朝渋は2021年2月、デザインとブランドエクスペリエンスをリニューアルしました。

前回の記事では、朝渋リニューアル報告の前編として、主にデザインへのこだわりをご紹介しました。

今回の記事では、朝渋がリモート全盛になったことで、『朝渋』というコミュニティが、どう変わったかを振り返りながら、これからの朝渋の目指す姿について、5時こーじがお届けします。

(本記事は、5時こーじnoteの内容の転載です)

リモートにおけるコミュニティの価値

おはようございます。
22時に寝て5時に起きる、5時こーじです。

『朝渋』という早起きの習慣化を目指すコミュニティを運営して4年。渋谷を拠点に朝活を楽しむコミュニティとしてスタートした朝渋ですが、現在は全国にいるメンバーと朝活を楽しんでいます。

そのなかで、2020年は大きな変化に迫られる一年でした。

それまで、コミュニティにとって「リアルな場でメンバー同士が会うこと」が重要と考えていました。オフラインの場で関係をつくり、オンラインで関係を深める。この循環が心理的安全性の高いコミュニティをつくる上で大切で、出発点となるオフラインイベントをどのように設計するかが、コミュニティ運営者の腕の見せ所と思っていました。

そもそも朝渋は、朝7:30に渋谷に集まり、話題の本の著者をゲストに招いたり、「オフ会」と称して各々の活動を共有したりと、熱量の高いイベントを通勤や通学前に行うことで、多くの人から関心をもらえるようになったコミュニティです。オフラインイベントは、朝を活用する価値を伝える最も有効な手段でしたし、朝渋の大きな魅力となっていました。

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それが、新型コロナウイルスの感染拡大により、オフラインのイベントは軒並み自粛。最初はコロナが落ち着くまでの辛抱だと思っていましたが、途中から考え方を変えました。

「オンラインのみの状態で、朝渋らしさを失わないためには、どうすればいいか…?」

そこで、コミュニティのあり方を大きく見直しました。今、朝渋は新しい姿になり、ぼくが実現させたかった「早起き習慣を身につける人を、ひとりでも多く増やす」という本質に立ち返っているようにも思います。

この記事では、リモート全盛になったことで、『朝渋』というコミュニティが、どう変わったかを紹介します。

環境が変化したことで、コミュニティの運営のやり方に悩むコミュニティマネージャーはもちろん、「会社」や「組織」で文化づくりやメンバー間のコミュニケーションを促す方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。

 

そもそも朝渋は、どんな活動をしていたのか?

はじめに、簡単に朝渋の活動を紹介させてください。朝渋は、3つの活動を並行して行ってきました。

(1)キャンパスコース

早起きに目覚めた人たちが集う村、共同体のようなコミュニティです。現在150名程度のメンバーが参加しています。毎日寝る時間/起きる時間をチームでシェアしたり、朝を楽しむための部活に参加したり、ここで出会ったメンバーと活動をしたりと、様々な活動が行われています。

(2)朝渋KNOCK

約2ヶ月で早起きの習慣化を本気で目指す、短期集中型プログラムで、ライザップの早起き版のようなイメージです。2019年10月から始まり、これまで6回、のべ120人以上の卒業生を送り出してきました。朝渋KNOCKを卒業した大半の人が、キャンパスコースに加わるので、ある種、朝渋の新人研修のような立ち位置です。

(3)アカデミーコース

もともと『朝渋ONLINE』と呼んでいたもので、著者や経営者などのゲストを迎える朝のトークイベントを、朝に渋谷に来れない人も見たいという要望が多かったので、月2,000円でイベントの配信動画が見れるというものです。これは、多い時は300人くらいが加入してくれていて、日本全国だけでなく、海外からも参加してくれる人もいました。

このうち、理由は後述しますが、(3)のアカデミーコースは廃止し、朝渋が主催するイベントは、オンラインで無料開放していきます。

また、「コース」といった名称をやめ、(1)のキャンパスコースを改めて『朝渋』とし、全国の仲間とオンラインを中心に朝活を楽しむコミュニティにしました。

また、(2)の『朝渋KNOCK』は、引き続き、継続していきます。実は、全てのプログラムをオンラインで実施するようになってからも、朝渋KNOCKの参加者からの満足度は非常に高く、卒業生たちが朝渋を盛り上げてくれています。

『朝渋KNOCK』で早起き習慣を身につけ、『朝渋』でメンバーと一緒に朝活を継続していく。シンプルに、この活動に注力していくことに決めたのです。

 

入魂のプログラムが、コロナで活動断念の危機

先ほど、『朝渋KNOCK』は参加者からの満足度が高いと言いましたが、このプログラムも以前はオフラインに軸を置いているプログラムでした。

3ヶ月で早起き習慣を身につけてもらうために、期間中の隔週土曜は、参加者は渋谷に集まってもらい、様々なアクティビティをします。早起きができたかどうかの振り返りもメンバー同士で行い、早起きを挫折しないよう励ましあえる工夫を入れていました。

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やはり、メンバーと会うと、初心を思い出したり、モチベーションが再点火します。この定期的な集まりのおかげで、メンバーとの関係が深まり、早起き習慣を身につけることができたと、多くの卒業生が言ってくれています。

そもそも朝渋KNOCKは、朝渋に加入しても、早起き習慣が身につかないまま退会してしまう人が少なくなく、それを何とかしたい思いで立ち上げたプログラムです。ぼく自身、メンバーと直接顔を合わせて、早起きの価値や早起きのメソッドを最大限伝えたいという思いで参加していました。

2019年10月から『朝渋KNOCK』の第1期が、2020年1月から第2期が始まり、参加者アンケートを見ても、満足度は非常に高いものとなっていました。ぼくは、このプログラムに確かな手応えを感じていました。

そんな時に、新型コロナウイルスの感染拡大です。これまで通りの『朝渋KNOCK』を実施することはできません。掴みかけていた光が、急速に消えていく感覚でした。

ただ、くすぶっていても仕方ありません。

これまでオフラインで行っていた活動を全てオンラインに変え、渋谷に来れない人でも参加できる全国版『朝渋KNOCK』を実施することにしました。

 

オンラインで早起き習慣化をどうサポートするか?

『朝渋KNOCK』はオンラインに移行するにあたり、特に考えたポイントは、オフライン時のような密度の高いコミュニケーションを、どうオンラインで実現できるかです。

色々な試行錯誤を重ねながら、ぼくらが行っていることを紹介します。

【1】オリエンテーションの実施

プログラム開始1週間前に、オンラインでオリエンテーションを実施しています。朝渋KNOCKで大切にしていることを運営側から伝えたり、メンバー同士で参加理由、意気込みなどをシェアしています。

【2】チームごとに毎日「おはよう」「おやすみ」を宣言

5〜6名でチームとなり、毎日の寝る時間と起きる時間を宣言し、「おはよう」や「おやすみ」を言い合います。チームメンバーと関係を深めながら、お互いに励ましあい、習慣化を促進していきます。

【3】モーニングログの活用

朝渋では「モーニングログ」というGoogleスプレッドシートを用意しています。日報のようなイメージで、毎日の寝る時間・起きる時間を記録しながら、早起きの習慣化における自分の課題を考えていきます。モーニングログはチームメンバーとも共有します。

ぼくは、参加メンバー全員のモーニングログを読み、赤ペン先生のようにコメントを入れさせてもらい、みんなの早起きの習慣化を応援します。この半年間、モーニングログを読むことが日課となっています。

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【4】毎週土曜朝にKNOCK特別講義イベントを開催

朝渋KNOCK開始後の最初の約1ヶ月は、毎週土曜の午前中に、自己理解を深め、早起きの習慣化のモチベーションを高めるオンライン講座を開催しています。全5回で、コーチングのプロが教える習慣力、ストレングスファインダーから学ぶ自分の才能を使いこなす方法、コピーライターが教える自己理念の作り方などをテーマにしています。

【5】毎週月曜の7:30-8:30に「もくもく自習」を開催

一週間を気持ちよくスタートするために、月曜日の朝にオンラインで集まるようにしています。先週の振り返りをしたり、それぞれ作業・読書などに時間を使います。

【6】毎週水曜朝に新しい価値観に触れるイベントを開催

毎週水曜日はインプットのため、様々なゲストから、新しい価値観や仕事・人生のヒントを学ぶプログラムを実施しています。これまで「朝渋イベント」と呼んで、渋谷で朝7:30から開催していたイベントをオンラインにしたものとなります。

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【7】オンラインモーニング

1ヶ月が完了したら、オンラインモーニングを実施します。オンライン越しに一緒にモーニングを食べながら、チームメンバー同士で振り返りをします。

画像10【8】1on1の実施

プログラムが開始して2ヶ月経った段階で、私5時こーじと1on1でオンラインで話す場を設けています。これまでの生活リズムを振り返ったり、朝渋KNOCKのプログラムへのフィードバックなどを聞かせてもらっています。

……と、ここに書ききれていないものもありますが、以上が、現時点で『朝渋KNOCK』で力を入れている取り組みです。

 

コミュニティを活性化していく細かい工夫

また、コミュニティである『朝渋』のほうも、リモート全盛になることで、文字通りのオンラインコミュニティへと完全に移行しました。

実は、新型コロナの感染拡大が始まる前には約150名のメンバーがいたのが、夏には約80名まで減りました。前述したように、朝に集まって活動をすることが、新しい仲間との出会いを生んだり、部活動を盛り上げる大きな要因だったため、オフラインが失われてから、コミュニティから熱が徐々に失われていくことを感じていました。

それで、夏頃に意識を完全に変え、「オンラインで朝渋を活性化させていくためには、どうすればいいか」を考え、実行してきました。ぼくらが行ってきたことを紹介します。

【1】slackの導入

Slackにすることで「1:n」から「n:n」のコミュニケーションに変わり、メンバー同士の交流が活発になりました。有志を募って部活などを立ち上げたり、ちょっとしたことを他のメンバーに相談するメンバーが増えました。

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【2】コミュニティ入会者向けのオリエンMTG

リアルではなく、オンラインでコミュニティに馴染んでいくのは結構難しいです。なので、月に2回、新人向けのオリエンmtgをしています。Slackの使い方や、朝渋コミュニティに楽しみ方をシェアすることで、入会した月からすぐに楽しめるようにサポートしています。

【3】オンラインでも楽しめる、朝の部活動

朝渋では、メンバーが好きなことや得意なことを持ち寄り、自主的に部活動を立ち上げてきました。その数なんと30以上。コロナ前までは、オフラインで集まって楽しむ部活動ばかりだったのですが、現在はオンラインでも楽しめる部活が増えています。

例えば、毎朝5時から作業する作業部や、毎週好きな本を一冊持ち寄って読書するシェア読部など、毎月様々な部活が盛り上がっています。

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【4】メンバーに運営チームに入ってもらい、3ヶ月ごとに交代

コミュニティをより良くするために、メンバーに運営チームに入ってもらい、メンバーは3ヶ月ごとに交代するようにしています。メンバー視点を運営に取り入れたいのと、運営を一度経験してもらうことで、コミュニティを自分でつくっていく感覚を持ってもらえたらと思い、やっています。

【5】クレドの策定

100人を超えてくると「朝渋らしさ」を共有していく共通言語が必要かと思い、クレドを作りました。毎月のオフ会などでクレドを話し合うことで、一つ一つの行動が朝渋らしいのか、そうではないのかが皆でわかるようになってきました。

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【6】入会3ヶ月後モーニング

5時こーじ主催の入会3ヶ月後のメンバとのオンラインモーニング。同じ月に入会したメンバーと朝渋の楽しみ方やこれからの楽しみ方など楽しく会話しています。

【7】Slackでの「ゆるぼチャンネル」

やりたいことはすぐに実行していく。朝渋では、slackの「ゆるぼチャンネル」にて自発的にコンテンツを投げかけ、活動の幅を広げています。ちなみに画像の「お写り部」は立ち上げて2週間後に、鎌倉でのフォトウォーキング会が実施されたとか。私自身もどんな活動が行われているのか追いきれなくなってくるほどです。

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……と、ここに書ききれていないものもありますが、このような工夫を朝渋では行っています。

メンバーも夏頃には約80人くらいまで減りましたが、その後、朝渋KNOCKの卒業生たちが新たに加わったりで、現在は約150名のメンバーが朝渋に参加しています。Slack上でのコミュニケーション量も多く、コミュニティに活気が生まれていることを感じています。

また、オンラインに完全移行したことで、全国から参加できるようになり、メンバーの多様性が増え、コミュニティとしての面白さが増したように感じます。様々な個性をもったメンバーが、それぞれのやり方でコミュニティを楽しんでいけるように、これからも工夫を凝らしていきます。

 

カイゼンのためにやっている工夫

コミュニティは現状維持が衰退だと考えています。どんどんメンバーの特性を活かしながら、変化していくのが理想だと考えています。基本は下記3点をもとに小さなカイゼンを繰り返しています。

・運営mtgを月1で開催。
・毎日朝1時間で全てのslackに目を通す
・部活やモーニングなどに積極的に参加する

コミュニティはトップダウンで物事が決まっていくと、メンバーの想いが離れていきます(過去何度も失敗した)。メンバーが増えていくと全てをキャッチアップするのが難しくなってきますが、情報を可視化したり、運営メンバーに権限移譲したりと、「管理」から「並走」していくことが大事だと感じています。

現在は150名のコミュニティですが、300人、1000人になっても今の盛り上がりが継続するような仕組みを用意できたらいいなと思っています。

 

リモート全盛の今だから、朝渋は価値を発揮したい

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「朝渋KNOCKと朝渋コミュニティを通じて、早起きできる人をひとりでも増やす」

ぼくがやりたいことはこれで、オンラインを活用することで、早起きの輪を渋谷から全国に広げていける体制が徐々に整ってきています。

早起きをしたい人は、シンプルに、朝渋KNOCKか朝渋コミュニティに加入してほしい。そう思い、『アカデミーコース』は廃止することにしました。

アカデミーコースは月2,000円で、イベントの動画配信が見れるプランですが、早起きをしたい人というより、朝渋が主催するゲストを呼んだトークイベントに興味がある人の利用が多く、アカデミーコースの参加者に早起きを促すことが困難であることを悟りました。

それよりも、早起き習慣を身につけたくて、朝渋KNOCKや朝渋に入会してくれた人のサポートを手厚くしていきたい。そう考えました。

今、リモート全盛になり、決まった時間に通勤・通学することが消え、生活リズムを整えるのが難しいという声をよく聞きます。また、外出ができないことで、人と出会う機会が減ったという声も耳にします。

こういう状況だからこそ、生活リズムを一緒に整える仲間をつくり、新しい出会いを生むコミュニティとして、朝渋は価値を発揮していかなければと使命感を感じています。

今後、ぼくのnoteでは、朝渋でどんなトライ・アンド・エラーをしているかを定期的にシェアしていく予定です。リモート全盛の中、オンラインで「組織」や「コミュニティ」をどう活性化させていくかについて考える方の何か参考になれば幸いです。

<編集協力:井手桂司

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