「自由に生きる」—— 誰もが憧れる甘美な響きですが、現実にはさまざまなしがらみや障害があります。なかでも最も多くの人が悩んでいるのが「お金」の問題。自由に生きるためにはお金が必要ですが、お金を稼ぐためには自由に生きてばかりいられない。そんな悪循環が起きています。

そこで、今回の朝渋では、今年10月に『これからのお金の教科書』を上梓した田端信太郎さんをお呼びしました。田端さんは、これまで数々の成長企業で実績を築きながら、副業でサラリーマンとして得た知見をシェアすることで、多くのファンを獲得してきました。独立した現在は「好きなことをやりながら、不自由ない暮らしができている」そうです。充実した仕事に、豊かな暮らし。まさに誰もが憧れる「自由な生き方」を実現している田端さんは、これまでどのような考え方を持ち、行動をしてきたのでしょうか。『これからのお金の教科書』に基づき、お話いただきました。

 

 

田端信太郎(たばた・しんたろう)さん

オンラインサロン「田端大学」塾長。
1975年石川県生まれ、慶應義塾大学経済学部卒業。NTTデータを経てリクルートへ、フリーマガジン「R25」を立ち上げる。
2005年、ライブドア入社、livedoorニュースを統括。
2010年からコンデナスト・デジタルでBOGUE、GQ JAPAN、WIREDなどのWebサイトとデジタルマガジンの収益化を推進。
2012年NHN Japan(現LINE)執行役員に就任。その後、上級執行役員として法人ビジネスを担当し、2018年2月末に同社を退社。その後株式会社ZOZO、コミュニケーションデザイン室長に就任。
2019円12月退任を発表。
著書に『これからの会社員の教科書』(SBクリエイティブ)、『ブランド人になれ!』(幻冬舎)他。

 

自由に生きるためには「お金」が必要

田端:はじめに、今回この本を出版した動機をお話ししますね。

僕が人生で一番大切にしていることは「自分がやりたいことを仕事にして自由に生きること」です。だからこそ、副業として働き方や転職といった領域でコンテンツ発信をしています。なかでも、今までは特に、サラリーマンでも自由に働けることを立証したいと強く想っていました。というのも、起業や自営業をしている方が「自由で格好いい」イメージを持たれているのに対し、サラリーマンは「毎日満員電車に揺られ、やりたくない仕事をしている」といったマイナスイメージを持たれがちだからです。しかし、実際はサラリーマンの方が自由に働けるケースも多くあります。昨年の12月に出版した『これからの会社員の教科書』は、そんな思いからつくった本でした。

しかし、次第に「自由に生きられない」と悩む方のうち、約半分の方は「お金がないからできない」や「本当は転職したいけど年収が下がるからできない」といった不安を抱えていることに気づきます。本当にやりたいことを実現する上で、お金の問題がネックになっている方が多いのです。そこで、今回『これからのお金の教科書』を出版しようと決めました。

幸いなことに、僕自身、お金には不自由しない生活を送ることができています。この本を読んでも、ビル・ゲイツやジェフ・ベゾスのような大富豪にはなれないかもしれませんが、「自分がしたいことを自由にできるお金持ち」には近づけるはずです。

 

増やそうと思った瞬間、お金は「資本」に変わる

田端:前置きはこれくらいにして、もっと大きな「経済」のお話をしましょう。

今、日本は政治に関して民主主義をとっていますが、世界にはそうでない国もありますよね。たとえば中国は共産党の一党独裁ですし、サウジアラビアは絶対君主制をとっています。でも、日本も中国もサウジアラビアも、経済において「資本主義」という点は同じです。かつては政治における民主主義と、経済における資本主義はセットでしたが、現在は民主主義以上に資本主義が世界中を覆っているのです。

では、資本主義とは何か。「主義」とは一番大切なものを指しますから、資本主義では資本家がメインプレイヤーとなります。資本家というと「お金をたくさん持っている人」をイメージするかもしれませんが、そうとは限りません。たとえば「タンスの中に現金100億円を持っている寝たきりで動けないお年寄りを資本家だと思うか」という問いを投げかけると、多くの人はノーと答えます。しかし「この人を資産家だと思うか」という質問に対しては、ほとんどの人がイエスと答えるのです。これは一体、なぜでしょうか。

マルクス経済における「資本」の定義は「増殖する価値の運動体」です。つまり「より多くのお金に化けよう」と意志を持って使われた瞬間、お金は資本に変わるんです。金額の大小は関係ありません。逆に言えば、増やす意志さえあれば誰でも投資家になれるのです。

 

1000円だって立派な資本

田端:資本の話に関連して、お話ししたいエピソードが一つ。

僕には小学5年生の息子がいまして、HIKAKINさんが大好きなんです。1年ほど前に、HIKAKINさんが動画内でセブンイレブンの『おいしさまるごとナチュラルポテト』を絶賛したことがあって。その結果、全国のセブンイレブンで品切れ続出となり、一個200円のスナック菓子が1000円、2000円で転売される現象が起きたんです。その様子を見ていた息子は「パパ、見て!HIKAKINすごいね!」なんて言っていたんですけど、僕ははしゃぐ息子をよそに、HIKAKINさんのとあるエピソードを思い出しました。

HIKAKINさんは元々新潟に住んでおり、社員寮に住みながらスーパーの店員をやっていたんですよ。当然、当時は給料も高くないですし、豊かな暮らしとは言えなかったそうです。それでも、YouTuberを目指していたHIKAKINさんは、わずかなボーナスをYouTube用の機材に回すため、仲間からの飲み会の誘いを断っていたとか。当時はYouTuberという概念も浸透していませんでしたから、「俺はYouTuberとしてスターになって飯を食う」と豪語するHIKAKINさんを、周囲は馬鹿にしていました。当時の常識からすればこの反応は当然ですが、そんな周囲に流されず、HIKAKINさんはボーナス10万円を機材に投資したわけです。それが今や、誰もが知るトップYouTuber。これって、たかだか10万円かもしれないですけど、立派な資本だと思いませんか?

だから「HIKAKINすごいね」とはしゃぐ息子に、僕は「なんでお小遣いを持ってすぐにセブンイレブンに行かないんだ!」と言いました(笑)。こういうときにすぐに動く人と、ただ見ているだけの人とで差がつくんだぞ、と。ポテチを5袋買うための1000円が、もしかしたら5000円になっていたかもしれないのですから、1000円だって立派な資本になるのです。

 

お金だけが資本じゃない

田端:さらにいえば、資本はお金とは限りません。

たとえば、僕が最近引っ越した港区で、ピザ屋を開こうと思ったとします。ホームセンターで材料を買ってきてピザ窯を自作し、路面で焼き立てのピザを売れば、結構売れそうじゃないですか。ここでかかる「お金」だけを資本とするのなら、このとき必要な資本はせいぜいピザ窯をつくるための材料費数万円です。しかし、実際にピザ屋を開くには、ピザ職人としてのノウハウが必要ですし、そのノウハウを得るため、過去に留学をした可能性もありますよね。このように、継続的に自分を優位に立たせてくれて、自分にお金をもたらしてくれるものは無形のものでも資本といえます。学歴も、職歴も、経験も、ノウハウも資本なのです。

言い換えれば「資本」になる者は、積み重ねることができるもの全て。たとえば、8時間働いて3万円をもらえる仕事があり、金額だけを見れば悪くはない案件ですが、行う仕事は頭脳を使わない肉体労働だったとします。この場合、たしかにその時々でお金は手にできるかもしれませんが、手元に残る「資本」はありません。積み重ねて価値を出せるスキルや経験が手に入らないからです。

 

「お金持ち」は、長期的な資本のために働ける人

田端:さらに「資本」は、最近注目の副業にも活かすことができます。副業を選ぶ際に、本業で得た資本を活かせるものを選ぶのです。時間や場所に縛られず、固定費や原価がかからないものだとなお最高ですね。

……とお話をすると「そう簡単な話ではない」と感じる方もいるかもしれませんが、本当に、それほど難しいことではありません。たとえば、僕の本業がタクシー運転手であれば「突然雨が降った日のための、都心でタクシーを捕まえやすいスポット5選」といった趣旨のnoteを書いて売るでしょうね。これは現役のタクシー運転手ならではの資本を活かし、且つ時間を切り売りせず、固定費も原価もないビジネス。タクシー運転手としてのインサイドストーリーに付加価値をつけた好事例です。常に胸に手を当てて「今やっていることは自分の資本になるのか」「自分の資本を活かせているのか」を考えて行動するといいですよ。

実際、僕は、個別のコンサルティングを依頼された場合「この案件は田端が担当しました」と言わせてもらうことを条件に引き受けています。なぜなら、自分の実績として積み上げられないものは資本にならないから。お金持ちになるには、長期的な資本のために働かなくてはいけません。その日暮らしで目の前のキャッシュを優先してしまうと、ずっと貧乏なままなのです。

 

お金は、お金以上の価値を手にできる

5時こーじ:『これからのお金の教科書』では「お金の使い方の美学」が重要なテーマになっていますよね。田端さんは、の新入社員だった頃と、リクルートに転職しお金が貯まってきた頃を比べて、お金の使い方の美学に変化はありましたか?

田端:僕の大好きなキャッチコピーに「お金で買えない価値がある、買えるものはマスターカードで」というフレーズがあります。NTTデータからリクルートに転職し、給料が1.5倍くらいになったタイミングで、このキャッチコピーにもある「お金では買えない価値」を考えるようになりました。

たとえば、当時は20代半ばだったので若者らしく合コンの話をすると、お会計の際に男性陣同士で空気の読み合いみたいになるんですよ(笑)。男性:女性=3:3の合コンで、総額3万円の場合、大抵女性から2000円ずつもらう雰囲気になる。でも、僕は内心「2000円もらう必要ある?」と思っていました。どうせ8000円は払うのに、追加のたった2000円をケチるだけで、女性からのイメージが下がるからです。「この人素敵だな」「この人は頼りがいがあるな」といったイメージは、お金で買い戻すことはできないんですよ。

年末になると話題になる忘年会も同様です。忘年会は世間から嫌われがちですが、僕は嫌われている理由が分からなかった。なぜなら、自分が部下だったときに忘年会で1円も出したことがないからです。会社の経費で落とすか、あるいはその部署のトップが全額出すのが当たり前だと思っていました。しかし、どうやら世の中の忘年会の8割は会費制だということを知って「そりゃ、嫌われるよな」と(笑)。

勿論、人によって経済状況や家庭環境は様々ですから、現実はそう簡単にはいかないかもしれません。しかし、ここでお金を払い渋ることによって、中長期的なつながりを持つ部下との関係値を失っていることはたしかです。お金で買えない価値をみすみす捨てている典型例だとは思います。

 

「自分の時給」を考える

5時こーじ:「時は金なり」という言葉があるように、時間の使い方もお金の使い方と同様に大切だと思います。田端さんは、20代の頃から現在に至るまで、時間に対してはどのような意識を持ってきましたか?

田端:時間の正しい使い方について考えるときは、単なる時短術ではなく、「時間の為替レート」を考えるといいです。つまり「自分は時給何円の人間か」を考えて行動するのです。たとえば年収1000万円の人の労働時間が年2000時間だとしたら、時給は5000円。その人が毎日1時間電車に揺られていたら、電車に乗っているだけで5000円を払っているのと同じです。

僕は鎌倉に住んでいた頃、鎌倉から渋谷まで湘南新宿ラインのグリーン車を使用していました。片道700円で、きちんと座ってパソコンを広げて仕事ができるのなら、すし詰めの一般車両で時給5000円分の1時間を失うよりいいじゃないですか。このように機会費用まで考慮して行動できる人は、「時間の使い方が上手」といえるのではないでしょうか。

トークセッションでは、このほかにも「年収1000万を目標にしがち」「貯金するか使うか?」といったテーマでお話いただきました。

さらに、冒頭で「お金の使い方やお金に対する考え方は、人それぞれの経済状況や環境によっても異なるので一概には言えない」と語っていた田端さんは、今回、視聴者が顔出しで参加する「公開お金相談会」を企画。今は懐かしきリアルイベントを思い出させる視聴者巻き込み型の企画に、参加者も盛り上がっていました。イベント全編は朝渋にて公開中です!

 

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