すっかり「個の時代」という言葉も定着し、会社の枠組みを超えた活動が一般的になってきた現代。

いま改めて考え直されている「個」と「チーム」の関係性について、リンクアンドモチベーション取締役の麻野耕司さんは「個とチームは対立関係ではない」と言います。

麻野さんの著書『THE TEAM』と朝渋のコラボイベント企画の第4弾である今回は、チーム作りのための5つの法則「A・B・C・D・E」のなかから、人員選定(Boarding)についてまとめた「Bの法則 ~ 戦える仲間を選べ~」にフォーカスした。

ゲストには、大ヒットマンガ『ドラゴン桜』の主人公であり、人材育成のプロフェッショナルでもある桜木建二さんにお越しいただき、「個の時代」と言われる現代のチームへの関わり方についてお話ししていただきました。

<文=須崎 千春>

【麻野 耕司(あさの・こうじ)】リンクアンドモチベーション取締役・ヴォーカーズ取締役副社長。慶應義塾大学卒業後、リンクアンドモチベーションに入社。中小ベンチャー企業向け組織人事コンサルティング事業の執行役員に当時最年少で着任し、新規事業として国内初の組織開発クラウド「モチベーションクラウド」を立ち上げる。2018年10月にヴォーカーズ取締役副社長に就任。

(C) 三田紀房 / コルク

【桜木建二(さくらぎ・けんじ)】元暴走族の弁護士。経営破綻状態となった落ちこぼれ高校、私立龍山高等学校の運営問題を請け負うこととなった。平均偏差値36の高校生を相手に勉強のノウハウを伝授し、東京大学へ現役合格させる。公式YouTubeチャンネル「ドラゴン桜チャンネル」:https://bit.ly/2GGGjfk

“個の力”が活きる「個」と「チーム」の関係性

本イベントでは『THE TEAM』にあるチームの作り方「Bの法則ー戦える仲間を選べ」を解説。まずは「個とチームの関係性」を解き明かし、これからのチームや個人に求められることを麻野さんが伝えます。

麻野さん
チームの作り方をまとめた本『THE TEAM』を出版しましたが、「個の時代なのに、なぜチームなんですか?」と質問をいただいたことがあります。ぼくはまずこの言葉を聞いて「個とチームは対立するものではない」と答えました。

例えば、ぼくは「企画が得意で運用が苦手」だったとします。そしてA君は「企画が苦手で運用が得意」だったとします。そしたら、A君の苦手な「企画」をぼくが担当して、ぼくが苦手な「運用」をA君が担当すれば、一人で仕事をするよりも彼と仕事をした方が集中できますし、パフォーマンスも上がりますよね。

すると「1+1=”2以上”」になり、「チームによって個が生かされる」のです。

なので「個」と「チーム」の関係性が誤解されてしまうことは、非常にもったいない。この100年間の社会科学の研究では、経営学・心理学・社会学などで「チームの力」を論理的に解き明かすだけの材料が揃っているくらい、「個」と「チーム」は密接に関係しています

麻野さん
そして、これからは「会社の枠を超えて人材を集めること」が求められていくでしょう。例えばぼくの会社でも、チームの半分くらいは社員ではない人たちです。人材の流動化が進み、いろんな人とチームが組めるようになっているおかげで、短期間で今までなかったようなITのビジネスができています。

その上で、個人は「声がかかるような自分の武器を磨く」ことが大切です。プロジェクトごとに必要な人材や一緒に動きたい人が変わる中で、離れたところから声がかかるような人材になること。要は、自分の強みを明確に持つことが大切なのです。

強みがある人はプロジェクトに呼ばれるようになりますし、逆に強みがない人はこれからの時代で声がかからない人になっていきます。なので、これからは自分の強みを作っていく、強みを出していくことが「新しい個の時代」に必要になるんです。

『ドラゴン桜』桜木建二が解説する「心理的安全性」

(C) 三田紀房 / コルク

麻野さん
そして今日は、ドラマ化もされている大ヒット漫画『ドラゴン桜』の主人公で弁護士の桜木建二先生をゲストにむかえ、「これからの個とチームの関わり方」をお話します。まずは桜木先生が解説する、チームを作る上で重要な「心理的安全性」についての動画があるので、見てみましょう。

 ▼動画はこちらから▼

動画では「チームの心理的安全性を脅かす4つの不安」を解説。

  1. 無知だと思われる不安
  2. 無能だと思われる不安
  3. 邪魔だと思われる不安
  4. 批判的と思わるのではないかという不安

ここから桜木先生が登場し、麻野さんのトークセッションがスタートしました!

「会社をやめると”悪”」はもう古い!新陳代謝の重要性

麻野さん
今回は「B(Boarding)の法則ー戦える仲間を選べ」がテーマですが、最初に「チームから人が離れることへの誤解」について話します。まず、『THE TEAM』では「チームから離れること」「会社をやめること」に対するマイナスなイメージについて「必ずしもマイナスではない」と書きました

例えば、会社の創業メンバーがやめたらみなさんはどう思うでしょうか。桜木先生はどうお考えですか?

(C) 三田紀房 / コルク

桜木さん
まず、創業を「メンバーと一緒に最後まで努力するプロジェクト」と考えるから、別れが苦しくなるんだ。

チームから創業メンバーが離れたのは、そのメンバーが「会社を創業するプロジェクト」にいたからであり、そのプロジェクトが終わったからだと考えるといいだろう。

そして次のフェーズでは「会社を拡大するプロジェクト」が始まり、また新しいメンバーが入ってくる。それだけだ。

麻野さん
わかりやすい!これまでの価値観だと、創業メンバーが離れることを「悲劇」だと思う人が多いですよね。「一緒に会社を立ち上げた仲間が去ったんだ」と、チームとその仲間に不幸なことが起きたような捉え方になってしまうんです。

この価値観は日本ではまだ根強く残っていますが、ぼくはその価値観を変えたほうがいいと思っています。なぜなら、プロジェクトが終わりメンバーが離れることは普通だし、むしろ「プロジェクトが終わる」のはハッピーなこと。桜木先生が言うように、プロジェクトと捉えるとわかりやすいです。

映画の『オーシャンズ11』のようなチームがイメージとしては近くて、彼らは共通の目的があった時だけ集まってきて、その目的が達成されると直ぐに解散しますよね。新陳代謝が早い。『ゴッドファーザー』のような、チームに入ったら永遠に忠誠を誓うことがカッコいいという時代ではなくなってきたと思うんです。

これからは、メンバーが入れ替わることを「当たり前だよね」と思えるようなチームの作り方をしなければいけないですし、メンバーもそのチームの在り方に慣れていかないとダメですよね。

桜木さん
仕事だけではなく「結婚のあり方」も、今後変わっていくはずだ。例えば、60歳で子育てや家族を作ることを終えて次の人生をスタートするときに、別な伴侶と一緒になることだってあり得る。

「最初に籍を入れた人と一生一緒にいることが幸せ」というのは、戦後1950年以降の価値観なんだ。

さらに、教育の価値観も「規範に従って行動できる人材を育てること」から「変化できる人材を育てること」に変わり始めている。変化に対応できる、自分で考えられる人材を育てられるように、これから入試制度も改定していくだろう。

「チームにどう貢献できるか」を証明する「Be」が大切

麻野さん
これから色んなチームで色んなメンバーと仕事をする「変化に対応できる人材」になるために、何が大事なんでしょうか?

桜木さん
そうだな、これからは自分の「Be」を大切にすることが重要になるだろう。

昔は、みんなが「おれは○○ができます」と証明するために資格を取り、「Doの肩書き」を一生懸命手に入れていたんだ。過去の事例をたくさん知っていて、すぐにそれが取り出せる証拠。何ができるか、自分の力を証明するものだったんだ。

だが近い将来、技術が発展して、求められる「Do」は次々と変わっていく

これからは、『成功するまでチャレンジし続けられる』『丁寧で細やかな対応ができる』『いつでも周囲の雰囲気を明るくできる』というような、自分がどういう存在なのかという「Be」を軸に、チームの状況に合わせて「Do」を変えていける人間が求められる時代になってくる。

自分の「Be」を磨いて、「Do」を時代にあわせてどんどん変えていくことが重要になるだろうな。そうすれば、これからの時代でも成功できるはずだ。

(C) 三田紀房 / コルク

麻野さん
なるほど、明快ですね!桜木先生、最後に聞かせてください。大切にすべき自分の「Be」を知るためにはどうしたらいいですか?

桜木さん
「Be」を見つけるためには、自分が最も苦がなくやっていることを軸にするといいだろう。自分にとってできて当たり前のこと、褒められてもピンとこないことを見つけることだ。

「当たり前にできること=得意なこと」だと、発想を転換してくれ。

麻野さん
自分の「to be」を知りそれを大切にして、「to do」は柔軟に変えること。このことが、これからの時代に大切な「変化できる人の特徴」になってくるんですね。

ありがとうございました!

(C) 三田紀房 / コルク

〈文=須崎 千春(@chih_suz 写真=井手桂司(@kei4ide

★前回までのレポートはこちら!
『THE TEAM』どうすれば人を巻き込めるのか?〜Eの法則〜 箕輪厚介さん×麻野耕司さん
『THE TEAM』どうすれば良い決断ができるのか〜Dの法則〜 曽山哲人さん×麻野耕司さん
『THE TEAM』どうすれば円滑なコミュニケーションができるのか?〜Cの法則〜 北野唯我さん×麻野耕司さん