4/10の確率で繋がるようにしました。

具体的には、電話をかけてみて繋がらない時間を全員記録して、各時間帯ごとにリストを作りました。そうすれば、あとはほぼ繋がるようになるので、別にトークがうまくなかったとしても、アポ取れる確率は4倍になるんですよ。

だから、僕は会社が用意してくれたトークスクリプトを丸暗記して淡々と案内してただけで、コミュ力を使わずして成約に繋げていました。

仕事で成果を出すには、どこを頑張ればいいのかを意識するのが大事なのであって、コミュ力を使わなくても、成果出せることがたくさんあるんですよ。

これは、一見コミュ力が必要な仕事でも同じです。

僕の数少ない友だちのなかに、スクランブル交差点で信号待ちしている間に、隣にいた人と仲良くなってそのまま飲みに行くぐらい、誰とでも仲良くなれるコミュ力の高い人がいるんですけど、営業時代、彼は僕の成績を上回ったことはないです。

そう考えると、コミュ力と成果を出すことは関係ないんだな、と思えませんか?

③仕事はコミュニケーションが取れればいい

僕は、仕事において必要なのは2つしかないと考えています。

相手が何を言ってるかが理解できる

・こちらが言いたいことが伝えられる

これだけで基本的に仕事は成立します。しかも、後天的なものだから、いくらでも鍛えることができます。

④人間関係<コミュニケーションを取る

いろいろな人にコミュニケーションにまつわるヒアリングをしたところ、もっとも多かった悩みは「相手がどう思うか不安だから、うまく話せない」というものでした。

コミュニケーションとしてうまく伝えられないのではなく、相手にどう思われるかを気にしてしまって、こっちがちゃんと話すべきなのに話せない人の方が多かったんです。

つまり、多くの人は、コミュニケーションが取れなくて悩んでいるのではなく、相手にどう思われるかで悩んでいるんですよ。

仕事においては、コミュニケーションが取れれば仕事は成立するし、失礼なことをしない限り人間関係は崩れない。だから、みんなはもっとコミュニケーションをとることに集中するべきなんです。

「苦手」は避けて「得意」で勝負しよう

では、具体的にどのように「コミュニケーション」を取っていけばいいのか。「コミュニケーション」のなかにも、要素分解していくとさまざまなものがあります。

大人数、初対面、対面、オンライン、電話…

それらに○×をつけていくと、全部「○」と答える人はいなくて、必ずグラデーションがあります。

「コミュ力」には高いも低いもなくて、得意分野が違うだけ、ということに気付くと、すごく楽になりますよ。

「苦手なことは努力して克服しよう」と言われるけど、僕はぶっちゃけ避ける方法をいつも考えています。苦手なことはかわして、得意なことだけをやるんです。

今回の本の中には、コミュニケーションを因数分解したチェック表を入れています。たとえば僕は、表を見ると「×」ばかりですが、テキストで話すのは得意なので、対面よりもメールやメッセージでコミュニケーションを取るようにしています。得意なことは基本的にできるから、自分のテンションも上がりますよ。

得意なことで勝負するために、因数分解とメタ認知をする

得意なことで勝負するには、苦手なことは何かを認知する必要があります。「自分はコミュ力があるかな」程度の解像度ではなく、もっと要素分解をして理解していきます。

たとえば、営業をするにもアポを取るのが苦手なのか、苦手なのは電話を繋げること自体なのか、繋がってからアポを取ることなのか、自分が何か得意で不得意なのかを分解して考えていくことが大事です。

これはコミュニケーションに限らず、あらゆる仕事で言えること。

苦手だと理解できたら、それをどうカバーするか、勝負の仕方を考えられるので、汎用性があるかと思います。競争に自分が入り込まないのが大事なんです。

仕事で言えば、たとえば年収が高い人がいたとしても、その業界が成長していて、事業の利益率が高くて、労働分配が高い会社が高いから年収が高いのであって、本人の実力とは関係ないところで決まることも多いんですよね。

自分の実力ではないところで決まるものを追っても仕方ない。だから、自分が1位でいられる場所を探して、そこで勝負するのが良いです。得意なことは、仕事を因数分解してみて、やっていて苦じゃないことで、自分が苦労せずにできることが良いと思います。

どんなに自分がやりたいことでも、結果が出ないことって絶対に続かないから、自分が勝負をしなくても成果が出ることのほうが、精神衛生上メリットだと思っています。

仕事は、「やりたい」と言っている人よりも、結果を出している人が任されるから、本当に自分のやりたいことをやりたかったら、一番短い期間で成果を出せるところに行くのが良いと思います。特に転職して3ヶ月は、その人に対する視聴率が高い期間なので、ここで成果を出すのが重要です。

僕はDeNA入ったときも、一番最短で結果が出そうな部署を選びましたから(笑)。

因数分解で「悩み」を「課題」に変える

僕はあらゆることを「因数分解」して考える癖があるのですが、解決策が思いつかないことって、悩みになっちゃうからなんですよ。

でも、解決策が思いつくと、それは悩みではなく課題や問題になる。だから、いかに悩みを減らして、考えれば答えが出そうな課題にしてあげることが大事です。

どうして悩みになるかというと、「問い」がなくてフワッとしているから。それを明確にするために、全部書き出して分解をして、「気付く」ことが大切です。

このとき、できれば抽象的な言葉を使わずに、具体的な事象で書くのがポイント。書きながら整理する人が多いけれど、考えるときはとりあえず出し切ってみるほうが大事なんです。MECE(ミーシー)に綺麗に切れないことも多いので。

自分の仕事を分解してみて、得意や苦手なことを明確にしてみると、いろんな気付きがあるので、ぜひやってみてください!

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石倉さんの著書『コミュ力なんていらない 人間関係がラクになる空気を読まない仕事術』には、自分のコミュ力を分析するためのチェックシートを始め、今まで「コミュ力がないから…」と自信をなくしていた人たちが前向きに仕事に取り組められるようなヒントがたくさん詰まっています。

コミュ力の他、トークセッションでは下記のようなテーマでお話していただきました!

・「準備力」について
・人との距離感の取り方で気をつけていること
・仕事を依頼したくなる人の特徴

全編をご覧になりたい方は、ぜひ朝渋へ。「朝」から人生を変えてみませんか?

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